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「つまらない」をなくすディベロップメント

※この記事は以前ブログに書かせていただいた記事をnoteへ移動および加筆修正したものになります。

この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2017の23日目の記事として書かれました。

こんにちは、Studio GGのShun(@nannann2002)と申します。

これまでに「開拓王」「きょうあくなまもの」、そして「リトルタウンビルダーズ」といったゲームをデザインしました。

※これまで作ったすべてのゲームは以下からご覧いただけます。


また、ボドゲデザインアドベントカレンダーに一筆書かせていただくことになりました。しばしの間、お付き合いいただけると幸いです。

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「とても面白いゲームができた!」

ボードゲームをデザインしていてそう感じる瞬間があると思います。

それはアイデアを思いついたときであったり、仲間内でテストプレイした時の感触だったりするかと思います。
とても嬉しい、気分が高揚する瞬間です。

「ゲームは完成! さぁ、沢山作ってゲームマーケットで売るぞ!」

……ちょっと待って下さい!
ホントにそれでいいのでしょうか?

忘れていないでしょうか?
「ディベロップ」を。

ディベロップって何?

develop :

直訳すると「開発」でしょうか?

同人のボードゲームはディベロップが出来ていない……などいう人もおり、何かと話題に上る言葉です。しかし、具体的などういう作業の事を指しているのか、よく分かっている人は少ないのではないでしょうか。

私は発言している人によって、思い描いているものが少し違うのではないかと思います。

今回は、Studio GGがディベロップだと考えている工程について少し紹介していきたいと思います。

ゲームデザインとディベロップ

ディベロップの対になる工程がゲームデザインだと思います。

私はゲームデザインを「ゲームの面白さのコアになるシステム(+テーマ)の決定」だと考えています。

そしてディベロップは「ゲーム内容を決定するゲームデザイン以外の作業全て」を指します。

ディベロップは「バランス調整」ではない

ツイッターなどでディベロップという言葉の使われ方を見ると、ゲームのバランス調整をディベロップと考えている方が多く居られるような気がします。

しかし、私は、ディベロップにおいてバランス調整が占める割合は非常に少ないのではないかと思います。

選択肢に強弱があったとしても、ゲームが楽しく成り立っていればいいのです。最終的な得点差が付きすぎないだとか、戦略ごとの勝率が等しくなることを目的として調整するのは、違うのではないかと思うのです。

じゃあ、ディベロップってなんなの?

ゲームデザインが「面白い」を作る作業だとすると、

ディベロップはずばり、「つまらない」を無くす作業です!

「つまらない」とは、バランス調整がされていない、ではありません。

「つまらない」とは例えば、以下のような要素のことです。

●プレイアビリティが悪い

●ゲームが間延びする

●プレイ人数によってはゲームが成り立たない

●序盤で大きな差が付き、逆転できそうにない

●インストに時間がかかる

●セットアップが大変

●ゲームプレイに時間がかかる

●長考しがち

●ラウンド間の補充等、めんどくさい手順がある

●カードテキストが多く、読むのが大変

●よく忘れるルールや処理がある

●ルールが曖昧で解釈が分かれる

バランス調整がされていないと感じるときには、何か他に「つまらない」と感じる要素があるはずで、それをつぶすことが必要なのです。

この「つまらない」は人によっては致命的であり、場合によってはその1か所の「つまらない」があるだけでどんな面白いゲームもつまらなく感じてしまうのです。

樽いっぱいのワインにスプーン一杯の汚水を入れると何が出来ると思う? 樽いっぱいの汚水さ!

「つまらない」を見つける

自分で作ったゲームはどうしても、自分基準で作っているため、自分が気にならない「つまらない」要素が入っていることに対して甘くなってしまいがちです。

よって、極めて批判的な目で自分のゲームを見直す必要があります。

上記のような「つまらない」項目の例をチェックリスト化するのもいいかもしれません。

また、いろんなタイプのひとにテストプレイしてもらい、不満点を聞くのも良いでしょう。

1人ではなく、2人以上でゲームを見つめることで見えてくるものも多いと思います。

Studio GGでは、AYAがこのディベロップにおける「つまらない」要素の発見およびその対策の提案を行っており、Shunが全体をまとめていることが多いです。

それにより、Studio GGのゲームの完成度が上がっていると思います。

ターゲットを想定しよう!

ただし、全ての人に対する全ての「つまらない」を無くすのは無理です。

例えば、「考えないといけないのが嫌」というタイプの人は思考系のゲームのターゲットからは外れるでしょう。

今作っているゲームを楽しく遊んでくれると想定されるプレイヤーが、不満に思いそうな点、そしてその不満の度合いを見積もることが重要です。

例えば、パーティーゲームにおいて長考しがちなのは問題ですが、

戦略ゲームの場合はある程度許容されます。

逆に、運要素が高いなどの問題は、パーティーゲームではあまり問題になりません。

ゲームのターゲットを想定し、それに対して致命的な「つまらない」要素を中心に対処するようにしましょう。

まとめ

今回の話をまとめます。

●「面白い」ゲームが出来ても、そこで終わらずディベロップをしよう!

●ディベロップは「バランス調整」ではない!

●デザインは「面白い」を作る、ディベロップは「つまらない」をなくす作業!

●1か所の「つまらない」のせいでゲーム全体がつまらないと感じる人も!

●いろんな観点から「つまらない」を見つけよう!

●ゲームのターゲットを想定して、そのターゲットにとっての「つまらない」を中心に対処しよう!

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以上、Studio GGで行っているディベロップに関する考え方を紹介しました。

ディベロップについてはいろんな人がいろんなことを考えていると思うので、

一意見として聞いていただければと思います。

ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

少しでもゲームデザインの参考になれば幸いです。

また、意見・感想などありましたら、是非Twitter(@nannann2002)にいただければ幸いです。

この記事をベースにより掘り下げてツールとして有用性の高めた記事を「ボードゲームデザインチェックリスト」として公開しましたので、こちらも合わせてご覧ください。


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