#週一文庫「食品サンプルの誕生」 (ちくま文庫)野瀬 泰申
一番おもしろかったのは、P27-28商売は日毎に順調に進んでいった。制作する一方から捌けていくのである。食堂にはかつて料理模型の外交員から教わった貸付という方法を採った。ろうは熱や直射日光に弱い。いつかは形をくずしたり変色もする。日を決めて出張して行き掃除や修繕、着色を施すと製品はまた新しくよみがえる(中略)
現在もサンプルは販売ではなく貸し付けが主流である。この商法は瀧三が本格的に採用して今日に至っているが、発案者は瀧三ではない。瀧三に先駆けてのサンプルの仕事を始め、問題の