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バレーボールのデータ分析を担うのは
ここのところはイタリアセリエAのデータを用いてプレーと採点の関係を分析しています。
今回ですが、同じ分析ばかりやっていても段々と面白くなくなってくるので、新テーマの立ち上げの話でもしようかと思います。
併せて、オリンピックが終了し、来し方を振り返り未来に向けて動き出すのには丁度良い時期かと思いますので、ここでやっているようなバレーボールのデータ分析について、思うことを少し書いておこうと思います。
新テーマ:年齢とパフォーマンス
どんな人にも加齢による衰えはやってくるもので、それはバレーボール選手においても例外ではありません。
それでは、選手は若ければ若いほど良いかというと、そういうわけではなく、経験を積むことによる成熟と加齢による衰えの2つが絡むことで、一般に年齢とパフォーマンスは山を登って降りるような関係になることが知られています。
野球では、打者も投手も20代の後半にパフォーマンスのピークが来ることが明らかになり、現在では選手の年齢はかなりシビアに評価されるようになりました。
https://tht.fangraphs.com/how-do-baseball-players-age-part-1/
https://tht.fangraphs.com/how-do-baseball-players-age-part-2/
それでは、バレーボールでは年齢とパフォーマンスの関係はどうなっているのでしょうか?
ざっと探したところ、これを検証したものは見当たらないので、新しいテーマとしてやっていこうというわけです。
競技特性を考慮しなくては
分析に使用しているセリエAの選手のリストには、生年の情報があるので、そこから年齢を計算するのは簡単です。後はシーズンごとの成績と比較すれば良いわけですが、バレーボール特有の難しさがあります。
例えば、スパイク決定率(効果率でも可)と年齢の関係を考えた場合、スパイクの結果は選手個人の能力に加え、ファーストタッチ、セカンドタッチの影響も受けます。これで選手の能力をどれくらい正確に測定できるのでしょうか?
また、セッターが良いセットをあげたというスタッツは、そもそも存在していません(昔のFIVBの帳票にはRunning Setというスタッツもありましたが……)。
こんな感じで、現行のスタッツにも慎重に見なければいけないところがあるし、現行のスタッツでは手の届かないところもあります。
しかし、まずやれることは現行で利用可能なスタッツと年齢の関係を見ることです。その結果を確認して、至らないところがあればどのように発展させていくかが問題になってくるでしょう。
というわけで、いつもの採点の分析に加えて、この年齢とパフォーマンスの関係を整理していきたいと思います。
どんな利点があるか
この年齢とパフォーマンスの関係を明らかにするメリットは、チームの中長期的なプランを立てることが可能になるところにあります。
全ての選手がその1つの傾年齢とパフォーマンスの関係にあてはまるわけではありません。早熟な選手もいれば、晩成型の選手もいるでしょう。
しかし、例えば、25歳でチームの中心となる選手がいたとして、一般的な傾向として30歳を過ぎるとパフォーマンスが落ちてくるとします。
途中大きな怪我をするリスクもありますが、当面5年ほどはこの選手のパフォーマンスには期待できるでしょう。一方で、この選手が30歳を超える5年後には中心となる、次代を担う若手をキープしておく必要もあるでしょう。
ここで、この選手が30歳を過ぎてもパフォーマンスが落ちなければ、それは結果オーライですが、パフォーマンスが落ちないことを前提としたチーム造りを選択することは、チームの中長期的な運営としては問題があります。
こんな感じで、少し長い目で見たプランを立てる際には、チームを構成する選手の年齢というのは非常に重要な要素です。
データ分析を担うのは
この年齢とパフォーマンスの関係は、わかったところでチームを直接勝たせるような分析ではありません。どちらかというと、バレーボールという競技そのものが持つ性質を明らかにする基礎的な分析です。
こうした基礎的な分析を誰が担うべきか?ということについて考えを書かせてください。
ところで、バレーボールのデータを分析する人とは?と聞かれるとどのような人を思い浮かべるでしょうか?多くの人が「アナリスト!」と答えるのではないかと思います。この10年でそのくらいは浸透したと思います。
では、アナリストとはどんな人でしょうか。全日本やVリーグ、今ではアマチュアのチームにも帯同しているアナリストを思い浮かべるのではないでしょうか。彼らはチームに帯同し、チームを勝たせるために働きます。
しかし、バレーボールの基礎的な分析と、アナリストの仕事とは相性が悪いと考えます。
基礎的な分析は、アナリストにはできないというわけではありません。
基礎的な分析をするということは、チームを勝たせるためにデータを分析するアナリストの仕事に加え、さらに別の分析も要求することになります。これではオーバーワークで、アナリストが壊れるか、両方の仕事のパフォーマンスが落ちてしまうだけです。
バレーボールにはアナリストという人がいて、彼らがデータ分析を全部やってくれると思っている人が多いかもしれませんが、有限の時間の中でアナリストが何でもできるわけではありません。
基礎的な分析の積み重ねが、チームを勝たせる分析につながるので、どちらも大切な分析です。これら全てをアナリストに一任するのではなく、分業すべきと考えます。
そのため、アナリストの仕事を支える基礎的な分析を担う人、もしくは組織を設ける必要があるのでは?と考えるわけです。
東京オリンピックがおわりましたが、今後の強化を考えたとき、こうしたポイントもありますよという話でした。
まとめ
今回は新テーマ発表と雑談でしたので、次回からは実際に分析したデータをアップしていこうと思います。
年齢とパフォーマンスの関係に関わらず、バレーボールの基礎的な分析をしている人の数は少ないです。
しかし、この基礎的な分析の積み重ねが、アナリストを助け、ひいてはチームを助けるわけですから、トップダウンで手を打っても良いと思うのですが、どうなるでしょうか?
タイトル画像:いらすとや
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