Webライターを目指して(小説①)

本小説は今のところフィクションです。もしも気に入ってコピペする場合には、こちらのページリンクをつけていただけると嬉しいです。那須次郎


第一章
その人は言った。
「一番の原因は、あなたがまだ危機感を持っていないということです。」
「そうでしょうか?」

「はい、全くあなたは無意識ではあるけども、今定職についているからライターとして認められなくては、作品を買ってもらわなければ、という必死感がないように思いますね。ワンチャン狙えればいいと思っていませんか?」

「いえ、そんなことは毛頭・・・」

「これまでに多くの作品が世に出てきましたが、やはりあくなき追求というか、欲求。何かを世の中に残したいと、多くの先人がいました。ピカソを有名にしたのは彼が並外れた創作数を持っていたからです。あと、熱意。あなたにはそれがありますか?あと、リサーチはどの程度していますか」

「今のところ、ブログは50本ほど。クラウドファンディングで作品を出し始めて、という所まで調べました」
「モチベーションは何ですか?」
「はい、正直に言いますと。今の職場があまり好きではなくなったというか。それで、ある有名な実業家の人が言っていたんですが、スマホ1個あれば仕事ができると。ガラケー打ちしかできないですけど、ゴロゴロしながらスマホでライターできれば、と。これが一番の志望理由です。」
「・・・」

「そんな程度のモチベーションでは、キツイんではないですかね?確かに楽をして稼ぎたいのは人間の本性かも知れませんが、我慢料として給料が入る。それが一般の社会人の生き方ではないですか。それをゴロゴロしながら稼ぎたいと。それに対して一般的な評価が与えられると思いますか?」
「分かりません、でもそれが本音なんです。ある実業家の人は言っていました。首より下の労働力で働いても、1日2万円の賃金が限界であると。でも、アイデアを使えれば、もっと稼げるのではないか。その提示と私自身の仮説について検証したいのです。」

「その検証としては、ゴロゴロしながらスマホで労働できるか、一言ではそのような事ですか?」
「おっしゃる通りです。時代錯誤かも知れませんが、ギリシャやローマの時代には肉体労働をしないで哲学や物理学を考えている人がいました。これが自分の理想の生活です。しかも、中世までは教会が知識を独占していて一般庶民は技術にアクセスする事ができませんでした。それが今は、ネットが使えれば一般庶民でも情報にアクセスできて、意見を広範囲に表明することが出来ます。」
「理屈は分かりました。」

(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?