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Focusriteのマイクプリ「ISA Two」にACOUSTIC REVIVEのケーブル組み合わせてみた

どうも、Studio 0.xの橋爪徹です。
普段は、オーディオライターの活動をしながら、音響エンジニアとして音声コンテンツに携わっています。

我が家の防音スタジオ、Studio 0.xにマイクプリアンプがやってきました。
ホームスタジオといえば、最近はマイクプリアンプを持たない方も多いかもしれません。

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置き場所やコストなどいくつかその背景は考えられますが、一番大きな要因は、オーディオインターフェースのマイクアンプが高品質になっていること。数万円でありながら十分な性能のマイクプリアンプを搭載している製品もあって、下手に安物のマイクプリを組み合わせるくらいなら、内蔵マイクプリの方がいいかもしれません。

今回、私がマイクプリアンプを導入したのは、SONYのC-100を使ってみて、このマイクの性能をもっと引き出したいと思ったからです。

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C-100は、克明なディテール表現力、歪み感の少ない音像、50kHzまでフラットに録れる広帯域と、まさにハイレゾ時代にふさわしいマイクです。マイク前で鳴っている音を余すことなく捉える、そんな写実的なマイクだと思います。
C-100の音に聞き惚れていると、今自分が使っているオーディオインターフェースUS-20×20より上のグレードを実現できるのではないか、そんな欲が出てきました。

ということで、買ってしまいました!

Focusriteのマイクプリ「ISA Two」

2chのマイクプリアンプを搭載したラック収納型 1Uタイプの製品です。

Focusriteといえば、音声録音スタジオではGRACE designと並んで採用例の多いマイクプリ、……かもしれません。(筆者の個人的実感)
GRACE designと悩みましたが、2ch録音もあり得ること、そして予算の都合もあってFocusriteに決めました。
ISA Twoの詳細はこちらこちらが詳しいです。

C-100で録ってみたファーストインプレッションは、真に迫るナチュラルサウンドと、繊細なディテール表現力が持ち味の生真面目なマイクプリです。
マイクプリを導入する人は、その機材ならではの個性、つまりサウンドの癖(特徴)を求める方も多いでしょう。私は、ボーカルは録らず、台詞やナレーション、トーク(語り)なので、マイクプリに個性は求めていません。よって、どこまでも原音に忠実であることを重視します。そんな私にとってISA Twoは理想にほぼマッチしました。US-20×20は、日本メーカーらしく自然な周波数バランスのマイクプリとなっているので、それほど違和感なく移行できそうです。(実はここが一番心配でした。個性的だとまずいので)

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ラックに収納されたUS-20×20 8chのマイクプリを搭載

特に面白いなと思ったのは、インピーダンス切替え機能。ベースとなったISA 110のインピーダンス1400Ωに加え、600Ω、2400Ω、6800Ω、合計4種類のインピーダンスをマイクに合わせて設定することができます。US-20×20の入力インピーダンスは2400Ωですから、それと比べると、低い方に2段階・高い方に1段階可変できることになります。
商品説明には、マイクとプリアンプのマッチングのためとありますが、リボンマイクとか特殊なマイクでなければ、どれを使っても構わないと思います。音の好みで選びましょう。

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コンプなどのアウトボードに送るセンドとリターンの端子があります

実際のサウンドは、(C-100の場合)低い設定は中低域の量感が増して高域は大人しくなります。ISA 110=1400Ωでは中庸なサウンド、さらに高い設定に変えていくとレベルがやや上がり高域のブライト感が増していきました。個人的にはISA 110で普段は使い、高域に癖や特徴のある声の方はLow、暗めだったり落ち着いた声の方はMedやHighも視野にサウンドメイクしていこうかなと思います。ちなみに私の声はISA 110がベストマッチでした。Low設定に本体のローカット(HPF)をいい具合に組み合わせると、これはこれでナチュラルサウンドになるかもです。問題は、ローカット(HPF)の周波数ダイヤルの目盛りが意味不明なこと……(読めない) 

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左から数えて3つ目と6つ目のダイヤルがHPFの周波数

ACOUSTIC REVIVEの特注ケーブルを使ってみた

ISA Twoの電源ケーブルはプロ向けとあってACインレットタイプです。オーディオグレードの電源ケーブルが使えます。
US-20×20にLINEレベルで入力するには「XLR(メス)⇒TRS」のケーブルが2本必要です。こちらはMOGAMIのカスタム品でもいいですが、よりハイグレードな製品も試してみたくなりました。
筆者のスタジオにも多くの製品を導入しているオーディオブランドACOUSTIC REVIVE。こちらのケーブルを選ぶことにしました。「何も引かない、加えない」のコンセントはレコーディングユースにもぴったりです。
まず、電源ケーブルは切売りケーブルのミドルランク「POWER STANDARD-TripleC8800」に、自宅にあったプラグとインレットの残り物を使います。プラグをACOUSTIC REVIVEに送付し、組み立ててもらいました。

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LINEケーブルは、ベースをミドルランクのケーブル「LINE-1.0X TripleC-FM-Sマイクケーブル(3芯シールド構造)」として、プラグ/ジャックはハイエンドクラスの「RBC-1F」と「RPJ-1ST」にしました。ずっと使うケーブルなので奮発しました。

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マイクプリアンプ側のXLR(メス)

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オーディオインターフェース側のTRS


オーディオファンならともかく、DTM周りでケーブルに投資する方は、それほど多く無いかもしれません。音色を変化させるためにケーブルを複数持っている方はいても、忠実に音声信号を伝送したいからケーブルにこだわるという方はレアケースかもしれませんね。考えられる理由は、業務用のケーブルはもともと癖が少なく、まともな音がするから。普通にMOGAMIとか選んでいれば、失敗は少ないのです。(MOGAMIは、とても素直でナチュラルなバランスなので僕もお気に入りです)
しかし、私はオーディオライターでもあり、自身の音楽ユニットBeagle KickではACOUSTIC REVIVEのメリットを身を持って感じているからこそ、一般業務用のさらに上を選びたいと思っています。
機材の性能を最大限まで引き出す、ケーブルでサウンドに色を付けない、そんな思想があらゆる製品に貫かれているACOUSTIC REVIVEはその意味でも信頼できるブランドです。

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単線なので、取り回しは気をつけます。少し長めに注文(70cm)

単線の固さを生かして空中浮遊させることで、音質にもプラスの効果

【ケーブルの特徴】

電源ケーブルの導体は、世界初のオーディオ専用導体PC-Triple C(3.5スケア)。伝送スピードに優れるポリエチレン絶縁材を採用(外装シースにも)。緩衝材には天然綿。外来ノイズ遮断に有効な銅箔シールド。メッシュチューブは、カーボン粒子含浸のカーボンシールドメッシュチューブ。
LINEケーブルも導体はPC-Triple C。こちらは、歪みや付帯音の少ない単線胴体を使用。絶縁材は、最高の伝送スピードを誇るフッ素樹脂。ノイズ除去には、ファインメットビーズを採用。
XLRプラグは、航空グレードアルミ合金削り出しボディがルックスの満足感を高め、優れた制振効果も実現。ケーブル接合部はネジ留め式になっており、はんだよりも音質の劣化が少ないとのこと。TRSジャックは、世界初の非磁性体ジャックを採用。銀+ロジウムメッキ、-196℃超低温処理、制振対策など。

【音質レビュー】

・テスト環境
DAW:ProTools 2020.9 (96kHz/32bit-float)
マイク:SONY C-100
マイクケーブル:ACOUSTIC REVIVE  XLR-1.0TripleC-FM(長さ特注)
オーディオインターフェース:TASCAM US-20×20
マイクプリアンプ:Focusrite ISA Two
USBケーブル:ACOUSTIC REVIVE  USB-1.0PL-TripleC(長さ特注)
OTGケーブル:iFi Audio オーディオファイルOTG(Type-C)
USBノイズ除去:iFi Audio iPurifier3

・電源ケーブル
付属品だと、声の音像の周りに余計なお肉が付いてる感じがします。中~高域に掛けて少し雑味があって、クリアさが今ひとつです。音像の奥行きも狭く、音場感も平坦です。
ACOUSTIC REVIVEの電源ケーブルに交換すると、音が出た瞬間に空気感がまったく違います。高域の伸びは豊かになり、音声だと分かりにくいですが、倍音再現性も上がっているでしょう。声のディテールはクッキリと写実的なものに変化しました。雑味もすっかり解消されています。付属のケーブルも単体で聴くと悪くはないのですが、機材の本来の音質を引き出せていないと思います。特にハイレゾで録ると、その違いは大きく現れるでしょう。

・LINEケーブル
比較対象のケーブルを保有してないため、絶対評価しました。

US-20×20単体で録ったときとISA Two経由で録ったときと、音の純度はほぼ同格。これは素直にすごいと思いました。
オーディオインターフェース直で録ると、音の純度というか鮮度面は上回ることもあります。外部のマイクプリを使った場合、音にマイクプリ独自の個性は付加できるけど、純度は下がってしまうパターンです。
それがまったく感じられません。ケーブルを介しているとは思えないほど、歪みや雑味が感じられず、音色的な癖もまったく乗っていません。スタジオグレードのマイクアンプが増幅した信号を、限りなくそのままの状態でUS-20×20に送り、ADしたというイメージです。これを科学的に証明することはできませんが、言ってみれば、US-20×20の中にFocusriteのマイクプリが入っているかのような、圧倒的な高純度を実現している気がします。

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ということで、いかがでしたか?
マイクプリアンプもケーブル次第で化けますね。
一般的な業務用のケーブルや付属のケーブルもいいですが、より機材の性能を引き出すならオーディオグレードを視野に入れるのも選択肢だと思います。
ACOUSTIC REVIVEのケーブルを特注するためには、まず無料会員登録をして、コンタクトフォームから相談してみることをお勧めします。
全製品無料貸し出し(送料別)もやっているので、アクセサリーの類いは買う前に試すとよいかと。

では、また次の記事で!

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