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第二十七話 住宅ローン⑤住宅ローン控除

税金や確定申告の回で説明しましたが、計算して出た「所得税額」から最終的に「税額控除額」を差し引いて申告納税額を決定します。詳しくは”第十七話”と”第十八話”をご覧ください。その税額控除には「住宅ローン控除」が含まれます。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン)とは

住宅ローンを利用して住宅を購入したり増改築した場合、住宅ローンの年末残高に一定の率(上限0.7%)をかけた金額について最長13年間税額控除を受けることができる制度です。制度は2年に一度改正されます。

住宅ローン控除を受ける人は確定申告をします。サラリーマンの場合は初年度だけ確定申告をすれば2年目以降は年末調整でOK、確定申告は不要になります。初年度の確定申告に書類等が間に合わず、住宅ローン控除抜きで先に確定申告をしてしまうと、「当初申告要件」を満たせず、13年間ずっと控除無しになってしまうので注意しましょう。

これまで、政府は低金利や住宅ローン減税などの政策でたくさんの人に家を買ってもらうよう促してきました。ものすごく優遇された税制だったのです。しかし今後は空き家が増えてきている問題などもあり、政府はもうこの減税はやめにしない?と、考え始めています。現在は段階的に様子を見ながら改正(改悪?)を加えられています。具体的なことは後ほど説明します。

住宅ローン控除適用要件

住宅ローン控除を利用するには次のような条件があります。
・住宅を取得した日から6ヶ月以内に居住し、適用を受ける各年の年末まで居住していること
・控除を受ける年の合計所得が2000万円以下であること
 (ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1000万円以下であること)
・床面積が50㎡以上であること
・床面積の2分の1以上が居住用であること
・返済期間が10年以上の住宅ローンであること
繰上げ返済によって返済期間が10年未満になるとその後の控除は無くなります。

2024年2025年版住宅ローン控除

先ほど述べた通り、制度は2年に一度改正されるので、今回の制度は2025年まで。2026年以降は未定となります。なお、2023年までに居住されている方は2023年までの制度のままです。

「期間」
新築住宅:13年間
中古住宅:10年間
不動産業者が買い取って再販する中古住宅:13年間

「借入限度額」(新築の場合)
長期優良住宅・低炭素住宅:4500万円
ZEH水準省エネ住宅:3500万円
省エネ基準適合住宅:3000万円
省エネ基準を満たさない住宅:0円

「借入限度額」(中古の場合)
長期優良住宅・低炭素住宅:3000万円
ZEH水準省エネ住宅:3000万円
省エネ基準適合住宅:3000万円
省エネ基準を満たさない住宅:2000万円

このように、省エネ基準を段階に分けて限度額を設定しています。控除率は0.7%です。いずれも2023年までの限度額より低くなりました。

長期優良住宅というのは、良い状態で長く住めるよう建てられた住宅のこと。低炭素住宅とは、二酸化炭素の排出を抑えるよう建てられた住宅のことです。ZEH(ゼッチ)とはnet Zero Energy Houseの略で、家庭で使用するエネルギーを太陽光発電などでまかない、年間で消費するエネルギーを実質ゼロ以下にすることです。

2025年4月着工からの住宅には省エネ基準が義務化されます。今すでにある住宅もほとんどが何らかの省エネ基準を満たしているとは思いますが、築古は注意です。今は築年数の要件は撤廃されました(以前はありました)が、「昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅」が控除適用要件となります。

また、控除を受ける場合、省エネ基準適合住宅で必要な書類があります。①建築住宅性能評価書 と、②住宅省エネルギー性能証明書 です。確定申告時に提出するので、忘れずに取得しましょう。

その他注目点は、中古住宅。新築で省エネ基準を満たさない住宅には減税措置はありません。0円です。が、中古住宅の場合は2000万円まで控除の対象になります。中古住宅推進派の私にとっては何ら不思議のない話ですが、資産価値の高い中古住宅が買いやすくなれば、売る方にとっても売りやすくなり、良い循環が生まれるのではないかと思います。

以上、住宅ローン控除について説明しましたが、まとめた表を以下に記します。

出典:国土交通省

今回は住宅ローンについての最終話でした。拙文最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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