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流れについて

 久しぶりの更新です。10月にDELTAのイベントがありまして、そちらに注力をしておりました。

 このイベント、事前に募集した質問に回答するコーナーがあったのですが、「流れ」に関する質問もいくつかありました。

 イベントの内容からは遠かったので、回答することにはならなかったのですが、結構興味がある人がいるのだなと思ったのと、時折SNSでも流れについての議論を目にすることがあります。

 今回はリハビリを兼ねて、この流れの議論に自分も参加してみたいと思います。といっても、自分は流れというものはこういうものだ!という提案をするわけではなく、流れに関する議論についての見解をあげてみたいと思います。

流れ論に必要なのは……

 流れの議論では「流れというものは、自分はこういうものだと思う」という意見が出てくることが多いです。皆さん一家言あって面白いのですが、自分としてはそこからもう一歩踏み込んで、定量的な評価が必要なのではないかと考えます。

 そもそも流れに言及する際にあたって、自分が主張する“流れ”が正しいことをどうやって証明したらよいのでしょうか?この方法がはっきりしない以上、「自分はこう思う」と主張したところで、議論に出口が無いと思うからです。

流れの定量的評価は必要か?

 流れの存在を証明することが難しい以上、流れについて議論することは無駄でしょうか?

 自分はそうは思いません。

 劣勢をひっくり返すような選手のプレーや監督の采配、同じプレーをしても不思議と流れを引き寄せるような選手や監督が本当に存在するとすれば、贔屓のチームにはぜひ来てほしいはずです。

 需要があるなら、検証して掘り下げる価値はあるでしょう。

流れの定量的評価の方法

 しかし、流れの存在を証明できないのに、どうやって定量的な評価ができるでしょうか?

 これは、(仮)で構わないので、まずは流れを定義することから始める必要があります。

 次いで、その定義に則り定量的に測定し、指標化します。

 この指標が実用に耐えるものであれば、自分は流れを測定する指標として合格、意味のあるものだと考えます。

 実用に耐えるというのは、勝利数の増加、もしくは得点増か失点減に貢献しているかという観点から評価します。

 例えば、流れを引き寄せるプレーをした回数という指標を作成した場合、それが野球において求められる利得、つまり勝利や得失点にどれだけ結びついているかという点が求められるということです。

それは“真の”流れなのか?

 この方法で流れの定量的評価を目指した場合、大きな問題が残ります。

「あなたのいう流れって、“真の”流れといえるの?」という問題です。

 この問いに対する答えは「わからない」になります。

流れに対するスタンスの問題

 「わからない」なんていい加減なことと言うなと思ったかもしれません。しかし、これは“流れ”という現象に対するスタンスの問題になります。

 私としては、“流れ”という現象の真理よりも、それがどのくらい野球に貢献しうるかという点に興味があり価値があると考えます。この場合、現実的に勝利や得失点に貢献し得る指標であれば、そこに“真の”という冠が付くかどうかに、そこまで価値を見出せません。

 逆に、真の流れを証明しうる方法が見つかって、真の流れを指標化できたとしても、それが勝利や得失点に全く影響しないのであれば、それって必要だろうか?とも感じます。

 こうしたスタンスは、「流れ」という現象の解明に興味のあるというスタンスの人とは合わないと思います。これはスタンスの違いであって、真の流れにたどり着くために思索を続けることを否定するわけではありません。

定量的評価の先に

 定量的な評価を続けていくと、ある人の流れの定義と指標と、他の人の流れの定義の指標は食い違うけれど、それぞれ勝利や得失点に貢献しており実用に耐えるということが起こるかもしれません。

 これは、真の流れという観点から見ればどちらかが間違っている可能性もありますが、今は単に流れといっている現象に複数の要素があって、それをそれぞれ捉えているという可能性も考えられます。

 結局、真の流れを追求する意味でも、流れの定量化が進むことはマイナスではないと思います。たくさんあって問題は無いのですから、まずは(仮)の定義で構わないので、定量的な評価を目指すべきだと思います。

アイデアはあちこちに

 この流れの定量化、正直なところ自分は手が回りそうもありませんが、流れについて一家言のある人は、是非トライしてみてほしいところです。

 また、一家言など無いという人も、例えば、野球中継を見ていれば、「こうしたプレーの後には流れが来る」というようなことを解説者は度々言っているので、それを参考に定量化にチャレンジしても良いかと思います。

 実用化に成功すれば、結構大きな発見になると思います。

 というわけで、今回はここまでです。次回からはトラッキングデータの分析に戻る予定です。


タイトル画像:いらすとや


 

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