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年齢と出場機会の関係を別の角度から

 これまで年齢と様々なパフォーマンスの関係を分析してきました。

 その際の分析方法は、以下の図1-1のように年齢とパフォーマンスを1つ1つの点でプロットし、その法則を見るというものでした。

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 これも年齢とパフォーマンスの関係を調べる一つの、そして最も簡単な、方法なのですが、今回は別の角度から年齢と出場機会の関係を見ていきたいと思います。

 以前の分析では以下のリンクで年齢と出場機会の関係を分析しています。

年齢による出場機会の推移に着目して

 今回の分析では、選手1人1人の出場機会の推移に注目していきます。例としてAlletti Aimone選手(Middleblocker)のデータを以下の図1-2に示します。

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 横の軸は年齢で、縦の軸は出場セット数になります。水色が2部(A2)での出場、青が1部(A1)での出場を表しています。

 図1-1では、先で結ばずにバラバラにしていた点を線で結んだ形です。こうやってみると、Alletti Aimone選手は20代の前半は2部(A2)でプレーし、そこから1部(A1)に移ったキャリアが見えてきます。

 図1-1ではバラバラに表現していた点には、選手1人1人のキャリアのパターンがあるということです。そして、選手のキャリアには1人1人の物語がありますが、大勢のデータを集めていくと、いくつかの典型的なパターンというものを抽出することができます。今回の分析では、この選手の出場機会の推移のパターンをセリエAの男子のデータから抽出を試みました。

出場機会の推移のパターン

 どうやって抽出したのかというと、図1-2のAlletti Aimone選手のように各選手の年齢ごとの出場機会数を集計します。このデータを用いてクラスター分析(k平均法)によって、出場機会の推移が似た8つのグループを抽出しました。データを見ていきたいと思います。以下、グループを紹介していきますが、紹介する順番に特に意味はありません。分析の結果抽出された順になります。

 まずは、Group1とGroup2のデータを以下の図2-1と図2-2に示します。

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 横の軸が年齢で、水色が2部(A2)での出場、青が1部(A1)での出場を表しています。

 Group1は主に10代後半に2部(A2)で出場機会を得たものの、20代に入ると出場機会を失うタイプのグループになります。Group2は、1部(A1)と2部(A2)でわずかな出場機会しか得ることのできなかったグループになります。後で選手の内訳を示しますが、大部分の選手はここに該当します。

 続いて、Group3とGroup4のデータを以下の図2-3と図2-4に示します。

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 Group3は20代前半に2部(A2)で出場機会を得て、20代の後半では少ないものの1部(A1)での出場機会を得たグループといえます。Group4は、主に2部(A2)で出場機会を得たグループになります。

 次は、Group5とGroup6のデータを以下の図2-5と図2-6に示します。

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 Group5とGroup6は似たパターンで、キャリアの初期は2部(A2)で出場し、その後1部(A1)での出場へと移るパターンです。2部(A2)でのデビューはGroup6のほうが早いです。

 最後に、Group7とGroup8のデータを以下の図2-7と図2-8に示します。

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 Group7は、主に1部(A1)で出場機会を得たグループになります。Group8はGroup1に少し似たグループで、20代前半に2部(A2)での出場が中心です。

出生の年代とポジションによるグループの比較

 以上、8つのグループがあることがわかりましたが、選手が生まれた年代やポジションによって該当するグループに違いはあるでしょうか。この内訳のデータを以下の表1-1と表1-2に示します。

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 1970年代生まれ(1970-79)と2000年以降の生まれの選手がほとんどGroup2に該当するのは、分析に使用したデータの期間が2010/2011シーズンから2018/2019シーズンという期間であることが原因です。今回のデータでは1980年代生まれ(1980-89)と1990年代生まれ(1990-99)の選手の内訳を見たほうが良いデータといえます。

 1980年代生まれ(1980-89)の選手を見ると、Group4(2部主戦)とGroup7(1部主戦)の選手が多く、カテゴリを跨いだキャリアの選手はそんなに多くないのかなというデータとなっています。

まとめ:データが足りない

 以上、出場機会の推移、つまりは選手のキャリアのパターンを抽出してみました。やってみた感想としては、少しデータが足りません。表で確認しましたが、10年ほどのデータでは特定の世代の特徴しか見ることができません。

 というわけで、扱うデータの範囲の拡大と、イタリア人とそれ以外の出身国の選手の区別など、選手のプロフィールの管理も必要になります。このテーマについては、この辺りの作業が先になりますので、手を付けるのはしばらく先になりそうです。

おわりに

 仮に、ある国がとても強かったとします。そうした国では、特定の年齢になれば急に技術や体力が向上するわけではなく、そこに至るまでにキャリアを積み上げてきているものです。そのキャリアを積み上げていくパターンがどれくらいあるのか?と調べたのが今回の分析で、強い国のプレーを学ぶことも大切ですが、こうしたキャリアの形成を重要な研究対象ではないかと思います。

今回の分析で使用したデータは以下のGithubにアップしています。ご自分で分析してみたい方はデータをダウンロードして利用してください。

タイトル画像:いらすとや

データ元
https://www.legavolley.it/



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