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10周年を迎えました。

2024年4月1日。
すたじおぽっちは10周年を迎えました。
開所当初、定員10名(契約者数:23名)・スタッフ3名でスタート。
明石で初のアート活動をする場として意気込んでいたのを思い出します。

当時は、アート活動も”併用利用(複数の通所事業所を曜日ごとに利用する)”も明石では聞き慣れない時代。開いてみたものの、
「アート活動って何するところ?」
「アート=遊んでいるだけ。子供には“自立(=仕事)”させたい。」
「複数の事業所を利用する必要があるの?」
「就労の事業所に通えているのに、生活介護も通うんですか?」
障害をのある子を持つご家族や、支援学校・行政などからこんな反応が返ってきました。ダイレクトにすたじおぽっちを利用したいと希望する方はなかなか現れず…。
悔しいと思いながら私自身もこれらに応える明確なものをまだ持ちあわせていませんでした。それがまた悔しかった。

それでも1年、2年、3年…、活動を続けていく内、利用されている方に変化が表われます。
「ぽっちの日は早くから自分で準備しているんです。」
「以前に比べて明るくなりました。」「表情や言葉が豊かになりました。」「最近、自分で決められるようになってきました。」
「この前、数年ぶりに電車に乗れました!」
これらのご家族の言葉はとても嬉しく、「これでいいんだ」と私たちを支えてくれました。

新たなニーズも見え始めました。
重度心身障害のある方にとって、広くて自由がきく空間は強みに。他の事業所では車椅子での自走は禁止されているところもあるとか。受入れ先がまだまだ少なく、支援学校卒業後に在宅になることも。ご家族も「家族が面倒みるもの」といった考え方が他の障害に比べ強いように感じました。家族と離れ、自分で自由に活動できる、これも”自立“と言えるのではないでしょうか。体は不自由でも心は自由。不自由なところは助け合えばいい。1つ1つ自分で決めて進められるアートは、楽しみや自信(自尊心)を育んでいきました。

精神障害(的症状)のある方の利用も増えました。学校や他事業所(特に就労系)に通っていて通えなくなった経験をお持ちの方も多かった。一見、何でもできるように見えて、だからこそ様々な葛藤を経験してきたのでしょう。そんな方々にもアートは優しく寄りそう。アート(活動)を通して、まずは自分自身を受け入れること。本人もご家族も、「私は私でいいんだ」そう思える経験を一緒に積み重ねていきました。精神科領域で「リカバリー(回復)」と言う言葉があります。アート(活動やその過程・関わり方)もその一つの手段になる。

現在は、定員15名(契約者数:40名)・スタッフ11名。


10年前の4月3日。
開所式「すたじおぽっち、始まるよー!」でメンバーのUさん(猫日記のUさん)がメンバーを紹介してくれました。



「Nさんは、絵を描いたりします。」
「Hさんは、ドーナツ(※紙粘土)を作ります。」
「Iさんは、本を読んでいます。」
「Aさんは、電車を見ています。」
「Tさんは、やさしい人です。」
「Hさんは、一生懸命ごはんを食べます。」
「Yさんは、お肉が好きです。」
「Kさんは、ブルースリーが好きです。」
「Oさんは、毎日お風呂に入ります。」

『これが、すたじおぽっちです。』

一人一人の好きなこと・嫌いなこと・気持ち・ペース…をちゃんと知って、大切にするところ。

10年経っても変わらない、そうです。
これが、すたじおぽっちです。

振り返ると、こんなにスタッフが入れ替わったのは想定外。でもそれも、これからまた10年続けるために必要な経験だったと思います。
良いときもうまくいかない時も、支えてくださったすべての皆様に感謝を申し上げます。

10年ちょっと前のHさんの書。
一心不乱で在りたいけれど、そうはいかない10年でした。
右往左往しながらも、それはそれなりに形になりました。
これからも、一心不乱(乱れている方)で頑張ります。


今後ともどうぞよろしくお願いします。

2024年4月1日   室本早知

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