アメリカの黒人差別問題を考える

なぜ黒人差別が

根源的な原因は歴史的要因が強い。おそらく一番最初は、キリスト教カルヴァン派の、「選民思想」だ。「我々だけが神に選ばれし民だ」という思想である。この思想をもったイギリス人がアメリカを植民地にした。実は南アフリカ共和国で起きたアパルトヘイトの背景にもカルヴァン派の思想がある。

こうして、黒人奴隷につながり、今日まで黒人差別意識が根付いてきた。


しかし、差別に改善がみられないのは、社会的要因が大きいのではないだろうか。


まず経済問題が考えられる。たとえば、私たちが「黒人が適していると思う職業」を問われると、スポーツ選手や肉体労働者がイメージされ、政治家や研究者というイメージは湧き起こらない。これは、黒人=貧困という実態から生じるものだと思える。

結局、黒人は白人に比べて教育も受けられない。教育を受けられなければ、経済的立場を向上することができない。負のスパイラルに陥った社会構造が差別を引き起こしている。


また、政治問題もあるだろう。差別意識が根本から解決されていないために、政治的な解決が逆効果に陥っていると思う。「なぜ黒人なんかのために優遇してやらねばならんのだ」といった具合に。

主な例はアフォーマティブアクションに対する反発である。アメリカの白人の低賃金層は「逆差別」だとして、アフォーマティブアクションにNoをつきつけたのだ。 


アメリカはこれでいいのか

トランプは、白人の低学歴・低賃金労働者を支持者に持つ。それゆえ自国第一主義を掲げる。そこからつながって、人種差別的な発言をする。

さらに、アメリカは社会的弱者に対し「自己責任」という立場をとる。

例えばトランプはオバマケアを廃止した。貧困層は医療にアクセスできなくなっていき、実際黒人がコロナで大量に死んでいる。

人種のサラダボウルという表現は、ドレッシングだけかければそれぞれの野菜が活きるという表現の比喩だ。しかし実態は、アメリカにスパニッシュ、アジア人、ヨーロッパ人が続々と流入し黒人は下へ下へと追いやられる。

 


平等には2種類ある。①機会の平等②結果の平等である。

アメリカは、②を無視している。スタートラインが違う人々に対し、何もしなくていいのか。

消極的平和(戦争・紛争がないだけ)が達成されればいいのか。

積極的平和(貧困や差別や人権侵害までなくす)を達成しなくていいのか。

社会構造に根ざした暴力は解決せず、かなりの人が取り残されている。

  ーーー 小さな政府は成立するのだろうか?



今回の黒人差別騒動は「SNSの監視の役割」が特徴であった。目撃が一瞬で世界に拡散される。おそらく、このような出来事は今までもあっただろうが、全世界に知れ渡ることはなかった。SNSは今後、行動の監視に大きな影響を与えていくだろう。

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