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第二十八話 金に投資する

私たちが投資できるものの一つに、株式、債券と並んで「金」があります。貴金属として有名な金に投資するってどういうことなのでしょうか。

「金」は資産

金は古代から現代まで、世界中でその価値が認められていて、かつては同じ価値のものと交換できる貨幣のような役割を持っていました。ただ、持ち運びには重くて不便なので銀行に預け、同じ価値の紙の貨幣(紙幣)を発行してもらうようになりました。これは「金本位制度」と言います。イギリスを皮切りに日本など、世界中で採用されました。宝飾品でもあり、通貨でもあったのです。

でも金は産出量が少ない希少な金属ですよね。今は銀行に紙幣を持って行っても金に交換はしてくれません。現在の通貨の価値はそれぞれの国の政治状況や経済状況が安定しているか、内戦などが起きていないかなどで決まります。ただ、いつでもどこでも変わらぬ価値を持ち続けてきた金に対しては世界中の人々の信頼があり、投資対象としても人気があります。

「金」への投資

金は株式とは「逆相関」を示すことが多いと言われてきました。反対の値動きをするので、株価暴落時などのためのリスクを軽減する「リスクヘッジ」の手段として採用されてきました。ただ、完全に逆というわけでもありません。コロナ禍では大規模な金融緩和が行われ、株価と一緒に金も上昇するなど、ケースバイケースです。

また、インフレの際には、現金の価値が下がるわけですが、金はそのものの価値が変わらないので、インフレ対策にもなるのです。富裕層は金を資産の10%ほど保有していることが多いようです。そのような理由で金は安全性の高い資産と言われています。「有事の金」といって、世界のどこかで戦争や紛争があると金の価格が高騰してきました。

「金」投資の方法

①現物購入
金そのものを購入します。金貨やインゴッド(バーなどの形に成形されたもの)を貴金属店や百貨店などで購入可能です。ただし、金を現物で取引する場合は偽物に気をつけなければいけません。「ロンドン貴金属市場協会(LBMA)」の審査をクリアしたことを示す刻印やシリアルナンバーなどを確認しなければいけません。また、「日本金地金流通協会」の会員や登録店になっているところで購入した方が良いでしょう。現物の取引には手間ひま、手数料、保管コストなどもかかるようです。

②先物取引
「先物取引」は、商品を決められた日に決められた価格で売買することを約束する取引です。証券会社や商品先物業者が取り扱います。金や原油などの資源、大豆やとうもろこしなどの農産物など色々とあります。価格は常に変動していて、差益をとる方法なので、ハイリスクハイリターンだと言えます。

③投資信託、ETF
「投資信託(ファンド)」については以前詳しくお話ししましたが、運用会社が資金を集めて運用して利益が投資家へ還元される投資方法です。株式の投資信託に比べると信託報酬が高めです。またETFというのは上場している投資信託で、直接手軽に取引できます。ただし、投資信託やETFの場合は金への投資ではなく、金鉱株や金先物取引を利用するファンドもあって、その場合金そのものとは別の値動きになるので注意が必要です。

④純金積立
一定の金額を毎月その金額分自動的に購入する方法です。「ドルコスト平均法」(詳しくは第九話リスクをなるべく減らしたいをご覧ください)によってリスクを軽減でき、金相場に左右されることなく長期保有できます。また、少額から始められるのも嬉しいことです。貴金属店、地金商、証券会社、銀行などで投資できます。買付手数料は高いことが多いようです。


いかがでしたか?何かと手数料やコストがかかることがわかりましたが、純粋に金に対する憧れもあります。金が好きだから金を買うわけではありませんが、世界の資産において重要な地位を守っていることを知っておくのも重要ですね。

では次回をお楽しみに。


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