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2020年のダルビッシュ投手の試合中のリリースポイントの変化

 これまでいろいろな投手の試合中のリリースポイントの変化を見てきました。

 何か大きな発見を目指すというよりは、投手の日々のパフォーマンスをモニタリングする方法を模索しているという感じです。

 今回は2020年のダルビッシュ投手を対象に、試合中のリリースポイントの変化を見ていこうと思います。

シーズンを2つに分けて比較する

 毎度同じデータを集計するだけでは芸が無いので、少しずつ新しい要素を加えていくことを目的としているのですが、今回は2020年の成績を2つに分けてリリースポイントを比較してみたいと思います。

 その分け方ですが、1失点以下だった試合(Game A)と、3失点以上の試合(Game B)としました。2020年は全体的に良い結果だったダルビッシュ投手ですが、7月25日と9月の9・15・20日は3失点以上となっており、これらの試合をGame Bとし、残りをGame Aと分類し、リリースポイントを比較してみたいと思います。

ダルビッシュ投手のデータ幅

 リリースポイントのデータを見る前に、ダルビッシュ投手の球種別の球速(release_speed)と回転率(release_spin_rate)の分布を確認します。作図でのデータの範囲を決めるためです。以下の図1-1と図1-2にデータを示します。

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 Baseball Savantのダルビッシュ投手の記録は6球種なのですが、StatcastではカーブがCurveballとKnuckle Curveの2種類に分けて記録されています。

 図1-1と図1-2を見ても球速、回転率ともに違いがあるので、今回の分析では分けて比較していこうと思います。

 このデータを元に、以下の表1に示すデータ範囲を設定し、以降作図していきます。

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試合中の投球数とリリースポイントと球速の関係

 それでは、球種別に投球数とリリースポイントの関係を見ていきます。まずはストレート(FF:4-Seam Fastball)のデータを以下に示します。

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 データは、gif形式のファイルで投球数が試合の開始から10球ずつに分けて作図しており、図の右下に投球数を表しています。左側の図がGame Aのデータ、右側の図がGame Bのデータになります。

 縦の軸がリリースポイントの高さを表します。横の軸は、プレート中央からの位置を表し、ダルビッシュ投手は右投手なのでマイナスが大きいほど、プレートの中央から遠い位置でリリースしていることを意味します。図中の破線は、縦横のリリースポイントの平均値を表しています。プロットの色は球速(m/h)を表しており、速いほど赤色になります。

 プロットの位置を見ると、投球数が多くなるとリリースポイントの位置が低くなることを確認できますが、これは他の投手でも見られる傾向です。

 次に、シンカー(SI:Sinker)のデータを以下に示します。

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 プロットの数が少ないので判断が難しいのですが、Game Bのプロットは全体的に右寄り、つまりプレート中央に近い位置でリリースしているように見えます。

 続いてカットボール(FC:Cutter)スライダー(SL:Slider)を以下に示します。

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 両球種ともGame Bのプロットは全体的に右寄りに見えます。

 次は、カーブ(CU: Curvebal)とナックルカーブ(KC: Knuckle Curve)のデータを以下に示します。

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 これはサンプル不足で何ともいえない結果です。

 最後に、スプリット(FS: Split-Finger)のデータを以下に示します。

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 こちらもサンプル不足なのが苦しい所です。

投球数とリリースポイントと回転率の関係

 同様の集計を、球速ではなく回転率で行ったものを以下に示します。

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 プロットの色を回転率にしていますが、リリースポイントと回転率の関係が良くわかるかというと、そうでもない結果です。

まとめと反省点

 ダルビッシュ投手のデータを集計しましたが、感想と反省点としては、サンプルが足りないとどうしようもないですが、2つ図を並べて比較する方法は悪くないと思いました。シーズンの前後半や、シーズン間の比較等々の工夫の余地があるように思います。

 回転率の色ですが、今は回転率が高いほど濃い色にしていますが、球種によってはベストな回転率を指定して、そこから離れるほど色が薄くなるといった表現のほうが良いかもしれないと思いました。これは急速についても工夫の余地ありです。

 今回は、球速と回転率を集計しましたが、ボールの変化量も加えることができるかなと思いました。この辺りは次回以降の課題です。

タイトル画像:いらすとや

使用データ



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