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バレエコンクールに出場する意味

バレエは優雅で美しい芸術形態であり、多くの人々に愛されています。バレエを習い始めた方も、ある程度経験を積んだ方も、バレエコンクールに出場することについて疑問を抱くことがあるかもしれません。今回は、バレエコンクールに出場するメリットとデメリットについて探ってみましょう。

バレエコンクールに出場するメリット

バレエコンクールに出場することには、多くのメリットが存在します。一つ目のメリットは、自己成長の機会を得られることです。コンクールに出場することで、自分の踊りや技術力を客観的に評価してもらうことができ、それに基づいて更なる向上を目指すことができます。

二つ目のメリットは、競争意識を養うことができる点です。他のダンサーと競い合うことで、自分のスキルや表現力を高める励みになります。また、舞台で踊る経験を通じて、緊張感やプレッシャーに対処するスキルも身に付きます。

そして、三つ目のメリットとしては、将来の可能性を広げるチャンスが挙げられます。コンクールでの実績があれば、専門学校やプロのバレエカンパニーへの進学・就職の際に有利になることもあります。自身の才能を試す場として、バレエコンクールは大きな意義を持ちます。

バレエコンクールに出場するデメリット

一方、バレエコンクールに出場することには、いくつかのデメリットも考えられます。まず、練習や準備にかかる時間や労力が多いという点が挙げられます。コンクールに向けての練習は非常にハードであり、日々のトレーニングや振り付けの練習に多くの時間を費やさなければなりません。

また、プレッシャーやストレスを感じる可能性もあります。競争相手と比較されることで自己評価が悪化し、ダンスが苦痛に感じられる場合もあるかもしれません。コンクールのたびに繰り返される審査や評価のプロセスは、精神的な負担を感じさせることもあります。

さらに、成績が思うように上手くいかなかった場合や、想像以上の競争が待ち受けていた場合には、失望や落胆を感じることも考えられます。コンクールは勝負の場であり、結果を受け入れる強さも必要となります。

まとめ

バレエコンクールに出場することには、自己成長や競争意識の醸成、将来への可能性拡大といったメリットがあります。一方で、練習時間やプレッシャー、成績によるストレスといったデメリットも念頭に置く必要があります。重要なのは、自身の目標や向上心に合った方法でコンクールに挑むこと。挑戦することで得られる経験は、必ず自己成長につながるはずですが、子供によっては向き不向きがあります。教師にとって、コンクールに出場させる一番の目的は「生徒の上達」です。競うことや結果ばかりに目がいったり、上手くいかなかった結果によってバレエを嫌いになる生徒が増えるのだとしたら、それは教師にとって不本意だということ。また、最近疑問に感じるのは、結果を出したい理由です。先生に結果が出せないなら辞めますと、言われることがしばしばあります。

結果を出せる教師=素晴らしい教師

皆様はそう思いますか?コンクールとは教師の力量、また生徒の力量を測るために出場するものではない。結果を出したい理由を、明確にして欲しいなと思ってます。

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ここからは、極めて主観なので読みたい方のみ読んでください。

コンクールに関しての個人的な意見

私は、幼少期から本物の美術品や本物の芸術に触れる環境を与えてもらい、英国のバレエ学校へ海外留学もさせてもらいました。私の弟は、トランペット奏者で音楽界で生き抜くためにもがき闘ってるアーティスト。大祖母は、1930年代にプラハ国立工芸学校、ベルリン造形美術学校イッテンシューレ、ベルリン美術デザイン学校ライマンシューレに留学し、海外の国際展覧会に作品を出品していたアーティスト。大祖母の孫にあたる、私のはとこはドイツの名門バレエ学校に留学後、東京バレエ団を経てドイツのバレエ団を転々し15年間ドイツでバレエダンサーをしておりました。私がイギリス滞在中、何度か彼女のバレエ団を訪れ、団員の生活を体験させてもらう中で、バレエダンサーの現実を見て私にはこの生活に耐えられる気がしないという想いが増していき、私は海外でダンサーになる夢を諦めました。

私の周りには、ドイツやイタリア、イギリス、アメリカ、ロシアのバレエ団で働いていた友人がいます。バレエダンサーの世界は、厳しい競争と不安定な収入がつきものです。オーディションを勝ち抜くことや、常に求められる最高のパフォーマンスを維持すること、美しい舞台上の姿を維持するため常に身体への負担、また怪我をしないよう繰り返される厳しい練習とトレーニング、その上不安定な収入。これらがもたらす精神的プレッシャーは想像を超えるものです。

恵まれた環境のダンサーとは、ロイヤルバレエやパリオペラ座など国立や王立のバレエ団で働くことを許されたほんの一部の人々だけです。カンパニーによっては、経済的な安定もなく、解雇の恐れもつきまとい、雇われてもディレクターの好みによっては、役が与えられないこともあります。再就職の機会を探すエージェントもおらず、自己負担で国を渡り、オーディションを受ける必要があったりもします。このような理不尽で不安定な状況が続く中、言語を話せないことで軽視され、相手にされないことも多いです。さらに、給料も十分とは言えないことが一般的です。大規模なバレエ団ともなれば、同じ演目を何度も繰り返します。例えば、「白鳥の湖」では、コールドバレエで同じポーズを何度も取ることになり、モチベーションを維持するのは容易ではありません。

バレエダンサーは「バレエ団に入ってからバリエーションは踊ったことない」と言います。バレエダンサーにとってバリエーションは欠かせない要素の一つと思われがちですが、実際にはそうでもないのかもしれません。多くのダンサーがバリエーションを踊る機会が少ない中で、バリエーションで審査するコンクールでダンサーとして成長することは重要なのかを考える必要があります。バリエーションの技術は確かに重要ですが、それだけが全てではないということを忘れてはいけません。また、グループで踊る作品で人と合わせる技術が、多くのダンサーには必要となります。コンクールのための練習では、そこを学ぶことが難しくなります。また、バレエ団のオーディションはレッスン審査、バレエの基礎をしっかりと身につけることも大切です。

バレエは、競争や賞を取ることが目的ではなく、美しい動きで自己表現や芸術性を追求することが本質であると考えられます。バレエの魅力は、たくさん回ることや高度な技術だけでなく、その背景にある情熱や感情を表現すること、また群舞がみせる集団美にもあります。バレエを愛する心を持ち、その美しさや深い世界観を知ることで、新たな発見や感動を得ることができるでしょう。競争に振り回されることなく、バレエを純粋に楽しむ姿勢を大切にして欲しいと思ってます。

バレエダンサーとして生きていける環境作りを!と思ってる日本のダンス関係者はたくさんいます。ダンスの素晴らしさを伝えてくださる教師もたくさん増え、ダンス人口が増えました。でも、日本で踊りを続けていける環境の改善はさほど進んではいない気がします。これからの日本の文化芸能が進むべき方向は、コンクールではない気がします。コンクール出場を繰り返し、踊れる人を増やしたところでその子たちの行き場はどこにあるのでしょうか?

文化芸能を愛する人たちが、これから考えなくてはいけないもの。それは、どう日本社会のなかで、舞台芸術を位置付けて行くのか?と言う作業であって、コンクールビジネスを発展させることではないのではないでしょうか?

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