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#20: アカペラサークルこそデジタルミキサーだ!

こんにちは、もりーです。
最近他大の音響系役職の方々と4〜5時間お話する機会があったのですが、その時に僕は思いました。
「あぁ、弊サークルは僕がデジタルミキサーを押し売りして良かったなぁ」と。

この記事では僕がデジタルミキサーをアカペラサークルに導入しようと思った経緯、デジタルミキサーにしたことで得られたメリット、アナログ機材ではダメな理由などを書いていこうと思います。

デジタルミキサーって何が違うの?

デジタルミキサーは普通のアナログミキサーと比べて一手間かかっています。普通のミキサーであればマイクから入ってきた電気信号を電気信号のまま加工して電気信号として出力するのですが、デジタルミキサーは電気信号を一度0と1の集合体であるデータに変換し、それらに機械的な加工をした後に再びアナログの電気信号に戻すという作業を中で行っています。小難しいですね。なので知る必要ないです。

サークルの会計の方向けに説明すると「ちょっと良いミキサーだから今使っているミキサーよりもちょっと高いよ」ってだけです。

デジタルミキサーをサークルに導入しようと思った経緯

最初になぜ僕がデジタルミキサーを導入しようと思ったかを説明します。
弊サークルはサークルライブのとき外部のPAさんに音響を委託しているのですが、PAさんがiPadを操作するとホール後方に置いているミキサーのフェーダーが勝手に動きました。なにやら便利そうなミキサー使ってるのを見て「プロってずるいな」って思いました。もちろん自分のスキル不足だから良い音でライブができないのもあるのですが、そういう時って自分のことは棚に上げてしまいますよね。そのような強烈な印象をデジタルミキサーに抱えたままサークル内でアナログミキサーを利用していましたが、色々とデジタルミキサーを導入するべき言い訳が思い浮かんできました。

理由1:かっこいいから

これ以上の理由はありません。スマートで便利だからです。機能美はカッコいい。
今更ガラケーを使おうとは思いません。何故でしょう?「スマホの方が便利だから」ですよね。昔は精々2〜3万円だったケータイに今では10万円以上かけることが普通になりました。それと同じです。

理由2:重い機材を一人で運ぶのがしんどいから

アカペラのライブで使用する機材は基本的に業務用音響機器なので重いです。「いい機材は重い」という名言がある通り、重いです。大学で行うミニライブなどの際の機材出しは基本的に人海戦術で一気に運ぶのが普通ですが、出席率があまり良くないこともあって一人で運ぶことがありました。そんなときに「この機材がもう少し軽ければなぁ」なんて思うことがよくありました。

理由3:シーンプリセットを利用して設営を早く済ませることができるから

基本的に学内でライブを行う場合に使用する教室や部屋、広場などは決まっています。1回あたり精々20分前後のライブのために毎回時間をしっかりかけてチューニングを行うことがめんどくさくなりました。
「こんなとき、一回設定した値をいつでもボタン一個で呼び戻せたらなぁ…」

理由4:エフェクトを沢山無料で使えるから

アナログミキサーを利用する場合コンプレッサーやリバーブは内蔵の超簡易的なものを使うか外部サウンドプロセッサーを使うかの2択になります。内蔵のものでは音に拘れないけど、外部サウンドプロセッサーは買うのにかなりの出費になる上に今以上に荷物が増えてしまいます、
「こんなとき、色々なエフェクターが各チャンネルに個別で使える魔法のような機能があればなぁ…」

理由5:PA席まで戻るのがめんどくさい

これは完全に僕の怠惰なのですが、ステージの上手ないし下手にミキサーを設置して操作するタイプのPAが苦手です。わざわざ客席側まで行って今の状態をモニターした後PA席に戻って操作することを繰り返すのあまりにもめんどくさいです。リハーサルのときもステージに上がってモニターの様子を聴くのですが、そのときもどのパートを調整するか、というようなことを考えながらPA席に戻ってミキサーを操作することに小さなストレスを感じていました。
「こんなとき、ミキサーを遠隔操作できたらなぁ…」

理由6:GEQが各バスに備わっている

弊サークルには2ch用のGEQが1台だけあります。以前のOBが寄贈してくれたものです。これをフロアモニターとメインで共用するためにはそれぞれ出力をモノラルにして(メインの場合PANを片方に振り切って)パラレル接続することで対処していました。もしモニター用とメインLR用にGEQが欲しければもう1台重いGEQを買う必要があります。
「こんなとき、軽いGEQがたくさんあればなぁ…」

こんな理由があり、それぞれの解決策の共通項を考えると「デジタルミキサーを使う」ことが一番手っ取り早く全ての問題を解決できる方法だという結論に達しました。

デジタルミキサーをアカペラサークルで使うメリット

「デジタルミキサーはプロの人達が使う小難しいミキサーだからうちのサークルには関係ないや~」って方、一番間違ってます。
音響に関する知識が皆無な人ほどデジタルミキサーを導入するべきです。

弊サークルには東京外国語大学という元単科大学のガチ文系大学生しかいません。そのためなのか、とにかく物理だとか電気だとか、その辺りへの理解が乏しいです。そんな人達にはケーブルの種類を教えるどころか、PEQの使い方を教えることすら困難です。へるつ?でしべる?って感じの方が多いです。

だからこそ設定した値をプリセットとして保存できるデジタルミキサーは最強なんです。設定を呼び戻す方法さえ教えておくだけで実際に設定した人がいる場合の7割ほどのクオリティを一瞬で再現できます。パーカスの音作りやベースの音作りなど細かい設定をこだわる必要があるパートに関してはパートごとに設定を保存しておけばいいのです。

他にも、先程紹介した理由を一気にクリアできます。外部サウンドプロセッサーやGEQ2台など、アナログ環境でデジタルミキサーと同じくらいのクオリティのライブを行おうとすると途方も無い金と莫大な重さ、そしてスペースを追加で投資することになります。ロッカーが1個しかない弊サークルにとって死活問題ですし、これ以上重たい機材を運びたくありません。

だからこそデジタルです。アカペラサークルLINESはデジタルミキサーの導入により設営やミニライブの準備が一気に楽になりました。また、これ以上追加の機材を買う必要がないと分かっているため、強気に他の分野(デザイン、映像)などに予算を割くことができています。弊サークルでは直近だとサークル所有のMacbookを1台購入しました。
デジタルミキサーは「1台あればこれ以上要らない」という最強の結論であり、最も価値ある投資だと思います。
B○SS ○N T○Pさんのスタジオを余裕で超えられるくらいのサウンドが一瞬で手に入ります。

また、デジタルミキサーをオーディオインターフェースとして利用したマルチトラック録音、いわゆるMTRもできるのでとても便利です。
6ch以上のものであればバンドの一発録りに対応、16ch程度のものであれば余裕を持って全体曲の一発録りを行うことができます。
今のアカペラはまさに「作品」でバズる時代です。サークルで簡単にレコーディング環境を構築できるのはデジタルミキサーの圧倒的なメリットでしょう。

おすすめ機種はフェーダーレスのもの

先程フェーダーが動いているのを見てかっこいいなぁって思ったと書きましたがアカペラサークルに対してはフェーダーレスのラックマウントタイプの物でちょうどいいと思っています。

理由1:可動部は壊れやすい

これが一番の理由です。
いわゆる勝手に動くフェーダー、「モーターフェーダー」はホコリや衝撃、雑な扱いに弱いです。サークルのような不特定多数に近い人がガシャガシャ扱う場所では少し不安があります。責任の所在も曖昧だし。そのため、可動部が限りなく0に近いラックマウントタイプのデジタルミキサーがおすすめです。アプリさえ入れればWiFi経由でスマホやタブレット、ノートPCで操作できるため、サークル員各自のガジェットがコントローラーになるということです。

理由2:軽い

フェーダーやツマミを搭載しているQu16cのようなデジタルミキサーは結局重めです。それでも同じサイズのアナログミキサーよりは少し軽いですが重いか軽いかの2択で言えば重いです。ラックマウントタイプのデジタルミキサーであれば3~5Kgとかなり軽いです。一般的なミキサーがケース無しでおよそ2倍の重さ、ケースを含めると3~4倍の重さであるのでその優位性がわかると思います。
あまりこういうことをご時世的に言いたくないのですが、やはり女性でも軽々と運べる軽い機材は可能な限り導入するべきです、

理由3:同時に操作しても壊れない

個人的に一番問題になりやすい箇所だと思っています。フェーダー付きのミキサーだとiPadなどと併用して操作する時にタブレット側の操作がフェーダーに反映するため、物理フェーダーに対する操作と衝突してモーターフェーダーの故障に繋がる可能性があります。多人数でオペレーションに励む際に起こりやすい事故なのでアカペラサークルのようなコミュニティではフェーダーが無いほうが何かと無難です。

理由3:ステージボックスとして利用できる

一般的なミキサーの場合(これはフェーダー搭載型デジタルミキサーも)、とにかく配線が地獄の用になります。

一般的なライブを想定。PA席は客席後方。

このように、客席を横断しないように養生テープなどを活用し、部屋の角に追いやったり、それはそれで高いマルチケーブルを利用したりととにかく取り回しが困難です。だからこそそのケーブルを無くしちゃいましょう。

ラックマウントタイプのPAの図。客席側へのケーブルはゼロ。

なんとまぁここまでスッキリできたこと、という感じですね。ケーブルが全く客席側にいかないのでステージ側の配線処理のみを気をつけるだけでいい話になります。また、SEやBGMなどもBluetoothアダプターを使用することで無線化し、ケーブルレス化。このように設営からケーブルマネジメント、客の転倒防止まで様々な面からこのラックマウントタイプのデジタルミキサーは便利に働きます。舞台袖に置いても全然良いですね。

アナログ機材はハードコアすぎる

アナログ機材は基本的に重く、大きく、そしてケーブル処理が大掛かりになってしまいます。そのため、アナログ機材を利用したPAはかなりのハードコアモードになってしまい、20分のライブの度に運ぶような設計になっていないため、とてつもなく苦労します。
また、アナログ機材はそれなりのクオリティの物を買おうとするとかなりの出費になってしまうのでとにかく金がかかります。

デジタル機材を利用することで汎用品のLANケーブルやWiFiルータなどを利用することが可能になるので1万円あればお釣りが来るほどお手軽に無線環境を構築することができる上に、それらの拡張も安くできます。
LINESではTP-Linkのルータを利用しており、ステージに応じて電波の範囲を拡張できるようになっているため、今後大きなステージでも簡単に安く対応できます。

まとめ

このような理由からラックマウントタイプのデジタルミキサー、とりわけBEHRINGER の X AIR XR18をオススメします。

XR18はデジタルミキサーの中でもかなりお手頃価格な上、操作用のアプリ「X-AIR Edit」がAndroid、iPad、iPhone、PC、Macと考えられる全てのガジェット向けに提供されています。とにかく対応できる。
そして簡易の2.4GHzルータを内蔵しているので狭めの教室などでは外付けのWiFiルータすら必要ありません。

MIDASのプリアンプ16発を贅沢に使用した18chミキサーでこの価格はかなりお値打ちと言えます。もはや金貰ってるレベルです。

当時はもっと安かった…

僕が個人用に買った時は今のおよそ半額だったのですが、円安や半導体不足などにより値上げが起こっています。それでもなお安いと思います。

このように長くなってしまったのですが、XR18はアカペラサークルにとって最強のミキサーです。
もし、CLなども内部の人間でPAするタイプのサークルであればALLEN&HEATHのQu-16MIDAS のM32R-LIVEといったフェーダー付きのデジタルミキサーを購入してしまってもいいと思います。

サークルに1台、デジタルミキサーはいかがでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございます。
Twitterのリプライにて感想や疑問点、議論などは行ってくれると幸いです。
アカペラ界隈の議論が活発になると色々と話が進みますからね。

もりーでした。ありがとうございました。

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