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短期決戦の構造とは

リーグ戦だけがバレーボールではない

 前回までバレーボールの構造についてあれこれと解説してきました。ここまでの流れとしては、

・勝率とサイドアウト率、ブレイク率との間には強固な関係がある。
・この関係をチーム作りに利用することができる。
・そこからバレーボールの構造が見えてくる。

 というものでした。これまで書いた分は末尾にリンクをつけておきます。

 ここからが今回の本題ですが、上記の一連のお話は「リーグ戦の勝率」を最終目標にしています。『リーグ戦でより多く勝利すること』を最終的な目的としているわけです。

 しかし、Vリーグではレギュラーラウンドというリーグ戦の後に、ファイナルラウンドという短期決戦が控えています。こうしたリーグ戦から短期決戦に移るという競技は少なくありません。

リーグ戦と短期決戦の構造は同じと考えても良いのでしょうか?

これについての答えはシンプルで、「検証されていないのでわからない」となります。

 これから検証が必要なテーマなわけですが、すぐにデータ分析に飛びつく前に、まずは短期決戦の構造とはどのようなものかを色々と考えておくことも重要です。

 そこで今回は、短期決戦の構造についてのアイデアをまとめておきたいと思います。

短期決戦の構造は?

 予め断っておきますが、ここで想定したことが実際にデータを分析した場合に違った結果となる場合は当然あります。あくまでアイデアという認識でお願いします。

 結論からになりますが、個人的な見解として短期決戦の構造は、

 リーグ戦と基本的な構造は変わらない、ただし精度は落ちる。

 と予想します。こう考える理由として以下の2つがあげられます。

・短期決戦では結果が不確実になりやすい。
・短期決戦に有効な方法が見つかっていない。

 こんなところです。以下、説明していきたいと思います。

短期決戦の不確実性

 リーグ戦と短期決戦の最も大きな違いは、その試合数にあります。文字通り短期決戦は試合数が少なく、そこから得ることのできるデータも少なくなります。

 データが少ないとどうなるか、“データを通じて私たちが見ているもの”でも紹介しましたが、チームや選手が持っている能力と観測されたデータとの差が大きくなり易くなります。

 実力以上の結果になる場合もあれば、実力が出せないような場合も珍しくなくなるということです。

 こうした状況で2チームがぶつかれば、時に番狂わせもあれば、信じられないようなエラーが起こることもあります。

 競技する側の人間からしてみれば、理不尽な結果が起こりやすくなることはあまり歓迎できないことかもしれませんが、見る側からすれば、これをドラマや魔物と呼んで楽しんでいる側面もあります。

 いずれにせよ、競技する人間にはコントロールすることのできない要素が、短期決戦では重くのしかかってきます。

短期決戦を制するもの

「短期決戦を制する者は何か?」といわれると、バレーボールに一家言のある人ならば、小一時間は余裕で語れるのではないでしょうか?また、探せば名将の言葉がいろいろと出てくるのではないかと思います。

 その一方で「短期決戦に有効な方法が見つかっていない」としたのは、結果論ではなく効果があることが認められたものは、まだ見つかっていないという意味です。

 その時々では上手くいった方法があっても、より一般化した短期決戦という状況でも有効であるか検証され、その結果として効果が見つかったものはまだ無いと思います。

短期決戦においてできることは

 こうした状況を踏まえると、短期決戦においてもリーグ戦の構造と同じように捉え準備していくしかないのではないか、というのが現状から言えることです。ただし、最善を尽くしても不運な結果となる場合もあるし、正規の番狂わせが起こる可能性もあるわけです。こうした不確実性は受け入れるしかないものです。

「まだ見つかっていない=存在しない」ではない

 現状を整理すると、短期決戦とは不確実な影響を受けやすく、短期決戦を制する方法は未だ見つかっていません。また、これを見つけるのも容易ではないでしょう。

 ただ、見出しにも示したように、まだ見つかっていないということは、即ち存在しないということではありません。データを詳細に分析していくことで、もしかしたら、必勝法とまではいかなくても、短期決戦を有利に進めていく方法が明らかになる可能性はあります。

 データを自ら分析するメリットはここにあります。他がまだ気が付いていない有効な方法を見つければ、いずれは他が追随してくることになりますが、それまで利益を独り占めすることができます。勝利を望むチームであれば、コストを投じても追及すべきものです。

 重大な発見とは、多くの人が「そんな所を掘っても何も出てこないよ」といっているところから、金脈を掘り出すことで生まれることも少なくありません。ただ、多くの人が敬遠するということは、成功の可能性が低いことも事実です。そうしたリスクを踏まえても、チャレンジする価値のあるテーマではないでしょうか。

 興味を持ったり、異論反論のある方がこれを期に分析を始めてもらえると嬉しいです。

タイトル画像:いらすとや


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