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「編集者が日本一育つのが早い編集部」「終わらない文化祭みたいな雰囲気」「作家の力を生かして世界を取りたい」StudioZOONっていったいどんなスタジオなの!?

編集者、アートディレクターの採用を進めるべく、コンテンツスタジオ「StudioZOON」のTwitte spaceを開催いたしました!
第1回はStudioZOONの編集長3名(村松・鍛治・萩原)によるスタジオ紹介や、現在どんな方を募集しているのか?についてお話ししました。

\スペースはこちらからいつでもご視聴いただけます/

\編集長3名についてはこちらのインタビューをご覧ください/

スペース内の内容をテキストにもまとめましたので以下のレポートもぜひご一読ください。

なぜ『StudioZOON』を選んだのか? 

村松 僕がなぜ数あるスタジオの中からStudioZOONを選んだかをざっくり言うと、作家の力を生かして世界を取ろうっていうことなんですよね。世界に通じるようなWebtoonをつくりたい。そのために、何が必要かっていったら、作家の力が必要であると。Webtoonも作家がつくってるんですけど、ある程度機械的な分業制とかになっていて、作家性っていうのがあまり出てこない。
 どっちかいったら、マーケティングが強いつくり方になっていく中で、目の前の売り上げとかは作っていけるとは思うんですけど、本当に世に残っていくような『ドラゴンボール』のような作品が、その延長線上に生まれるかっていうと、生まれないかもしれない...。そこを生むには、作家の力っていうのがいるっていうのが、まずあって。
 作家の力をちゃんと使ってもらうためには編集力がある編集者がいるよねっていう。
あともう一つ必要なものは、作家がちゃんと儲かる仕組み。

 世界に通じる作品をつくるためには作家の力が必要であり、そのためには編集者と作家が儲かる仕組みが必要であるっていうことが、全部オールパッケージで入ってるなと思ったのがStudioZOONだったんですよね。
 
鍛治 さすが、うまいな。
 
萩原 流行りのものを後追いしてくと、どうしても似たような二番煎じ、三番煎じになって、だんだん縮小したもの作りになってしまうのに対して、『大きく跳ねる』『世界を取る』みたいな規模感のものを作ろうと思ったら、もうひとつ飛躍するものがないとだめなんですよね。
 作家と編集者がタッグを組んで読者に作品を届けるという、このStudioZOONの体制って、実は既存出版社と一緒ですよね?
 
村松 一緒です。日本でちゃんと、Webtoonの;すごい作品を作ろうっていったときに、当然、マンガ家さんの力が必要になるわけですけど、マンガ家さんの力を引き出すには出版社の仕組みっていうのは向いてるとは思うんですよね。
 そこは韓国とは背景が違うなと思っていて。日本でWebtoonを作るなら、本当に作家さんと編集者がマンツーマンに近いような形でやっていくのがいいだろうっていうのがあって、そういう意味で言うと出版社っぽいなって。
 
萩原 そうですね。できるだけ少人数で、責任の所在ははっきりさせてっていう形かなと。私も同じところに惹かれてStudioZOONに入りましたので、よくわかります。
 経験上、分業が進むと、映画監督のような強いリーダーシップを発揮する人が中心にいない限り、誰に責任があるのか分からなくなることが多いんですよ。その結果、ぼやっとした作品ができてしまう、という。
 StudioZOONでは、冨塚(総合プロデューサー)から最初に「そういう作り方は目指していない」と。「逆に、そういう作り方じゃないから力を貸してほしい」って言われて。責任の所在が曖昧な現場は作家さんがやりづらくなるケースも散見されていたので、それまでは大々的に縦読みマンガを作家さんに斡旋していなかったんですが、この現場なら勧めてもいいかなって思えましたね。マンガ原作をやりたいっていう作家さんは多いですし。
 鍛治さんは、最初からこの体制を狙って考えてたんですか?(鍛治が編集長の中では1番最初にStudioZOONにジョインしている)
 
鍛治 そうですね。でも、僕も一番最初に冨塚から声を掛けてもらったときに、Webtoonって分業制のイメージが強かったし、作家の友達に聞いてもそういう意見が多かった中で、それは面白くないしやりたくないなと思ってたんですよ。僕は自分が作家だったっていうのもあって、「作家だったらこういうのは嫌」「作家だったらこういうふうにしてほしい」を現実にするためにはこういう仕組みが必要で、それを叶えるためにはどういう人物が必要かみたいなところから、冨塚さんと話してて。一番最初に萩原さんと会ったときに、同じような課題を持ってて、その後村松さんと会っても同じような感じだったんで。だから『最初から想定をしてた』というよりも、『そういう理想は持ってたけど奇跡的に、そういう理想を形にできるメンバーが集まった』っていう感じですかね。
 
萩原 これまで日本が培ってきたエンタメのつくり方を今、Webtoonでどうやってアレンジしていくかを模索しながら目指してやっていく。それが、このStudioZOONの一番の特徴ですね。

それぞれどんな役割を持って働いているのか

鍛治 作家さんと一緒に作品を作るということが一番大きいベースの役割なんですけど、それに加えて、そもそもWebtoonで一番最初に当たる壁って着彩だなって思ってます。今のWebtoon業界で、内製で着彩を行ってるスタジオもあるんですけど、僕らがつくろうとしているWebtoonってまた少し違うんですよね。クオリティーを下げずに、かつ、その作家さんの個性を殺さないやり方って何なんだろうか、というところからスタートしてます。
 僕も作家をやっていて少しだけ塗れるので、『こういう塗り方ができたら作家さんの個性の線を残しつつ着彩できるんじゃないか』っていうのを、探すための着彩組織をつくりました。

村松 僕の今の業務の8割ぐらいはWebtoonの打ち合わせっていう感じですかね。残りはStudioZOONの体制を作るための、システムづくりとかをやっています。
 編集者の経験値にまだばらつきがあるので、僕の裏目標なんですけど、編集者が日本一育つのが早い編集部にしようって思ってて。というか、そうしなきゃいけないって感じなんですよね。
Webtoonを新しくやる中で、出版社の編集者の成長スピードだと足りないって勝手に思ってて。(他2人初耳顔)…あれ言ってなかったっけ?

鍛治・萩原 聞いてない(笑)、そんな格好いいこと。
 
村松 言ってなかったことは、今気付きましたけど(笑)
 そのためにドキュメントにまとめたりとか、色々話したりとかしてなるべくノウハウを共有してるし、フィードバックの数とかは超多いと思うんですよ。一つのネームに対して、360度評価じゃないけど、みんながめっちゃ意見言って、何か発見あったら書いてって。だから本当に、今のところ僕はそれができてると思ってるんですよね。打ち合わせの回数とか、うちめっちゃ多いんで。そういうようなことで、僕的ミッションは、全体の編集者の底上げみたいなことを頑張ってやっているって感じですかね。
 
萩原 ありがとうございます。第五編集部は文字ベースでの企画〜シナリオづくりを専門とする編集部ですので、マンガ家さんはおらず、小説家、シナリオライター、ゲームライターさんが多く集まっています。私が、小説出身の編集者ですので、こういう体制なんです。
 以前も、興味があるという作家さんにオンラインで集まっていただき、「StudioZOONはこういうスタジオです。Webtoonの特性はこうです。例えば1話に入る物語の量はこのくらいで、こういう見せ方は得意ですが、こういう見せ方は苦手です」みたいな形で、説明をさせていただきました。そうやって、小説やシナリオを書いてきた作家さんに、Webtoonだったらどんな企画をやってみたいか、と考えるきっかけを作っています。こういう、作家さんの解像度を上げるイベントは繰り返しやっていきたいですね。
 実際の工程としては、まずマンガ原作をやってみたいっていう作家さんにStudioZOONが今求めている作品の傾向をお話ししつつ、企画を募ります。それらを見させていただき、この企画は膨らませていったらWebtoonとして面白く作れそう、というイメージが湧くものを選定します。
 その企画を作ってくれた作家さんと打ち合わせを行い、この企画の面白さをWebtoonに落とし込んだらどういうビジュアルの物語になり、どんな読者さんに届くのか、という視点で企画を詰め、プロット、シナリオと作っていただきます。
 結果、萩原としてはこれは間違いなく面白いものになる!と確信が持てたところで、鍛治、村松のチームに原作を渡し、マンガにしてもらいます。
 StudioZOONの凄いところだと思いますが、単に原作をそのまま絵にしました、みたいな薄い感じは一切なく、それぞれのマンガ家さんが原作を飲み込みつつ、自分のカラーで演出をしてくれていて。「こうきますか、なるほど、こういう表現の仕方をしますか」と、唸らされることも多いです。もちろん原作のいいところをちゃんと拾い、さらに強化してくれているから、ネームを作家さんに見せると、「面白いですね!なるほど、ここをこう拾うんですね」となり、「じゃあ、自分の物語をそう表現されるんだったら、こういう切り口もやってみよう」って新しいアイデアに繋がっていく。ネームを通して会話ができていると思ってるし、お互いが、もっとすごいもん見せてやるみたいな、まくり合いになってるのは、いいですよね

 StudioZOONでは、作家さんがやりたいものを全力で出してもらえると思っています。その個性を受け止めてくれるマンガ編集部が社内にありますから。媒体特性と、何より読者のことは意識しながら、ですけどね。
 思考を止めて、こういうものが流行ってるから、そのまんまやりましょうって言うのは、超簡単なんですよ。でもそれだけだと全然ワクワクしないし、作家さんにやらせたいことでもないし、StudioZOONが目指してることでもないので。
 それよりは、「あなたの企画がまず面白い。それを、Webtoonっていう媒体特性を最大限に活かす形でどう表現し、何を読者に届けるか」という、思想はすごくシンプルなんです。もちろん、そうやってできた作品をちゃんと売っていくのも、僕らの仕事です。

初スペース後の3人

Webtoonの特徴である着彩。
アートディレクターという仕事と、なぜ着彩を内製化させているのか

鍛治 イラストレーターって、自分の描きたいことを表現するために、いろんな着彩方法であったりそれに合った絵を入れたりするんですけど、Webtoonの着彩においては、もうその絵がある状態からスタートするんです。言ってしまえば、人の絵を塗るっていうことになります。
難しいのが、それがただの塗り絵というか作業になっちゃうと、カラーでやる意味がないと僕は思ってるんですよね。
 例えば萩原さんが先ほどおっしゃってたように、原作のテキストをより面白くするためにネームがあって、ネームをさらに面白くするために、作画の人がいてっていうのがマンガだと思ってるから、そこに着彩が加わるっていうことは、当然もう一段そこにないといけないってのが根本にあるんです。
 本当に最後のバトンを受け取る箇所なんですごくバランスが難しい。当然作家さんが魂込めて描いた線を殺しちゃいけないし、殺さないためにはただの塗り絵じゃ駄目だしって、かなり難しいなって、僕は思ったんですけど。
最近いい機会をもらって、自分でも1個、気付けたことがあって。少しだけ話が逸れるんですがいいですか。
 
萩原 どうぞ。
 
鍛治 僕は、『作家さんが描いた線を生かすための塗りってなんだ?』をずっと求めてきたんです。だからこの作品に合うのって水彩だなとか、この作品に合うのって厚塗りだなとか、アニメ塗りだなとかっていろいろ試してきたんですけど、どうもそれだとしっくりこない、漠然と、もやっとした部分があって。
 最近、気付いたのは、『そもそも何のためにこれ塗ってるんだっけ』って思ったら、悪い意味じゃなく、これは作家のためじゃないなって思ったんですよ。
マンガもそうなんですけど、読者のためって考えると、これはもしかしたら作家さんの線を殺さないようにしようとしている僕らのこの行動は、間違ってるのかもしれない。
 なので辿り着いた答えとしては、自分のオリジナリティーを出すのではなくて、Webtoonを理解しようとする姿勢みたいなものが大事なんだなって。

 ただ1点だけ勘違いしないようにお話ししたいのが、Webtoonの塗りってこうだっていうものは、僕の中であって。
 スタジオのルールみたいなものとして、今用意もしてて、それは理解はしてほしいなと。その上で残りのオリジナリティーの部分、どうやって作るかっていうところだけ作家性を発揮するって、バランスが難しいんですけど、そこら辺自分は挑戦してみたいなとか、今のこの話を受けて興味を持ってくれる方がいたらすごくうれしいなとは思いますね。
 
萩原 仕様書が全部ないと厳しいっていう人は、あまり向いてなさそうですね。
 
鍛治 それが言いたかった!! 

萩原 仕様に沿うだけでなく、オリジナリティーの出し方に挑戦する、というのはいいですね。エンタメっていろんなジャンルがありますが、最終的には感情を動かすことがゴールだと思っています。そのためには、作家も編集も、そして着彩担当の方も、みんなが感情を動かして臨んでいないと多分駄目で。そういう、魂を込められる余地が着彩にもあるのは、個人的には素晴らしいと思いますよ。自分の担当する原作は、そういうふうに塗って欲しいですもん。
 
鍛治 そうですね。こうやって着彩の話を僕が代表して話をさせてもらってますけど、うちで今一緒にやってくれてる着彩のメンバー、もちろんスキルも高いし、何よりもみんな人柄がめちゃくちゃいいんですよ。吸収力もあるし。「これはもう仕事じゃない。それぞれのプレーヤーがクリエイターとして集まってきてるわけだから、自分のプラスになるような着彩のアプローチの仕方を常にしようよ」っていうのは常々話してるんで。みんな、そこに対して悪い意味じゃなく仕事と思ってやってない。ポジティブな意味で楽しんでやってくれてると思ってます。
 みんな本当に作品めちゃくちゃ読み込むんですよ。まず一読者として面白いかどうかって感想を毎回言ってくれますし、自分ならどうやって塗るかっていうのをすごく話し合えてるんで、全然さっきのこの編集部と同じように、自分がこういう組織をつくろうと思ったわけじゃないんですけど、それ以上の組織に結果的になれたなっていう。すごい素晴らしい着彩チームだなと思いますね。
 
萩原 着彩チームが社内にいるのでコミュニケーションもすごい密で、会社間の連絡会議みたいなものよりもっと個人にフォーカスしたコミュニケーションが行われているから、『StudioZOONの塗り』というのができてきているなって感じます。
 
鍛治 そうですね。分かりやすく責任を持たせたかったんですよね。
大げさですけど人生を懸けて。
 僕なんかは自分が作家をやってたときは常にそうやってやってきたんで、人生、懸けてやってる作品を仕事だと思ってやってほしくない。だから、自分もその人生を背負ってるっていう感覚は持ってほしいなと思ってたんで。なかなか他社さん同士だと、そこを押し付けるのが難しいし、コミュニケーションも難しいんで。そこの背負う部分が内製かなとは思ってました。

どんな編集者にきて欲しいか

村松 鍛治さんの話が近いなって、聞いてて思ったんですけど。
 結局、今のWebtoonの状況って、人によっては、めっちゃおもろいし、人によってはよく分かんなくて不安だから嫌だなっていう状況だと思うんですよね。
 僕は『めっちゃ面白い』派で。そうでもないと転職しないんですけど。
 さすがに20年マンガやってたんで、マンガに対してはこんな感じかなっていうのはあるんですけど、Webtoonっていうものは、例えばネームの作り方みたいなことを考えたときに、マンガだとこうだけど、ウェブではこうなんだとかみたいな違いの発見が日々、何かしらあるんで、それがめっちゃ面白いんですよね。
 多分普通のマンガ編集だと、ネームできたら仕事の7割ぐらい終わってる感じですけど、Webtoonだと、ネーム完成したって、仕事の5割いってるかいってないか分かんないみたいな感じのところがあって。そこから先の、着彩なんて全然マンガ編集として分かんなかったですし。着彩とは何だみたいな本、この間買って読んでたら、1ページ目に、『光は粒子であり波である』って書いてあって、「そこから!?これは遠いぞ」って思いました。
 でもこうやって勉強してるのも面白いですし。市場とかユーザーの顔も違うし。何より未開拓な部分がマンガよりもはるかに広くて。それを開拓してく面白さもあるしで、そういうことを楽しめる人ですよね。いろんな学びや楽しい発見を楽しめる人に来てもらいたい
 
萩原 僕はこれまで小説家さんやシナリオライターさんとメインで組んできたので、そっちの切り口で話しますね。
 実は、小説って、もう長い間、形が変わってないんですよ。だからこそ、小説編集者は安定を求めることができます。今まで先人が何代にもわたってやってきたフォーマットを踏襲し続ければいいんですから。もちろん、何十年と同じフォーマットが通用したっていうことは、人間に最適化されてるということでもあるので、それを否定するわけではありませんけどね。
 でも、今って、スマートフォンとかARとかクリエイターがマネタイズできる投稿サービスとか、新しい媒体、新しいサービスが次々生まれていて、そこに適応した物語の描き方もできつつある。Webtoonも、そうです。
 そういう環境にワクワクできないのにWebtoonに関わるのって、作家でも編集者でも、しんどくなると思うんですよ。『小説を作りたいけど、色んな事情でできないからWebtoonやります』って、どこか後ろ向きじゃないですか。それよりも、Webtoonを読んで、この媒体おもしろいな、この見せ方だったらこんなことができるんじゃないかなっていう楽しさを見つけられる方が向いていると思います。
 それって、今まで小説が取りこぼしてきた読者にも、小説家が作る物語を届けるチャンスになるんじゃないかなって思うんです。もちろん小説だから届く読者はたくさんいると思うんですけど、小説じゃ届かないという読者も、その周りにはたくさんいて。私は欲張りなので、両方に届けたいんですよ。
 だって、僕と一緒にお仕事してくださってる作家さん、みんな天才なんですよ。本当に、書けば面白いんです。書けば面白いから、その面白さを伝えられないなんてのは、世界の損失なんですよ。
 小説という完成されたフォーマットだけに固執せず、作家さんの才能をどうやって大きく広げるかっていうことをフラットに考えたときに、Webtoonという媒体に可能性を感じた方、作家さんも編集さんも、そういう方に来てほしいと思っています。

スタジオの雰囲気

萩原 立場的に一番、編集部をちょっと外側から見てる感じがあるので僕から話しますね。これはポジティブだと思って話すんですが、コロナ前によく見られた、個々の編集者が自分の面白いを掲げて、「おまえ、これ本当に面白いと思ってる?」「いや、これ面白いでしょ」みたいなことを語り合っているような、そんな編集部ですね。いい意味でアナログな感じで、みんな同僚なんだけどライバルであり、同志みたいな空気もあります。
 新しいレーベルで、新しいもの作ってるっていう、学生の頃の学祭前みたいな感覚もある一方で、鍛治さんや村松さんを見てもらえば分かる通り、個々の編集者のスキルは凄く高くて、ビジネス面でも大人。村松さんは20年マンガ編集やって、僕も小説編集を20年間近くやっているので、作家さんが満足する条件は何だろうとか、編集者が居着けるための就労条件って何だろうかとか、そういうことはしっかりと設計できている。大人と子どもが共存してる、みたいな編集部ですね。
 
村松 終わらない文化祭みたいな。ビューティフルドリーマー(笑)
 
萩原 StudioZOONのテーマはビューティフルドリーマー(笑)
でも、本当にそんな感じを受けてて。僕個人としては、そういう編集部に飢えてた部分もあったんで、率直に楽しいなとは思ってますね。そういう雰囲気で仕事したいっていう方には、ぜひ来てもらいたいです。
 
村松 萩原さんもおっしゃるように、僕もまさかこんな43歳とかになって、こんなノリで仕事できるとは。本当、「もう一回これできんの?」みたいな感じ。変な話、43とかになってきたら、部長みたいな席に何となく座って、誰も話し掛けてくんないみたいな状態になるじゃないですか。 
 それが、こんなみんなでお菓子いっぱい乗った机に座って、わあわあ言いあって。こんな日々をもう一回、味わわせてくれるの、ありがとうございますみたいな感じはもちろんありますし。
 あと、マンガ家さんと打ち合わせしてて、僕的には一番、「おっしゃ」と思うタイミングがあって。今ってWebtoon描いたことない人が初めて描きますってケースが多いんですよね。その方と打ち合わせしていて、じゃあWebtoonだったらこういうこともできるみたいな話を打ち合わせしながらしてたりすると、「Webtoonってこんなこともできるんだ、面白いですね。じゃあ、あんなこともこんなこともできますね」みたいになったときに、超うれしいんですよ。

Webtoonの『媒体特性』を楽しむ

萩原 僕がWebtoonの原作を作る際に、絶対値としての企画の面白さの他に、もうひとつ重視していることがあります。それが、先ほどからたまに出てくる単語、『媒体特性』なんですよね。
エンタメって、小説や横開きのマンガはもちろん、映像、ゲーム、ボイスドラマなど、いろんな媒体があるじゃないですか。たとえば同じ原作を展開するにしても、それぞれの媒体特性によって見せ方、描き方、切り取り方は全然違ってきます。小説をそのまんま映像にしても、多くの場合、小説より面白くならないと思います。そういう、媒体特性を生かした企画づくりを、Webtoonでもやりたいと考えているんです。
 ある小説家さんが実際に持ってきてくれたWebtoonの企画を例にしますね。その作家さんに、なんでこの企画が思いついたんですかって聞いたところ、「Webtoonって上から下に動くじゃないですか。だから、縦の移動が面白くなる企画って何かないかなって考えていたら、これが思いついたんですよ」って。もちろん企画そのものが面白いことは前提として、そういうみせ方の部分でも狙いがあると、Webtoonでこそやるべき企画になるなって思います。
 Webtoonって媒体には、得意なところもあれば、不得意なところもある。もちろん、それを作家さんが全部自分で把握してっていうわけではなく、編集部がちゃんと作家さんに情報をインストールするんですが、その情報をどう扱うかは、まず企画を作る作家さんに委ねられますから。自分の作りたい物語と、媒体特性と、両者の掛け算で企画を作っていただくのがよいのかなって思っています。自分の物語だけに固執するのでもなく、媒体特性の奴隷になるのでもなく、ね。
 
鍛治 僕がこのスタジオの編集部が大好きで面白いと思う理由があって。僕は編集者上がりじゃないので、正確に編集部のどうとかっていうのは分からないんですが、編集部って当たり前ですけど編集者しかいないじゃないですか。ここの編集部って、編集部という名は付いてるんですけど、僕みたいに編集上がりじゃない人もいるし、アンパンマンショーを営業でやってましたみたいな人も編集者でいるし。
 色んな人がいるから、編集者としてのルールというか、編集者としての当たり前が当たり前じゃないから、すごくそれが良くて、このWebtoonっていうものをぽんと乗っけたときも、スッと入るというか。みんな聞きたいことは当然、聞くし。マンガとかだとネームを人に見せたりするのって恥ずかしいじゃないですか。編集者とか自分の担当してる作品のネームを他の編集に意見もらうって、プライドがあったりとか、マンガ家だってそういうの嫌だったりするので。本当にそういうのなく、とにかくこの作品を良くしたいから普通に聞くみたいな。すごくそういうのが当たり前じゃない人たちが、当たり前をつくろうとしてるこの環境ってめちゃくちゃ面白いなと思うんですよね。

クリエイターに対する条件面

村松 僕が来て、最初に条件面を整えていくというところから始めたんですけど、本当にその契約というか条件については、自分が付き合っていたマンガ家さんに「Webtoon描きませんか」と言いに行ったときに、堂々と言えるっていうのが基準だったんですよ。
「マンガと一緒か、それ以上ぐらいもらえるんでそこは安心してもらって、一緒に面白いことやりません?」と真っすぐ堂々と行けるっていうのを基準に考えたところですね。出版マンガの基準で言っても、そんなに違和感ないかなっていうレベルにはなっていて、どっちかっていうとロイヤルティーがすごく高く設定されてるというふうに思ってます。
 プラットフォームで売れた額の15パーセントを作家さんにお戻しすると。これってすごいことで。マニアックな話になりますけど、プラットフォームで例えば100円売り上げました。そしたらそのうちの数十パーセントとかが出版社に入金されるわけですよね。その入金額の何パーセントっていうふうに普通は決めてるんですよ。場合によっては低かったりもするので、低い場合に、売り上げに対してパーセンテージを保証しちゃうと、スタジオとしても上がったりになっちゃう部分もあって。普通は入金に対して何十パーセントですよみたいな契約なんですけど、それだと結局、入金率が分からないので、作家さんがこれどれくらい売れたから、じゃあ幾ら入るのかって分からない。だから、売り上げに対してこれは保証するしかないって話になり、売り上げの15パーセントっていうふうに契約をしてます。僕、本当にこの会社に来て何度か最初驚いたんですけど、最初で最大の驚きでしたね。めっちゃ男前よ。
作家さんの契約内容はこちら

萩原 これ出版社勤めを経験してないと分からない驚きですね。多分。
 
村松 そうです。伝わるかな。
 
萩原 分かります。僕は僕で、マンガ原作の原稿料を定めるところで、基本的にWebtoonは週間連載ですので、原作の原稿料だけで最低限、クリエイターさんが暮らしていける金額をお支払いできるようにしたいと思っていました。調整や話をさせていただいて、結論なってるんじゃないかなとは思っています。
 そこに売上にかかるロイヤルティーが加わるんですけど、ロイヤルティーって、いまいちピンとこない方が多いじゃないですか。Webtoonの売上って、まだ混沌としているところもあるので。分からないものに賭けるって、余裕がないとできないと思っています。僕はもっと若い人にもチャレンジしてほしいと思ったので、定額のところはこだわった部分があるので結果的に、両方男前になっちゃってますね。
 
村松 男前な出費の上で、スタジオとしてちゃんとやっていけるかどうかは、我々に懸かってるっていう。
 
萩原 我々の作るものに懸かってるし、ちゃんと読者さんにそれが届くかに懸かってくる。   ちゃんとこの船が沈まないようにするためには、僕らだけだとまだ足りないので、アートディレクターの方もそうですし、原作、マンガ家さん、そして編集者、皆さんに来ていただく必要があります。今日の締めとしては、僕らは採用を強化していますので、ぜひ。
 今日みんなが見てる前で質問しづらいなっていうのがあったら、例えばアートディレクターのところは、鍛治に直接DMとかコメントとかいってもらえれば。
 
鍛治 ぜひ。
 
萩原 編集者であったり、マンガ家さんは僕と村松どちらでも大丈夫だと思いますけど、マンガの部分は村松のところにDMとか送ればいいと思いますし、逆に文芸編集であったり、原作者、シナリオライターみたいなところは萩原のところにDMでもコメントでもメールでもいただければ個別にやらせていただきますので。そこに時間を惜しむようなことは多分ないというか、それやらないと僕ら死んじゃうので。なので本当にお待ちしておりますので。

 面接とか、そんなかちっとした感じでやらなくても、ラフな感じで。一緒にお食事でもどうですかとか、そういうところから入ったりもするので、遠慮なく、気軽にこの3人には声掛けていただければと思います。
 最後に何か鍛治さん、村松さん、一言ずつぐらい。

村松 作家さん軸の話で、ここも言っといたほうがいいかなと思ったのが、僕ら作家さんの作家性を生かすっていうことを最初に考えてるんで、作家さんが描きたいものがスタートになっている部分があるので、ジャンルめっちゃばらけてます。少年、青年、女性みたいなものが、どのジャンルのものもあって。「自分こういうの描いてるけど違うんじゃないかな」みたいなことは、あまり発生しないかなという気がしますので、本当にどんな作品でも持ち込んでいただければと思います。
 
鍛治 3人で話してきて伝わったと思うんですけど、3人それぞれ、全然、色が違ったりとか、得意としてる領域が違うんです。マンガもWebtoonも一緒で、マンガって理解できるけど、実際に作るのってどうやるのって難しかったりするんですよ。何から取っ掛かりとしてやったらいいか分からない方は多くいらっしゃるかと思うので、全然そういうのは気にせずに絵を描くのがすごい好きで、とかそんな感じでふらっと聞いてきてくれてもいいですし。絵はあんま得意じゃなくてだったら、萩原とかね。僕らでも話聞きますし。良い意味で分散してるからこそ、敷居が低くなれているかなと思ってるので、ぜひ気軽にお声掛けいただけたらなと思ってます。
 
萩原 最後に僕のほうから。小説って、文字だけの表現なので表現方法としての最小単位だと思ってるんです。逆にそこをちょっと広げる仕事をやってみたいなっていう人がいて、それをちゃんと楽しめる。楽しんで自分の物語をWebtoonとかで広げたいな、こうやったら面白くなるんじゃないかな、どうかなっていう。その「どうかな」を持ってたら僕に、まず聞きに来てください。それに対して、どんな提案もするかはケース・バイ・ケースですけれど、そういう好奇心を持った物語を作られる方には、ぜひ話を聞きたいと思ってますので。

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