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打球の距離によるHRの期待値とその分布

 これまでの分析では、大谷翔平選手、Vladimir Guerrero Jr.選手、Salvador Perez選手の打球の距離から求めたHRになる確率(HR期待値)のデータを見てきました。

 とはいえ3人分のデータでは心許ないので、今回は2021年のMLBのデータから求めたHRの期待値を確認したいと思います。

HR期待値の分布

 最初に2021年のMLBで打球の距離から求めたHRの期待値の分布を確認します。これがわからないことには、HRの期待値が90%以上の打球が何本というデータの価値が見えてきません。というわけで、データを以下の表1に示します。

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 左側がMLB全体のデータから飛球(フライ・ライナー・ポップフライ)がHRの期待値を求めた値の分布で、右側が球場ごとの飛球でHRの期待値を求めた分布になります。HRの期待値はレフト・センター・ライトの3方向でそれぞれ算出していますが、表では期待値の値でまとめています。

 データを見ると、飛球の約90%はHRの期待値が10%未満であるということです。そして、HR期待値が10%を超える飛球はそれぞれの区分で1%ほどしかありません。90%を超える期待値はわずかにこの値が高くなっています。

 そして、全体的な傾向として球場ごとに計算した値のほうが期待値は高めに出ていることがわかります。

HR期待値の分布は打者によって変わるか?

 次に、このHR期待値の分布が打者の能力によって変わってくるかどうかを確認してみたいとおもいます。

 打者の能力として今回はHR/FBの値から打者を分類します。ただし、ここでのFBは飛球(フライ・ライナー・ポップフライ)の値とします。一般的なフライのみを対象としたHR/FBとは値が異なってくる点には注意してください。

 それではMLB全体のデータからHR/FBの高さでHR期待値の分布を比較したものを以下の表2-1に示します。

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 縦にHR期待値を、横にHR/FBの値をとっています。左の列ほどHR/HBの高い打者のHR期待値の分布を表しています。

 HR/FBの高い左側の列の打者ほど、HR期待値が10未満の割合が低く、90%以上の割合が高くなっていることを確認できます。

 同様の集計を、球場ごとにHR期待値を求めたデータで行ったものを以下の表2-2に示します。

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 表2-1と同様の傾向を確認できます。

3人の打者のHR期待値の分布

 それでは、冒頭にあげた大谷翔平選手、Vladimir Guerrero Jr.選手、Salvador Perez選手の3人のHR期待値の分布は、MLB全体と比較するとどのような特徴があるでしょうか。データを以下の図1-1に示します。

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 HR期待値が10%未満の値は他と比べると高すぎるので、図では数値で表しています。3人の打者の特徴をMLB全体の分布と比較すると、HR期待値が90%以上の打球の割合が大谷選手はMLBよりも高く、他の2人は低いことが分かります。

 次に、球場ごとにHR期待値を求めたデータで同様の集計を行ったものを以下の図1-2に示します。

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 図1-1では差があったR期待値が90%以上の打球の割合がこちらでは3人の間がより詰まっています。このデータの変化、何か意味がありそうなのですが、現時点ではこれを判断することができません。次回以降、試行錯誤しながら調べていく予定です。

まとめ

 ほとんどの飛球はHRになる確率がほとんどない10%以下の期待値であるということが分かりました。そしてMLB全体で求めた期待値と、球場ごとに求めた期待値では選手によってはデータが変わってくるようです。これが意味する所の検証が今後の課題といえます。

タイトル画像:いらすとや

データ



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