見出し画像

フランス 音楽院ソルフェージュテスト

前回までのあらすじ
 フランスの音楽院と公立中学校で並行して勉強するダブルコースという制度で留学を目ざす私たち親子。パリ地方音楽院の合格を受け、次のソルフェージュテストに向けての準備に取りかかりました。次の難関は中学校の受け入れなるか。結果は…。


二度目の渡仏は”エア・チャイナ”を利用し、北京で乗り継ぎをします。北京ではパリ行きの便まで2時間しかありません。審査や手荷物検査などに並んでいるとあっという間に搭乗時刻になるはずです。

さあ、急いで列に並ばなくては。ところが、パスポートと搭乗券の審査で止められてしまいました。どうやら息子の搭乗券に何か問題があるらしく、「ちょっとこちらへ(中国語)」と、息子だけ連れて行かれてしまいました。

「え〜?説明なし〜?」と思いましたが、中国語もわからないことですし私たちに問題があるわけではないので大人しく待つことにしました。10分後くらいでしょうか、息子はプリントし直した搭乗券と共に返され、フライトには間に合いました。

パリでの今回の宿はアパートメントホテル。前回、ホテルには冷蔵庫やお湯を沸かすものがなくて不便でしたが、アパートメントホテルでしたらキッチンがあるのでその点では快適でした。ただ、ホテルとは違うのでレセプションや受付などはなく、鍵も近所の食品などを売っている小さなお店に預けてあるものを取りに行くところから始まりました。そこのお店の人に「えーっとそれで、このお部屋の場所は〜…?」と聞いても「知らないよ、鍵預かってるだけだから。」というお返事。あはは…。

いずれにしろ、メトロの駅から1〜2分の非常に便利な場所で、すぐにお部屋でくつろぐことができました。ほっとした矢先、パリのアカデミーからメールが届きました。”あなたのお子さんの中学校の受け入れが決まりました。すぐに連絡を入れ、5日以内に手続きをしてください”という内容でした。

受け入れ先の学校は、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ校 Lycée et Collège Jean de la FONTAINEという学校です。登録申請の時に提出している書類で審査される中学校の受け入れが第二の関門だったので、よかった!と胸を撫で下ろしました。しかも、決定はもう少し後だと言われていたので、思わぬタイミングでの知らせに、心躍りました。パリ滞在中に手続きも行えるかもしれません。

まずはこの旅の目的である音楽院のソルフェージュテストです。テスト当日、メトロにて音楽院に向かいます。ところが途中駅で電車が動かなくなりました。どうしたんだろう…とヤキモキしていると、”全員降りてくださ〜い”と車両からも降ろされてしまいました。どうやら急病人が出たらしいのです。近くにいた女性に尋ねると、別の路線などの方法を取ってくださいと言われたそうで、乗客全員元来た路線を引き返すホームへと急いで行ってしまいました。

ホームを出口に向かって行くと、端の車両に若い女性が座り込んでいます。駅の係員さんなど数人に介抱されていましたが、そのうちに横になってしまいました。救護班が駆けつけるのを待っているのでしょうが、私はその女性が心配でしばらくウロウロしてしまいました。

はっ!テスト!そうでした、急がなくては。調べると、そのメトロ駅から出て音楽院まで歩いて15分と出ています。さすが、狭いパリ市内。迷わずそこから歩くことにしました。てくてく散歩気分で歩くこと本当に15分。無事に音楽院に到着しました。Googleマップってすごいですね。

テストは午前中いっぱいかけて行われました。筆記はフランス語の問題の下に英語訳も付けてくれていて、中には英訳がないと解けなかった問題もあったので助かったと息子は言っていました。フランス語の口頭指示がわからなくて無駄に待ってしまったりしたそうですが、何はともあれ終了。

あとは最後に、合唱のパートわけのためなのか、指示された楽譜のパートを選んで練習し、録音したものをメールで送る作業がソルフェージュテストの仕上げとしてある、という紙を渡されてきました。息子が歌えそうな音域のある曲はサン=サーンスの”Ave verum corpus”という曲で、ラテン語で歌います。帰国後すぐに取り掛かるとしましょう。

午後は中学校に手続きに向かいました。パリ16区にある、なかなか風格のある建物。ところが、書類をこういう女性に渡してと教えられていた〇〇さんを探し回って行ったり来たりした挙句にとうとう会うことができず、守衛さんに書類を預けて帰ることになりました。まあ、もう少々のことでは驚かない耐性が出来てきてはいます。

今回も色々あったね〜、と話しながらアパートの鍵も返し、空港に向かうロワシーバスに乗るために”オペラ”に向かいます。余談ですが、ロワシーバスのチケットをあらかじめ駅でナヴィーゴイージー(ICパス)にチャージしておくと、当日バスで支払うよりも2ユーロほど安く買えます。

オペラの”パレ・ガルニエ”そばのロワシーバス停留所へ行くと、”この停留所は〇〇〜〇〇まで閉鎖しています。こちらのバス停まで行ってください”と、地図と共に貼り紙が…。はいはい、すんなり帰れるとは思っていませんでしたよ。

問題は私。”地図の読めない女”典型なのです。ちょっと見てくるね、と息子を置いてそちらに向かったのですが、バス停はわからなくて、しまいには自分の居場所すらわからなくなってぐるぐる回り、半泣きでスマホの”探す”で息子のところに帰る始末。運よく(?)他にもバスに乗りたい人が加わったおかげでついて行き、バスに乗車することができました。

パリのCDG空港にはフライトの3時間前に到着しました。余裕です!2時間前でもいいかな、と思っていましたが、何があるかわからないと思って早く出たのです。まだカウンターの表示もないなーとベンチで時間を潰してから見に行ってみると、なんとエア・チャイナ、長蛇の列!しまった…。くねくねと列の最後尾を探してはるか遠い彼方へ。

それからどのくらい時間が経ったのか。意識が朦朧としてきた頃に荷物を預け、出国審査へ。やはり…。物凄い人、人、人。審査を終えた時すでに搭乗開始時刻。待ってよ、まだ手荷物検査してないよね。全力で走り、検査を乗り越え、搭乗口へ辿り着いた時には私たちは最後の乗客でした。

はあ、面白かった!次回をお楽しみに!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?