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スパイク決定率の安定性
※2021/02/07 データ修正により図3~5を修正
前回、スタッツを見る上でシーズン間の安定性が重要であるという解説をしました。
今回は、2010/2011シーズンから2018/2019シーズンのイタリアのデータを使って、スパイク決定率の安定性を見ていきたいと思います。
果たしてスパイク決定率は安定したスタッツといえるでしょうか?
スパイクの打数と決定率の分布
シーズン間のデータの安定性を見る前に、スパイクの打数と決定率の分布を確認し、打数の足切りラインを決めておこうかと思います。
そもそも打数が少なければ決定率の安定性を欠いてしまうからです。
今回は、男子のセリエA1とA2、女子のセリエA1のデータをミドルブロッカーと、スパイカー(ミドル以外のスパイカー)に分けてデータを見ていきます。
まずは以下の図1に男子のスパイクの打数と決定率の分布を示します。
この図では、右に行くほど打数が多く、上に行くほど決定率が高くなります。ミドルのほうが打数は少ないですが、決定率は高いのが特徴です。A1とA2の違いはほとんどありません。
そして、スパイクの打数が少ないほど、決定率のプロットは上下に幅広くなります。
続いて、女子のデータを以下の図2に示します。
男子と概ね同じ傾向です。そこで今回は、ミドルは50打数、スパイカーは100打数を足切りのラインに設定し、このラインより打数の多い選手を分析の対象とします。
シーズン間の安定性
足切りのラインが決まったので、2年連続この足切りラインをクリアした選手を対象に、前年と翌年の決定率の相関係数を求めました。この値が大きいほどシーズン間で安定したスタッツといえます。
まずは、男子のA1のデータを以下の図3に示します。
ミドルで弱い相関、スパイカーでは中程度の相関関係が認められました。
続いて、男子のA2と女子のデータを以下の図4と図5に示します。
こちらも男子のA1と同様の傾向です。
いずれも前年と翌年の決定率に相関はありますが、それほど強い相関とはいえず、前年のスパイク決定率は翌年の目安にはなるものの、それほど安定したスタッツとはいえないようです。
おわりに
スパイク決定率は安定性しているとはいえない結果でした。
バレーボールでは、各国のリーグ戦の後に代表チームが動き出しますが、シーズンで良い決定率を残した選手がいた場合、スタッツだけ見て代表チームに呼ぶことは無いと思いますが、少し注意が必要かもしれません。
今回はスパイクの決定率で分析しましたが、これに失点も考慮した効果率({得点‐失点}/打数)で分析するとどうなるかは気になるところですが、決定率と効果率の相関が高いので、今回の分析結果とさほど変わらない結果になる可能性が高いと考えます。
なぜこのように安定性が低いかを考えるに、まず、ミドルの相関係数が低いのは打数が少ないことが影響していると考えられます。これに加えて、スパイク決定率の計算では考慮されない、スパイク時の状況、セットやブロッカーの状況が安定しないことも影響しているのではないかと思います。
という感じで、スパイク決定率のシーズン間の相関から安定性を求めてみました。次回からは他のスタッツでも分析してみようかとおもいます。
今回の分析で使用したデータは以下のGithubにアップしておきました。ご自分で分析してみたい方はデータをダウンロードするなりして利用してください。
使用したのはこの中の以下のファイルになります。
・Legavolley_personal_stats.csv
・Legavolley_femminile_personal_stats.csv
タイトル画像:いらすとや
データ元:
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