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"連続性の美"の作品で空に込めた思い

僕は埼玉で12年、栃木で中高6年、大学で北海道の釧路という街で4年間を過ごした。その後、写真スタジオで働くために上京して以来、今年で22年目になる。北海道にいた当時は東京に憧れていたわけではなく、むしろ東京は住むところではないとさえ思っていた。東京に来る前のイメージはファッション雑誌で見た渋谷や原宿などのストリートのダーティな雰囲気や、西新宿のオフィス街に立ち並ぶビルの平凡で無機質なイメージだった。

北海道では野生動物や夕暮れの風景写真をメインに撮っていた。釧路の街中でも撮影したことがあるが、何ひとつ惹かれるものがなく、漫然とした仕上がりになった覚えがある。当時、大自然こそ心惹かれる対象であり、それだけに空の表情には思い入れが強い。普通のオレンジ色の夕暮れだけではなく、息を呑むような深紅な夕暮れや、ピンクや紫の空など北海道に行って初めて見た色に強く惹かれた。

東京に住み始めてからフォトグラファーになるという夢を叶えるために必死に修行時代を過ごし、フリーのフォトグラファーとしてファッションシューティングをメインに活動して15年。ファッション写真が好きすぎて、それ以外にはあまり興味が持てず、ロケ以外で街を観察することはほとんどなかった。ところがファッション写真への情熱にかげりが見え始めた2019年から、東京の街を観察することが増え、2022年には"連続性の美"という概念を発見して本格的に都市の撮影をするようになった。建築物の連なりの幾何学的な美しさに惹かれて追いかけていると、北海道で心惹かれた色合いの夕暮れを東京でも見ることができることに気づいた。それまで、そういった写真や映像を見たことがなかったから、知らなかったということに気づいたとき、もっとそのことを自身の作品を通して伝えたいと思った。

January 11,2024 Omori,Tokyo
October 25,2022 Furukawabashi,Tokyo

夕暮れだけじゃなく晴れ渡った青空も作品に取り入れたいと考えたとき、スタイリッシュな作風に仕上げる場合、青空というのは非常に厄介で扱いが難しい。青空に白い雲となるとゆるい雰囲気や駄作になりがちだからだ。そこで建築物を利用して、青空も幾何学的なカタチになるように切り取ることでこの問題を解決していることが多い。最近では青空に関してはこの作品のようにかなり濃いめに表現することで凡庸になりすぎないようなエディットで表現している。

October 20,2022 HigashiShimbashi,Tokyo

これらのことを踏まえてあらためて"連続性の美"の作品を眺めてみると新鮮な発見があるかもしれない。今回はこのあたりで。ここまで読んでくれてありがとう!
今日もクリエイティブな1日を!!

*1月12日にXにポストした内容を加筆修正


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