「クリエイターEXPO」初出展の覚え書き(本番編)-2023/12/6〜8開催-



前置き

どうも。イラストレーター/漫画家のスタジオ葉山です。
公式サイト

搬入日まで編」に続き、開催・最終日までまとめて書きます。

開催日の朝

元々、過去の出展者さんが発信している情報を色々収集しており、
来場者が多いのは(公式データで)3日目つまり最終日という事は調べがついていました。
毎回そうかはともかく、「15時から来場者が増える」と書いていた人がいて、
企業の方々が朝、普通に出社して、午後にイベント会場に移動・用を済ませて直帰…と考えるのは自然なので理屈としてあり得るとは思います。

時間帯だと午前のピークは10:30〜12:00という情報を見つけていたので、
自分の到着は最終日以外は朝イチである必要はないと考え、
(会場は10時ですが)初日と次の日は15分ほど遅れていきました。
当然、電車でビッグサイトに向かう最中も、駅から会場に歩いている時も
それなりに各会社から来場客として来ているとおぼしき人達と一緒に
移動していましたが、
少なくとも朝一番には自分達のいるイラストレーションゾーンにはお客様の姿は
あまり見当たりませんでした。
ただの推測ですが、入り口付近は大企業ブースに囲まれているので
よほど特定のフリーランスが目当てでもない限り、奥の方のゾーンまで来るのにも時間を取られるのかも知れません。

というか、
基本的に自分がすぐ緊張してしまいがちなのを解っているので、
「決して安くない出展料だし、準備も手間を掛けた!遅刻厳禁!」
…とか思ってしまったら前日の夜に昂ってしまって睡眠不足になるのでは?
というのが最大の懸念でした。
それを防止する為に「よし!遅刻していこう!」と決めていました。

長時間立ってパンフを配ったり、お客様が来たら商談で喋ったりするのに
顔色が悪かったり、頭が回転しなかったら印象も悪くなってしまいます。
こちらが営業先に狙いを定めるのではなく、
向こうからクライアント候補がランダムに来てくれる代わりに、
どの業界の方が何目的で「料金は幾らくらいなの?」とお尋ねになるのか
全く読めません。
イラスト料金はただでさえ具体的な条件や相手の立ち位置を知らないと決めようがなく、それ次第で大幅に変化する=相場が無いとさえ言われているのに
パフォーマンスが低い状態で想定外の事に対応する訳にはいかないのです。
前日に早く寝れば済む話でもありますが、
仕事や調べ物で意外と夜遅くまで掛かってしまったので。

初日と2日目は自分が到着した時にはブース周辺の出展者はだいたい皆さん揃ってたはず。
同人イベントではなく商談会であって交流目的じゃないので、
隣のブースの方にはお決まりの挨拶を軽くしただけでヌル〜っと始まりました。

配れパンフ。対象の業種は?

「搬入日まで編」で書いた通り、座っているとタペストリーに実績が書いてあるのが隠れるというのもあって、全体の約半分の時間は立ってパンフ配っていました。
出展者も来場者もバッジを首から下げていて、ざっくり肩書きが判る様になってるので自分の目当ての業界の人かどうかで判断して渡すのが筋ですが、
クリエポの運営のジャンルの分け方だと判りにくかったです。
「製造業・不動産・建設」「小売・メーカー・商品企画」とか書いてあっても…
イラストや漫画を依頼する様な企業かをどう判断したら良いのか。
”教材にも「今の子供が好む漫画アニメ絵柄」が採用される風潮に最適!”
というキャッチコピーの通りピンポイント過ぎる所を狙っていました。
少なくとも今回のクリエポで優先的にアピールしたのは「児童書」「教材」です。
最大のネックは、「メディア・出版・映像」はあっても「教育」というジャンルは
無い事です。
最終日のピークまでにパンフが無くなってしまったら最悪ですし、
そうでなくとも求めてない相手にパンフを渡してもお互い無意味。
逆に求めてくれる企業様はピンポイントで来ていただけると思っていましたが、
にしても放っておいたら誰もパンフをもらってくれない時間が続くので
ペース抑えるとか言ってる場合じゃないと思いました。
「イラストレーション ゾーン 」の自分の左右というかほぼ周囲のブースは
いわゆるシンプル系ビジネス(おしゃれ)用イラストが得意ジャンルで、
例えば似たジャンルの人のブースが並んでたら
「あのパンフを受け取った人は自分のももらってくれるだろう」と推測して
サッと差し出せばOKですが、
この会場だけじゃなく似たタイプの同業者が滅多にいない自分は
そういう法則みたいな事が使えなかったのもきつかったです。
この辺は常日頃から参考になる様な人がまずいないので想定通りではありましたが、パンフ刷り過ぎたかと思いました。
例えば絵柄だけ似た感じのゾーンは他にありましたが、ゲームやVtuber向けの出展者だったので、仮にその中に混ざっても浮いていたと思うので、
場所は関係ないと思います。
先ほどシンプル系ビジネス絵柄みたいに言いましたが、ブースのパネルでは
同じ「児童書」「教材」を掲げている方々に囲まれていたので、
絵柄より用途やターゲット層の方が(クライアントにとって)意味があるはずなので、ゾーン選びは間違ってなかったかと。
教科書を出しているのは出版社なので出版のバッジを下げている来場者が来たら
(出版と言っても学習系とは全然関係ないかも知れなくても)
「よろしければ どうぞー」と、他よりはアピールして差し出すのが一番可能性高いとしか言いようがありません。
あと「広告・マーケティング」はあらゆる業界を対象に広告出す可能性があるので、「不動産」よりは意味があるだろうとか。
まぁ左右のブースのパンフをもらっている人は自分とは目を合わせない様にして通り過ぎるので判りやすいとも言えますが
(別に全然いけない事ではなく、むしろ自分も以前逆の立場の時に
相手に無駄な気を持たせない様に、気を遣わせない様に
…といったら過言ですが、興味あるブースだけを見る様にするものです)。
ただ周囲のブースの出展者は「教材」などの被るジャンルはあっても
「広告」にも向いているシンプル絵柄という事が一瞬でわかるので
(ある意味、全来場者が対象)、
「この相手にパンフ渡しても意味が無い」と考える必要が無いから
「メーカー(何の?)」でも「不動産」でも広告代理店を介さずに
広告イラストを発注される可能性はあり得るので、
パンフが減る速度が自分の倍くらいなので無駄に焦るという。
「その分、競合も多い」と隣の出展者さんは仰ってましたし、
数打ちゃ当たるんだろうけど打率が低い事の裏返しでもあるんだろうとも思います。色んな企業や自治体の経営企画部なり広報なりがイラストを使って親しみやすくしようみたいなアイデアはあって来場するようですが、フラッシュアイデアだったり、相当慣れていないと広告代理店を通さずに成約する割合は多くないみたいです。
「たくさん話し込んだ企業ほど、その後に連絡がこない」とも仰ってました。
今回会場で聞いた事例は隣の方くらいなので、過去の出展者の情報を振り返ると、
正確な依頼数は書いてない方がほとんどですが、
多い方でも、配布したパンフの1%(=700部配っても7件)依頼が成立すれば良い方…くらいの情報しか見当たりませんでした。
その方は毎回確実に元が取れる(この界隈の)有名人と言えるので、
そんな簡単なものじゃないとは最初から覚悟してましたが。
「専門家・その他ユーザー」というジャンルのバッジの来場者は、それこそ
何のか?によるのですが、少なくとも自分みたいな所にピンポイントで来ていただけるのはこのケースだったり。
そもそもジャンル名の下に具体的に企業名が書いてあって、それを知れば納得な方だったりで良かったです。

ここまでは運営のジャンルの分け方の判りにくい所についてでしたが、
痛かったのは一番前にアピールしている文字の「児童書」関係の方が1人も来場しなかった事です。
クリエイターEXPOに出展する意味の根幹を覆す事でした。
別に運営がたまに仄めかす様な、出展したら仕事が来るみたいな都合のいい事を考えてはいませんでしたが、
公式サイト冒頭で謳っている趣旨=【普段ではなかなか出会うことのできない
〝クリエイターに直接依頼をしたい企業″と〝自分自身を売り込みたいクリエイター″が直接出会い、】
 …すら成立していない事になります。
ただ、クリエポとは関係なく、夏前くらいにSNSで数人の編集者が児童書イラストを描くフリーランスと繋がりたい〜って流れが広がった事があって、
自分もリプ・フォローしまして、ある編集者は夏のクリエポに行ったそうです。
今年から、初めての年2回開催で、今回が初の冬開催だからか、明らかに規模が小さかったです。
ただまずクリエポに出展しようなんて気概のある人間は世に出回っているあらゆる営業方法なんて一通りやり尽くしているんだと思います。
その上で、「この企業にアプローチしたいけど、受付窓口自体が無い」みたいな理由で最後のいき詰まりをどうにかしようとしているのでは。
自分の場合はですが、そこに決して安くはない投資をしている訳です。
別に運営が頑張ったら呼べるとかは判りませんが、名折れ感は否めませんでした。
他の出展者全員に聞いた訳じゃないし自分の所以外には行った可能性もゼロじゃないかも知れませんが、これだと出展者どんどん減っていくのでは?と心配です。
実際、将来の出展を検討して下見に来た方と話しましたが、最初に飛び出した言葉は「出版社の方って来場してますか?」でした。
実際「小売・メーカー」と「製造業・不動産」のバッジを付けてる人よりは少なかったです。
その少ない出版の中の、更に児童書はかなりの低割合とは予想してましたが、ゼロとは。
ちなみに全体では「ゲーム・音楽」の様にイラストそのものをコンテンツとして売り物にする派か、不動産でもメーカーでもレジャーでも関係なく何か情報を伝達するお手伝い(=要は広告やキャンペーン、商品パッケージの様な用途)の二極化で、自分みたいなタイプのパンフをもらってくれないだろうなーというのは
やはり予想通りでした。

良かった事

冒頭からマイナス要素ばかり並べましたが、
結論から先に言うと、(この記事を書いているのは終了後3日しか経ってないので)
「割に合うかは判らないけど、出展した意味はあった」
という印象です。
「児童書」を扱う企業の方は来ませんでしたが、
「教材」の出版社の方はお越しくださいました。
(※ここでは学校なら教科書、市販なら教材と呼称しますが、どちらも来場)
これに関しては先述で謳っている趣旨の通りに。
要は普段はアプローチしにくい企業
(仮に昔ながらのポートフォリオ郵送をしたくても受け付けているかの問い合わせ自体が難しい…みたいな事が自分の目当ての所は特に多いと思います)
 …と交渉の席に着けたのは有意義です。
ただ同じイベントの出展者として、空いた時間に同じ企業の違う部署の方々が何人か寄っていただいただけと言えばそれまでですが、
絵か情報を見て気にならないと話しかけてこないはずなので、
(ご依頼いただけるかは別として)まさに来てくれる場合はピンポイントで来てくれるという例かと。
自分はクリエイターEXPOとは別に同じ運営元が開催している教育総合展(EDIX)というイベントに過去2回行ったくらい、
教育関係の企業を営業先リストに載せて、可能ならポートフォリオも郵送済だったりするので、似た名前は多いですが企業名を見たらだいたい「あ、あそこか」と思って心の準備ができていました。

市販じゃなく学校でもイラストの使い道として判りやすい教科は英語の様で、
キャラクター達がその季節(市販なら月刊としてその月ごとで、更に多い)
にちなんだ行事のやりとりをするので
イラストの必要性が最も高いと思われます。
ただ「例えば4月から3月までといった通年で教科書の装画を担当した経験があるのか?」と尋ねてこられた方がいました。
バッジはチラッとしか見えなかったので「あそこかな」程度にあたりをつけて
「道徳の教科書のカットとかはやりましたが年間を通しての表紙を担当というのはありません」とお伝えしたら、急に興味が失せたのか、名刺交換すらさせてもらえずに去られました。
これはむしろその経験がある様だったらマズいというか意図として矛盾しているはずと思いました。
要は「実績がある人にしか発注したくない」という想定が一番判りやすいのですが、「通年で表紙を担当する=その出版社の顔とも言えるブランディングができている状態」であって、そんなイラストレーターが競合他社の表紙を担当するでしょうか?
別に出版や教育に限らずですが、出版社はメインビジュアルを依頼する様な相手が競合他社の依頼を受けてはならないという契約を結ぶのが一般的ではないでしょうか。
少なくとも自分が以前入社したメーカーとはそういう契約でした。
仮に契約をしていなくとも、倫理的に問題とまで言いませんが、
エンドユーザーである学生も「え、同じ出版社なの?」と勘違いしかねません。
なので「実績があったら受けたら問題」だし、「実績が無いなら発注に値しない」という、どう転んでも依頼に至らないと言っているに等しいかと。
「来場者はプロフィールには興味が無い」という情報がSNSで発信されてましたが、いくら実績にしか興味ないにしても、絵を見て判断するつもりが全く無い部署の方が来場するよりは、現場に近い方をイベントに行かせる方が良いと思います。
上記はもちろん、ある程度推測で言っている訳で真の意図は分からず終いですが、
消去法で考えてその意図で尋ねられたのではと。

その他雑感


詳しい話をご所望のお客様や、
元々面識のある取引先の方が来たら両者商談席に座って話し込みますが、
それ以外は十数分ごとに来場者の波がパタっと止むので
断続的に座ったりの繰り返しでした。

教科書、教材以外にも、「学校関係なら確かにここも関係が深い」という企業の方もいらっしゃいまして、前向きなお話ができました。
出版などの媒体は問わず、学生・子供向けなら合うという事であらかた営業を済ませていたつもりでしたが、盲点でした。
噂に聞いていた、クリエイターEXPOに出展する効果の一つがここにもありました。

「クリエイター」という肩書きの来場者が場合によりけりで、
同業者に渡してもしょうがないのですが、フリーランス界隈ではよく
「横の繋がりよりもデザイナーと繋がった方が仕事振ってもらえる」と言われているそうですから、デザイナー・ディレクター(ADでもCGでも)とか、そうじゃなくとも決裁権を持ってる人なら意義があります。
「最終日の為に配りすぎるな」との情報があるとはいえ
その方と同じタイプじゃない自分は早々にパンフが余るのを危惧し始めました。
これも前述の通り、そもそもシンプル系ビジネス向けイラストの出展者に左右を挟まれてるので、自分だけ目を合わせない様にする方々も多い事もあって、
隣の方も仰った様に
自分もあまりどの業界とか関係なく(避けられない限りは)差し出しました。
 「通信・IT」も印刷じゃないだけで出版同様に自分に用がある可能性を考えましたが、 Webならメディアに含まれているかもなので、
一般人の目に触れないシステムかインフラ(B to B)という認識かも知れません。
どう名乗るかは自由なのでどっちもあるかもですが、漠然としているとか以前にこのバッジを付けている来場者が一番少なかったです(自分のいたゾーンでは)。

前述の通り、初の年2回開催の第一回目だったからか、
夏に下見に来た時に比べて全体として来場者が少ない印象で、
隣のブースの方も同意の様でした。
まず、従来の会場より小さい会場に変更になったからか、
開催前に全体的に小間の場所変更の案内が来て、
幾つかの候補から選択しました。
その時点で、「規模、小さくなった?」と気になりました。
ピークが最終日の夕方との事でしたが、別に変わらない感じでした。
最終日は遅刻せずに行き、朝イチから商談が続いたので比較的多かった程度でしょうか。

自宅に配送した物・持ち帰った物。

「パンフ(冊子)は500部用意して、だいたい配布するだろうから、
最終日には宅急便を使わず全部持ち帰れるだろう」と想定してましたが、
甘かったです。
半分くらい余ってしまい、しかも最終日に配送手配する方法を調べてなかった=
最近の本業で忙しさにかまけてたって事ですね。後の祭。

過去、「最終日前にパンフが切れてしまうのが一番の失敗だから」と、
700部以上刷った方もいたらしいですが、
予想通りというか狙いがピンポイントのジャンルなので
自分は今回はもっと少なくて良かった…結果論ですが。

運営から案内のあった配送業社が高いと判断した
(あくまで過去の出展者のブログ情報から)のですが、
隣のブースの方が自分より慣れており、手早く荷物をまとめて
クロネコヤマトの荷札(=正式には伝票とかラベルと呼称するらしい)に
宛先を書いていたのを見て、ヤマトの受け付けの場所を教えていただきました。
実際は同程度の料金かも知れませんが、
搬入と搬出が同じ業社の方が無難ですからね。

この記事であまり書く様な事でもありませんが、
仲間作りイベントではないとは言え、
人波が減ったタイミングなどで普通にお話はしていまして、
周囲の出展者の皆さんは感じの良い方々でしたね。

運営が提携している配送業者は「近鉄コスモス」さんで、メイン入場口を出てから右に少し歩くとその名前ののぼりが立ってて、受付の机がありました。
会場内ほど明るくないのと、大手企業の撤収作業員さん達で混雑するので、
目立ちにくいですが能動的に探そうと思えばすぐ見つかります。
ですがクロネコヤマトは見つかりにくかった…
というかあらかじめ「近鉄コスモスの奥にある」と教えてもらっていたのですが、
思ったよりも奥にあったので、一度逆側にしばらく歩いて探してしまい、
見つけるまでに予想以上に時間を掛ける羽目に。
勝手に近鉄さんの隣くらいかな〜と考えてしまった自分が悪いのですが、
かなり奥(駅から遠い方)にあった印象。
クリエポはコンテンツ東京という、複数のイベントの内の一つに過ぎないので、
別に配送業社が近くに並ぶ事が合理的でもないのかも知れませんが、
脚立の時と同じで、将来の自分の為にメモっておきます。


他にも色々驚いた事もあったのですが、7000文字以上になっているし
自分で解っているのでこの辺で締めます。
いずれまた参加するのか、仮にそうだとして2年連続か数年後か判断するのはもっと後になってからします。
クラウドのメモ帳にもこの記事に書いた様な情報は控えていますが、
別途、その時にこのnoteを見ると思います。
少ないと思いますが、自分に似たタイプの同業者の方の参考になったら幸いです。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

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