平均球速と球速のばらつき
前回は平均球速と平均だけでは見えなくなってくる要素もあるのでは?という内容でした。
しかし、平均は同じでもばらつき(分散)が異なる投手がいるかもしれないとはいいましたが、実際にデータを見て見れば、同じくらいの平均球速であれば、分散に大きな違いはないかもしれません。
そこで今回は、平均球速に対して球速のバラツキを、MLBの投手から何人かピックアップして調べてみたいと思います。
リストアップ
今回の分析にリストアップした投手を以下の表1に示します。
2021年のストレート(4-Seamer)の平均球速が95.1m/hと95.0m/hの9人を選びました。95.0m/h付近を選んだ理由は特にないのですが、表にあるNoはストレート(4-Seamer)の平均球速のランキングで、トップクラスに速い投手ではないグループということになります。
この9人とストレート(4-Seamer)の球速のばらつき(分散)を見ていきたいと思います。
球速のばらつき(分散)
それでは、9人のストレート(4-Seamer)の球速のばらつき(分散)をBox Plot(箱ひげ図)に示したものを以下の図1に示します。
赤い箱が並んでいますが、これが各投手の球速を表します。図の右に行くほど球速がはやくなります。
赤い箱の中に黒の縦線が引かれていますが、これが球速全体の50%の値を、箱の右端が球速の速いほうから25%、左端が遅いほうから25%の値を表しています。箱から左右に伸びている棒は25%の所から最大、最小値までの範囲を表していますが、特別逸脱した値は黒の●でプロットされています。
ざっとデータを見たところ、赤い箱は皆同じようなわけではなく、大きさもまちまちで左右にずれていることがわかります。
平均球速は同程度でも分散はどうも違うようだということが概観できましたので、もう少し丁寧に各投手の球速の分布をまとめたものを以下の図2-1と図2-2に示します。
どの投手も95.0m/h付近を頂点とした山型の分布をしていますが、菊池雄星(Yusei Kikuchi)投手は少し右寄りで速い投球が多いようです。
また、Taylor Hearn投手とDillon Tate投手の分布は少し変わっているのでピックアップしたものを以下の図2-3に示します。
山型の分布ではあるのですが、2つ山のあるような分布となっています。これは二峰性の分布というもので、ストレート(4-Seamer)の球速が速い日と遅い日といった違いがある可能性があります。
まとめ
以上、9人と少人数ではありますが、同程度の平均球速の投手の球速のばらつき(分散)を確認しました。結構投手によって違うものであるということがわかりました。
この違いがパフォーマンスにどのように影響しているのかは現段階では分かりません。誤差に過ぎない違いかもしれませんし、何かしらの影響があるかもしれません。この検証は今後の課題となります。
タイトル画像:いらすとや
データ
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