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父のこと①

父が亡くなった。
誕生日を2週間目前にして、82歳で逝った。

親を先に送り出すのは順当なこと。
親より長く生きてる自分は、一つ親孝行でもできたのだろうか。

でも、心の中は今までに感じたことのない動きがザワザワと続いている。
四十九日の準備をしながら、心に浮かぶことを書いてみたい。

私にとって父は「楽な」存在だ。
何かと意見や価値観が異なる母と違い、父はいわゆる放任主義。口出しもしないけど、代わりに過度な手助けもしない。生涯を通して私のやることに口を出したのは、記憶では2度しかない。その話はまた別の機会に。

そんな距離感が私には心地良かった。

なので、周囲から「お父さんコだね」「お父さんと仲良いね」「お父さんのこと好きだよね」と言われてきた。
確かに周りにはそう見えるしれないけど、私自身にはしっくりくる言葉ではなく、単に「父といると楽」としか認識していなかった。

けれど、いなくなってみると気付く。
ラジオからふいに流れてくるラブソングが、父に重なるのだ。失恋の曲、恋人を愛しく思う曲。「あなた」が「父」に自然と頭の中で置き換わって、心にずさずさ響く。
キレイな空や夕日を見ると、話しかけたくなる。

私はこんなにも父のことが好きだったのだろうか?

仏壇のない家に育った私が、毎朝起きると父とご先祖様に挨拶と感謝をする時間を持ちたくなり、小さな祈りの場の設えを整えてる自分に驚く。

毎日の習慣を変えてしまうほど、父は私にとって大きな存在だったのだ、と気付かされる。

次回からは最晩年、月一の「父の日」を作って出かけた記録を書き記したい。

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