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レセプションの安定性

 これまで、スパイク決定率、サーブの得失点とシーズンを挟んだデータの安定性を分析してきました。

 今回はレセプションについて分析したいと思います。

若干クセのあるイタリアのデータ

 分析にはイタリアのセリエA男女1部と2部のGamelog、つまり1試合ごとのデータを1シーズン分に合算して使っているのですが、レセプションに関しては若干のクセがあります。以下に例を示します。

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 これは、サイト上のデータを一部抜粋したものですが、レセプション(RICEZIONE)には4つのデータが用意されています。

 1行ごとに選手のスタッツが、1列ごとに異なるスタッツが並びます。

 一番左の空欄は、レセプションの受数になります。1と2という数値がありますが、各選手のレセプションの受け数が1本と2本という意味になります。

 となりのERRはエラーの本数になります。そして、Pos(Positive +#)%とPrf(Perfect)%と続きます。こちらは割合になっているので注意が必要です。

 Pos(Positive +#)の+と#は、以下のデータバレーでのレセプション精度の分類法を反映していると考えられます。

+ 良:ネットから1~2m 離れ、いずれかのコンビ攻撃が使えない
# 完璧(最高の位置とボールの軌跡)


 つまり、Pos(Positive +#)は+良と#完璧の結果の合算値、Prf(Perfect)は#完璧のみの値ということになります。例ではPos%とPrf%が共に100%となっていますが、Pos%にはPrf%が包含されるためです。

 先述したように、1試合ごとのデータから、1シーズン分のデータに合計したいので、Pos%とPrf%をそのまま加算していくことはできません。そこで、以下のような処理をおこないました。

Prf = 受数 × Prf%
Pos = 受数 ×(Pos%-Prf%)

 この計算では、PosやPrfの数が整数とならないケースが出てきますが、今回はそのまま加算しています。そして1シーズン分のPos%とPrf%を求めていますが、上記の計算分の誤差を含んだ値ということは了承ください。

年度間相関を求める

 それでは、各カテゴリで2シーズン連続100本以上の受数の記録のある選手を対象に、Err%とPos%とPrf%の年度間相関を求めました。まずは男子の1部(A1)の結果を以下の図1に示します。

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 Err%は弱い正の相関、Pos%は相関が認められず、Prf%は中程度の正の相関関係が認められました。この中でシーズンを挟んで安定したスタッツといえるのはPrf%くらいで、Err%とPos%は安定しているとはいえません。

 男子の2部(A2)と、女子の1部(A1)と2部(A2)のデータを以下に示します。

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 相関係数に若干の違いはあるものの、Err%とPos%とPrf%の安定性は男子の1部(A1)と同じといって良い結果です。

平均回帰傾向の確認

 次に、レセプションでも平均回帰傾向を確認したいと思います。スパイクとサーブは以下のリンクで分析しています。

 年度間相関は前年と翌年のスタッツの相関を見ますが、平均回帰傾向は前年と『翌年-前年』のスタッツの相関を見ます。この分析で負の相関関係が認められた場合、前年の成績が良ければ翌年の成績は低下、前年が悪ければ翌年は向上しているということを意味し、平均回帰傾向が認められたといいます。

 年度間相関が低く平均回帰傾向が認められた場合、そのスタッツは選手の能力以外の部分に左右されやすいという性質を持つことになります。速い話が、そのスタッツを見ても選手の能力が見えにくいということです。

 それでは、男子1部(A1)のデータから見ていきましょう。

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 全部で負の相関が認められていますが、年度間相関の最も強いPrf%の負の相関は最も弱く、年度間相関は認められなかったPos%の負の相関関係が最も強くなっています。

 他のカテゴリのデータも見てみましょう。

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 全体的な傾向は男子1部(A1)と同じといって良いでしょう。Pos%の負の相関関係は強く平均回帰傾向が認められたといえ、年度間相関は認められなかったことから、選手の能力以外の影響を受けやすいといえます。

 今回はたくさん相関係数を求めたので、最後に一覧を置いておきます。

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まとめ

 以上、レセプションの安定性の分析でした。算出方法の問題はあるかもしれませんが、Pos%は安定性が低く、選手の能力以外に左右されやすいスタッツといえそうです。一方で、Prf%の安定性は高く、レセプションの精度の違いとはいえ、その性質の違いは知っておく必要がありそうです。

 今回の分析で使用したデータは以下のGithubにアップしています。ご自分で分析してみたい方はデータをダウンロードするなりして利用してください。

 使用したのはこの中の以下のファイルを1シーズン分の成績に集計したものになります。

 ・legavolley_personal_gamelog.csv
 ・Legavolley_femminile_personal_gamelog.csv

タイトル画像:いらすとや

データ元:


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