知ってもらいたいサウンドエンジニアのこと。

多くの人がイマイチよく分かっていない、Mixエンジニア(サウンドエンジニア)という職業。
私自身、何となく『歌が上手くなくても上手に聞こえるようにしてくれる』というような、ぼんやりとしたイメージを持っていました。
しかし、実際にMixエンジニアという職業と関わるようになり、思っていたよりずっと深掘りできる職業だと気付きました。
それで、一人でも多くの方にMixエンジニアのお仕事について知っていただきたいと思い、私(ロキエ)がマネージャーとして付いている、Mixエンジニア佐藤主税(さとうちから)にインタビューを行いました。
その内容を、数回に分けて記事にしたいと思います。

ロキエ:
Mix師とMixエンジニア(サウンドエンジニア)の違いってありますか?

佐藤:
ニコニコ全盛期に、初音ミクの登場などで音楽作成が身近なものになって、いっせいに作曲や歌ってみたの人口が増えたんです。
それまでは、プロやセミプロで音楽活動していたアーティストは、スタジオ付きの経験のあるサウンドエンジニアに、音楽の調整を頼んでいました。そういった理由もあって、サウンドエンジニアの界隈は割とクローズドな環境でしたね。
でも、インターネットで誰でも配信ができるようになって、一般の人たちに作曲活動が普及した結果、急激にMixの需要が増えました。
その需要の増大に合わせて、素人なんだけど、とりあえずMixにチャレンジしてみようという人も沢山現れました。
なんとなくMixっていう響き、カッコいいですもんね。僕もカッコいいと思っています。
そういった人たちをMix師と呼んでいる事が多いようです。
下世話な話ですが、プロのサウンドエンジニアにお願いすると、メジャーデビューして音楽で食べていける人でなければ支払いが難しい料金になったりします(笑)。

ロキエ:
では、Mix師とサウンドエンジニアの仕事内容に違いはありますか?

佐藤:
明確な分類はないのですが、僕個人としてはMix師と呼ばれている人たちは、既にサウンドエンジニアがMixした曲に歌を重ねる、「歌ってみた」を担当することが多いと感じています。
その場合は、歌パートとオケ(パラデータではないもの。パラデータについては後述)を調整をする事になると思います。
基本的にサウンドエンジニアは楽曲の全て、ドラム、ギター、ピアノ、シンセサイザーなど、複雑に絡み合った音を一つ一つ調整します。
この楽器のパートを一つ一つ分けてあるデータの事を、パラデータというのですが、まず個々の楽曲パートを調整。それから、パート全部を合わせて聞いた時に、一番聴こえが良くなるように整合性をとります。
付け足しですが、オケというのはパラデータが一つに纏まっていて、各楽曲パートをいじれない状態のファイルの事ですね。

ロキエ:
仕事量がかなり多そうですね。これからサウンドエンジニアになりたい場合、どうやったらなれますか?

佐藤:
僕自身は、音響芸術の専門学校でレコーディングの技術を身につけました。
その後、都内のボーカルレコーディングスタジオに就職。数年の下積みののち、チーフエンジニアになりました。その後独立して個人でボーカルレコーディングや、楽曲のMixを請け負うようになりました。
こんな風に僕は、知識を実地で身につけましたが、現在ではネットやYouTubeなどを使って、独学でも知識を身につけることができる時代だと思っています。
ただ、そのためには(アナログ時代よりはマシとは言え)高価な機材の購入が必要ですし、かなりの時間と労力を使って技術を真剣に学ぶ必要があります。
正直、独学では理解しきれない部分も多く出てくると思います。

ロキエ:
独学でわからない事はどうしたらいいですか?

佐藤:
そのような方の役に立てばと思い、僕自身もYouTubeの配信をスタートしたり、ツイッターで機材レビューなどを発信しています。
教えたがりなので、質問もどんどん自由にしてもらえればなと思っています。

続く

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