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口呼吸と睡眠時無呼吸症候群

みなさんこんにちは!パーソナルトレーナーの吉田です。

前回は「口呼吸のデメリット」と題してお送りしてきました。今回はそれと関連して、「睡眠時間無呼吸症候群」についてお話をしていきたいと思います。

■前回のおさらい

 前回は「口呼吸のデメリット」と題して

◾️呼吸量が増え、身体が酸素不足になる
◾️猫背の原因になる
◾️睡眠の質が低下する
◾️顔の形が歪んでしまうこと
◾️虫歯や歯周病、口臭の原因になる
◾️免疫力が低下する

といった健康や美容のリスクがあることをご紹介してきました。

詳しくは、ぜひ前回の記事をご参照ください。

■睡眠時間無呼吸症候群とは

 「睡眠時間無呼吸症候群」とは大きなイビキとともに、睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりして、身体の低酸素状態が生じる病気です。

睡眠時無呼吸症候群

医学的な定義では、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間あたり5回以上繰り返される状態を指します。

厚生労働省によると、日本国内における睡眠時無呼吸症候群(SAS)の潜在患者数は約500万人(有病率:男性約9%、女性約3%)と推定されています。

睡眠時間無呼吸症候群の自覚症状としては、

◾️周囲の人からいびきを指摘される,
◾️夜間の睡眠中によく目が覚める(息苦しくなって目覚めることもあります)
◾️起床時に頭痛や体のだるさを感じる。
◾️日中の眠気が出ることが多い。

などがあります。

■睡眠時間無呼吸症候群の病態

睡眠時無呼吸症候群の病態は

◾️口や鼻から肺の入り口である声帯に至る空気の通り道が細くなるために発生する「閉塞型」

◾️呼吸を調整する脳の働きが低下するために発生する「中枢型」

◾️上記の両方が関係する「混合型」


に分けられ、閉塞型が大部分を占めると言われています。


 閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の原因のひとつは肥満。

 睡眠中にはのどの緊張が緩むため、正常の人でも空気の通り道が細くなりますが。呼吸が止まるまでには至りません。

しかし、肥満の人では、のどへの脂肪沈着が増加するために空気の通りが悪くなってしまうのです。

また、肥満のない人でも、顎の骨格(下顎骨が小さいなど)やのどの奥の形(扁桃腺や口蓋垂が大きいなど)によっては空気の通りが悪くなり易く、これらが閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の原因になるケースもあります。

さらに、飲酒や睡眠剤の内服はのどの緊張を緩める作用があり、これが無呼吸を増加させる可能性もあると言われています。

■睡眠時無呼吸症候群の合併症と予後

 睡眠時無呼吸症候群のこわい所は、睡眠中の低酸素や日中の眠気などによるストレスのために、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などの虚血性肺疾患の発生を増加させることです。

 また、糖尿病や高脂血症も合併することもしばしばあり、これらの合併症により,突然死される患者さんもいらっしゃいます。

 さらに、睡眠呼吸障害研究会の検討でも、無呼吸低呼吸指数が20以上の患者さんでは、20未満の患者さんと比較して、明らかに寿命が短いことが報告されています。

また、昼間の眠気は自動車事故をはじめ様々な事故の原因にもなります。

日中の眠気は思わぬ事故の原因にも・・・

そのため、睡眠時無呼吸症候群は専門の医療機関で正確に診断し、必要に応じて治療を行うことが重要です。

◾️睡眠時無呼吸指数とは

「睡眠時無呼吸指数(AHI)」は10秒以上の無呼吸低呼吸が一時間にどのくらい起こるかを示す数値を指します。

現在のところ睡眠時無呼吸指数が5以上の場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

●太っていなくても発症する!?中枢性睡眠時無呼吸症候群

 睡眠時無呼吸症候群と聞くと、多くの方は肥満が原因で罹ることが多い「閉塞型」を思い浮かべる方が多いようです。

その一方で、太っていない人や、むしろ痩せている人でも睡眠時無呼吸症候群の症状が見られる人もいます。

 これらの多くは、前述の3つのタイプの内、「中枢型」無呼吸症候群に該当すると考えられます。

この中枢性睡眠時無呼吸症候群は「脳から呼吸指令が出なくなる、呼吸中枢の異常によるもの」とされています。

◾️呼吸中枢とは?

「呼吸中枢」とは、脳幹の延髄という箇所に存在する「呼吸の司令塔」。

延髄。ここに「呼吸中枢」が存在する。

呼吸中枢は、血液中の二酸化炭素の濃度やPhなどを監視して、一定のラインを越えると「呼吸」を促すように指令を出すようになっています。

この呼吸中枢がエラーを起こすと、常に呼吸が「多く吸って多く吐く、呼吸が多い状態=呼吸過多」が定着してしまいます。

 本来、睡眠中は体はリラックスしているので、ゆっくり静かな「安静呼吸」になっています。

 ところが、呼吸中枢がエラーを起こして呼吸過多になっていると、睡眠中でも運動中のように口で大きく息をするようになってしまいます。これが口呼吸です。

 そして睡眠中に口呼吸が続くと、前述した呼吸中枢が強制的に呼吸を止めることがあります。これが「中枢性睡眠時無呼吸症候群」です。

●口呼吸で血液中の二酸化炭素が不足して脳が酸欠状態→強制的に呼吸をストップ!

 なぜ睡眠中に口呼吸が続くと、呼吸中枢は呼吸を停めてしまうのでしょうか?

 それは口で息をすることで、本来必要な二酸化炭素が過剰に排出されてしまうからです。

 以前の記事でもご紹介しましたが、血液中の二酸化炭素は呼吸で吸って酸素を脳や筋肉などの細胞に行き届かせるのに必要不可欠な存在です。

※呼吸における二酸化炭素の重要性については、こちらの記事をご参照ください↓

 そのため、口呼吸でどんどん血液中の二酸化炭素が少なくなっていくと、酸素がうまく細胞に行き届かなくなり、体は酸素が不足した状態に陥ってしまいます。

 とりわけ、脳の酸素不足は深刻です。というのも脳は酸素の消費が非常に多く、呼吸で取り込まれた酸素の約20%は脳で消費されるとされています。

 脳は酸素不足に非常に弱く、程度酸欠状態が5分程度続けば壊死してしまいます。

そのため、口呼吸による「二酸化炭素不足」で脳にうまく酸素が供給されないと、

「ヤバい!!脳が酸素不足だ!」

と判断し、呼吸中枢が強制的に呼吸を停め、二酸化炭素を体内に溜めて、脳に酸素を行き届かせようとするのです。

 つまり、「脳の酸欠」という身体にとっては大事故レベルの非常事態が迫り、慌てて「非常停止ボタン」が押されているようなもの・・・危険な状況だと言えるのです。

■口呼吸を治すことが睡眠時無呼吸症候群の予防にも繋がる

 ここまでご紹介してきたように、口呼吸が睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因の1つです。

で、あるならば、「口呼吸を改善することが睡眠時無呼吸症候群の予防に繋がる」とも言えるのです。

慢性的な口呼吸は「呼吸過多(呼吸のし過ぎ)」で起こります。なので、呼吸過多の改善に必要な

◾️猫背や反り腰の改善
◾️口呼吸の癖を治す
◾️規則正しい生活を心がける

などのポイントをしていただく他、次のポイントを意識、または実践していただくことが有効です。

「呼吸過多を改善するためのポイント」について、詳しくはこちらの記事もご参照ください。


●口にテープを貼って眠る

口呼吸を改善する有効な方法の1つが、「口にテープを貼って眠る方法」です。

具体的には、イラストのように就寝時に唇の真ん中に縦にテープを張る事がことが有効です。

就寝時に口にテープを張ることで、睡眠中の口呼吸を防止し、鼻呼吸を促す。

 「口呼吸の癖を治す」と前述しましたが、日中の呼吸は意識することはできますが、睡眠中の呼吸はなかなか意識することはできません。

そこで、「口テープ」をすることで「口呼吸を防ぎ、鼻呼吸を促す」ことができます。

 なお、使用していただくテープは肌への刺激が弱いサージカルテープか、粘着力が弱い絆創膏などがオススメです。

 はじめは睡眠中に無意識に剥がしてしまったり、自然に剥がれてしまうこともありますが、3ヶ月ほど継続していただくと、起床時にも唇から剥がれずに残るようになっていきます。

●就寝時に「舌の位置を正すマウスピース」を装着する

 また、舌の位置も重要です。本来、口を閉じている時の舌の位置は「上顎についている」のが理想的な位置とされています。

 しかし、慢性的に呼吸過多が続くと舌が下顎に落ち込んでしまいます。

すると舌の筋肉が弱くなり、睡眠時に舌がのどの奥に落ち込んで気道が狭くなり、呼吸しづらくなります。

その結果、「空気を求めて口を開けて息をするようになり」、口呼吸をするようになってイビキになり、さらに睡眠時無呼吸症候群へと繋がってしまうのです。

 このため、就寝時に「舌の位置を正すマウスピース」を装着するのも有効です。

■まとめ:自己診断せず、まずは専門の医療機関へ

 ここまで、口呼吸と睡眠時無呼吸症候群の関係、また脳の呼吸中枢のエラーが原因で発生する中枢性睡眠時無呼吸症候群を予防するための、ポイントなどをご紹介してきました。

「口呼吸は万病のもと」とも言われているように、様々な健康リスクを増やすます。

・朝起きたときに、口の中が乾いている

・イビキを指摘される

そういった心当たりがある方は、睡眠中に口呼吸になっている可能性が高いと思われます。

今回ご紹介した「口テープ」や「舌の位置を整えるマウスピースの装着」などの実施を検討していただくのをオススメします。

 ただし前述したように、睡眠時無呼吸症候群には様々な病態があります。

そのため、もし

「ひょっとして、睡眠時無呼吸症候群?」

と思った場合は、自己診断はせず、まずは専門の医療機関で検査を受けましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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