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#週一文庫

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毎週1冊の文庫もしくは新書を読み、その本の中でじぶんが一番おもしろいと思ったところを引用しながら、「なぜおもしろいと思ったのか?」を踏み込んで解説。 いわゆる書評ともちょっと違う…
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#読書感想文

居酒屋の誕生: 江戸の呑みだおれ文化 (ちくま学芸文庫) 飯野 亮一

この本は、江戸の頃にできてきた「居酒屋」の誕生期について、当時の文献から明らかにしていく一冊です。徳川の時代における禁止令の話や、それでも止めることのできなかった世俗の様子。またどんな風にして飲まれていたのかということがわかるようになります。 変わらない飲み人たち、変わる居酒屋の経営一番おもしろかったのは、P100-101 酔っぱらい天国・江戸 「われわれの間では誰も自分の欲する以上に酒を飲まず、人からしつこくすすめられることもない。日本では非常にしつこくすすめ合うので、

最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫) 二宮 敦人

この本は、奥さんが芸大出身の方が、藝大生にインタビューをしながら書かれた本です。傍から見るとちょっとビックリするような、藝大生エピソードを、いわゆる"一般人"としての著者の視点で掘り下げていってくれる一冊です。 研究旅行一つとっても、一味違う一番おもしろかったのは、P9 はじめに 「何か準備してるみたいだけど、旅行にでも行くの?」 妻はリュックサックにせっせと物を詰めている。 「明日からコビケンなんだ」 「コビケンって?」 「古美術研究旅行。二週間、奈良の宿舎に止まって、