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セッターの評価を考える

 ここのところリベロの評価を考えるということで、リベロの評価方法について酒井大祐氏の著書や、山本智大選手のインタビューから考察してきました。

 今回は趣向、というよりポジションを変えてセッターの評価方法について考えてみたいと思います。

セッターの仕事

 評価の対象となるセッターのプレーは、3回許されるボールタッチのうち、2回目であることが大きいことから直接得点に関わることが少ないという難しさを抱えています。一方で、チームの司令塔のような役割を期待されるポジションでもあります。では、

良いセッターとはどんなプレーをする選手を指すのでしょうか?

 アタック決定率の高いセッターが良いセッターなのか?それとも美しい軌道のセットをあげることが良いセッターなのか?アタッカーに均等にセットを配分するのが良いのか?試合を通じた効果的な配球が存在するのか?

 こうしたことを考え始めると、存外評価の難しいポジションではないかと思います。

野球で似ているのは…

 あくまで個人的な考えですが、こうしたセッターに要求される要素は、野球ではキャッチャー(捕手)に近いのかなと感じています。

 野球におけるキャッチャーも、扇の要というポジションで、投手を如何にリードするかという配球面での貢献を大きく求められるポジションです。

 ところが、さまざまなデータの分析手法や測定機材の発達した今日であっても、捕手のリードを評価する方法は確立されていません。また、「リードが悪い!」と指摘される多くのケースは投手が打たれた直後であり、喧々諤々議論されるリードも結果論でしかないという指摘もあります。

 アタッカーと投手という違いはありますが、彼らをコントロールする役割を求められており、その良し悪しを評価するのは難しいという点は似ていると思うわけです。

直接の評価は難しくても

 配球の評価のように、直接定量的な評価が難しいプレーというのは、それほど珍しいものではありません。これが評価可能になるには、測定機材の進化などが待たれるわけですが、待つ以外に打つ手がないわけではありません。

 それではどうするのかというと、直接的な評価が難しければ、間接的に評価をするわけです。例えば、キャッチャーの間接的な評価方法には以下の図に示すようなものがあります。

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 これは、1人の投手に対して2人のキャッチャーがそれぞれバッテリーを組んだ時の投球成績(失点など)を比較するというものです。

 この方法では、配球の良し悪しまではわかりませんが、結果としてどれくらい失点等を抑えることができたかという点から、間接的に2人の捕手の比較が可能です。

 この方法の良い所は、結果に対する投手の力量を同等と見積もることができるところです。2人のキャッチャーがそれぞれ別の投手と組んでの成績だと、それが投手の力量によるものなのか、キャッチャーのお陰なのか判別できないため、このような間接的な方法が提案されました。

 しかし、残念なことに、1人の投手が2人のキャッチャーとバッテリーを組むというケース自体が稀なため、あまり定着はしませんでした。

 バレーボールで考えた場合、こうした評価は導入が可能でしょうか?シーズンを跨いでしまうとチーム事情も大きく変わってしまうので、できれば同一シーズン内、同一ゲーム内での成績の比較ができれば望ましいのですが、結構難しいかもしれないですね。

付加価値に注目する

 これも間接的な評価の1つになりますが、配球という部分がブラックボックスなら、現状で定量的な評価が可能な部分で評価しようというのがキャッチャーの評価方法だったりします。なので、打撃能力、盗塁の阻止、そして近年ではきわどいボールをストライクにするフレーミング能力といったところがみられています。

 これはバレーボールにも適用可能な考え方で、ブロックやサーブによる得点でどれくらいの貢献があるのか、という点には注目しても良いかと思います。

まとめ

 より高度な測定機材が導入されればセッターの評価もいろいろ開けてくるとは思いますが、それを待つ間にも間接的な評価は何かしら可能ではないか?という話でした。

 特に、セッターがセット以外でどれくらいの貢献をもたらしているかという付加価値の部分は、記録がしっかりあるので、やろうと思えばできる方法です。

 この辺りはいずれ分析してみようと思います。

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