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バレーボールの選手の採点を考える

 今回から新しいテーマということで、バレーボールにおける選手個人の『採点』について検証していきたいと思います。

選手の採点とは

 これまで分析に使用してきたイタリアのセリエAのスタッツには、下図に示すように試合ごとに出場した選手の採点が記載されています。

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 この計算方法、もしくは算出のアルゴリズムがあればそれを知りたいと考えています(もしご存じの方がいらしたら是非教えていただきたい)。

 しかし、以下のリンクでセリエAでのスタッツの見方の説明がありますが、どうもこの採点はそれほど重要視されていないようです。

 このように言われる理由を想像するに、その試合における選手の貢献度としてこの採点を見た場合、どうもピンと来ない値になることが多いのではないでしょうか。

 しかし、仮にスタッツとして微妙であっても、コンセプトとしての「個々の選手の試合での貢献度を評価する」というのは重要です。そこで、この採点の方法を検証し、必要であれば修正を加えるなどして、「選手の試合での貢献度を評価する」方法を構築したいと考えています。

 一度の分析で全てやってしまえるようなテーマではないので、コツコツと分析を積み上げることになりますが、成果を積み上げて行く行くは日本のVリーグにこのような採点法を導入できないかと考えています。

 先日バレーボールマガジンで、試合中にVリーグ機構がWeb上で更新するスタッツ情報(選手個人やチームのさまざまなプレー成績をひとまとめにしたもの)をモバイルネットワークで現地サーバに送信し、ARで表示するコンテンツを生成、会場の観客が掛けるスマートグラスに表示させるという実験を行った記事が出ていました。

 こうした技術が導入されるということは、コート上での試合に加えて、一緒に添えるデータの内容も、バレーボールという競技の価値を高める要因になり得るということです。既存のスタッツだけではなく、新たに試合をより楽しむことができるデータの需要もあるのではないでしょうか。

 採点は試合後に出てくるものですが、ゲーム中に採点の基となる現在の選手の貢献度を見ることができれば、面白いのではないかと思います。現状では、「今日は何点取った」「スパイク効果率が○%」といった形で言及されていますが、こうしたデータは選手の“貢献”であることは確かですが、どの程度の貢献度か?といわれると根拠を持って答える方法がオープンにはなっていません。

期待される効果

 「選手の試合での貢献度を評価する」方法を突き詰めていくことは、採点法の構築以外にもいろいろな効果が期待できます。

 1つは、個人タイトルの再考です。現在のVリーグの個人賞は、特定のスタッツの記録の良い選手が選ばれます。スパイク賞であればアタック決定率の最も高い選手という形です。

 しかし、現行のスタッツが最も良い選手が、最も貢献した選手なのでしょうか?

 これに関しては、そうかもしれないし、そうでないかもしれないと今のところはいうしかありません。試合ごとの個の貢献を突き詰めていくことで、この現状が変わる可能性“も”あります。

 2つ目は、個の評価法を突き詰めていくことで、個人での貢献による限界を知ることができることにあります。

 「データに現れない部分」というのは何事にもあります。バレーボールにおいては、選手間の連携といった要素は、これにあたります。こうしたブラックボックスにあたる部分も重要であることには疑いがありません。

 ここで大切なのは、このブラックボックスの中身が、どのくらいバレーボールのゲームの結果に影響を及ぼしているのかという程度を理解することです。

 ブラックボックスによって試合の結果にほとんど影響が無いようであれば、無視すれば良いというのは言い過ぎですが、既に明らかになっているデータを優先したほうがよいでしょう。逆に、影響が大きいのであれば、どうやってこのブラックボックスの中から引っ張り出して、測定可能なデータにするのかということが重要となります。

 この隠された部分の影響を知る方法としては、まずは現状測定可能な個のスタッツが勝敗にどれだけ影響しているのかを明らかにすることです。個のスタッツの影響を除いた部分をみれば、ブラックボックスの影響の大きさが見えてきます。

 個の評価方法を突き詰めていくことで、個の評価法では手が届かない領域の大きさが見えてくるようになるということです。

まとめ

 というわけで、今回はプランの話でした。とりあえず手持ちのデータでできることを模索していこうと思います。

 まずは基本に則り、採点の分布の確認を次回はやっていこうと思います。

タイトル画像:いらすとや

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