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お出かけに欠かせないかばん

■きっかけは、既製品のアレンジ

電動車いすで、どこへでもすいすい~っと出かけてゆくSさん。いつも膝に載せていくお気に入りのバッグを、もう少し使い勝手の良いように改良したいとのこと。

 具体的には
 ・奥行き(厚み)を減らしたい
 ・後ろにファスナー付きのポケットがほしい。
 ・A4ファイルが入る大きさにしたい。 といったご要望がありました。

 お手持ちのデニム生地に、ご一緒に手芸店で選んだリンゴ柄の生地を合わせて、素敵な鞄が完成しました。リンゴが和風の柄で染められていて、落ち着いた可愛らしさがありますね。

りんご柄が素敵

■ファスナーにひと工夫

 今回のポイントのひとつが、ファスナーです。
 開け閉めがしやすいよう、ファスナーの引き手にお手持ちのボタンを二重環で取り付けました。こうすると、引き手を握ることができます。

ファスナーの引き手にハート型のボタンをつけました

 また、開け閉めのとき、ファスナーを押さえやすいよう、ループをつけました。

共布で作ったループをつけました

 手指の細かな動きがしずらくてファスナーの開け閉めに困っていたら、このような簡単な工夫で操作がしやすくなることがあります。他にも簡単にできる工夫をこちらで紹介しています

■お揃いの巾着

 また、お揃いで、財布がわりの小さな巾着を作りました。Sさんは1人で交通機関を利用することが多いそうで、巾着なら腕にかけたまま交通系カードを使えるので、スムーズに行き来できるそうです

お揃いの巾着

■おどろきの感想

 さて、出来上がった鞄を実際に使っていただいたご本人の感想は...予想外のものでした。
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かばんというのは記憶にないくらい足の上に置いて滑るもの!という固定概念があった。それが滑らない!電動車いすを操作する体が起き上がり、今まで意味なくあちこちぶつけてフットレストを曲げていたのがない!
えええ?かばんが原因だったの(^^;)
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 初めに見せていただいた「お気に入りのカバン」はナイロン製のするすると滑る生地でできていました。それを膝に載せて移動すると、滑り落ちないようにと体を緊張させてしまうせいか、フットレストをあちこちぶつけていたのだそう。
 それが、滑りにくいデニム生地のカバンに替えたことで、膝上で滑らなくなり、体が緊張しなくなり、電動車いすの操作がスムーズになったとのことでした。

 これにはご本人も驚いていらしゃいましたし、私も意図していたわけではないので、思いがけず、嬉しいニュースを聞かせていただくことになりました。
 そして「素材」が及ぼす影響の大きさを改めて感じ、学びと経験を深めていこうと改めて思ったのでした。

■おことわり

 今回のオーダーは、既製ブランド品のアレンジですので、デザインシートの公開やパターン販売はいたしません。どうかご理解いただけますように。

■オーダーのお問い合わせ

 studio fuku ではオーダーやリフォームを承ります。こちらからお気軽にご相談ください。(studio fukuのホームページに移動します)


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