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Khris DavisとMike TroutのHR期待値の変化

 前回の分析では、HR期待値の分布のシーズン間の変化の特徴を分析しました。

 その結果、前年のHR/FB(*)が10.0%を超える高い成績を残した打者は、翌年は90%以上のHR期待値の割合が低下するということがわかりました。 

*ここでのFBは飛球(フライ・ライナー・ポップフライ)の値とします。一般的なフライのみを対象としたHR/FBとは値が異なってくる点には注意してください。

 90%以上のHR期待値の飛球というのは、ほぼ文句なしの一発と呼べるもので、そうした打球が減少するということは、前年が出来過ぎたことに対する揺り戻しの効果ではないかと考えられます。

 今回は、前回の分析で前年(2018年)にHR/FB(*)が10.0%を超える打者のグループから2人の打者、Khris Davis選手とMike Trout選手をピックアップし、2018年と2019年のHR期待値の分布の変化を見てみたいと思います。

HR/FBの変化

 HR期待値の分布を見る前に、2人のHR/FBの値を確認しておきたいと思います。
 
Khris Davis → 2018 : 12.7%, 2019 : 7.1%
Mike Trout → 2018 : 11.4%, 2019 : 13.0%

 
 Khris Davis選手は2019年のHR/FBは7.1%まで低下しているのに対し、Mike Trout選手は13.0%と逆に高くなっています。

HR期待値の分布の変化

 まずはKhris Davis選手の2018年と2019年のHR期待値の分布を比較したものを以下の図1-1に示します。

 2019年はHR期待値が90%以上の飛球の割合が大きく減少していることを確認できます。
 
 このデータはMLB全体のデータを用いて打球の距離からHRの期待値を求めましたが、次は球場ごとに打球の距離からHRの期待値を求め、同様に比較してみたいと思います。データを以下の図1-2に示します。

 HR期待値が90%以上の飛球の割合を見ると、こちらも2019年に割合が大きく減少しています。図1-1では2018年のHR期待値が90%以上の割合はMLB全体の割合と同程度ですが、図1-2では球場ごとの割合よりも2018年のHR期待値が90%以上の割合はMLB全体の割合よりも高いことがわかります。
 
 次に、Mike Trout選手のHR期待値のデータを以下の図2-1に示します。

 HR期待値が90%以上の飛球の割合を見ると、2018年から2019年にかけて低下していることが分かります。ただし、2018年の割合が非常に高く、低下した2019年でもMLB全体の割合と変わらないことが分かります。
 
 次に球場ごとに打球の距離からHRの期待値を求め集計したデータを以下の図2-2に示します。

 図2-1ではHR期待値が90%以上の飛球の割合に2018年と2019年では差がありましたが、球場ごとのHRの期待値では差が無いことがわかります。

まとめ

 以上、シーズンを挟んで飛球あたりのHRが減少した打者と維持、もしくは微増の打者のHR期待値の分布を比較しました。
 
 結果としては、HR期待値が90%以上の飛球の割合に2人の違いを見ることができましたが、ここの差に本当に意味があるのかはもう少しサンプルを増やして検証する必要があります。
 
タイトル画像:いらすとや

データ

 
 






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