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ノーベル賞も取ったタンパク質の進化って何?

進化とは?

同じ種同士から生まれた子どもが、突然変異によりその種とは違う遺伝を持ち、それが伝承され、元の遺伝が作れなくなってしまうほどに変異する、これが「進化」と定説されています。
自然の環境との適応が原因で、進化がなされているのだと言うのがダーウィンの「自然選択説」となります。
途中で遺伝変異が受け継がれず断絶や、サナギから蝶へ形態が変貌してしまう変態や成長とは違います。


生き物だけではなくタンパク質も

先ほど述べた進化を人工的に応用した技術が2018年にノーベル化学賞を分子進化工学の権威3人へ贈られました。

1人目のアーノルド氏はサブチリシンという酵素をin vitro、溶液と遺伝配列から進化させる酵素を作成する指向性進化法という新たな手法を開発しました。
この手法は、酵素の遺伝配列をランダムに突然変異させることで、より良い機能をもった酵素を探すために活性測定を行い、さらに向上させるために遺伝配列を突然変異させるサイクルを繰り返します。
そして生き物が本来作り出す物質ではない人工物質も作り出せるようになっています。
例として、うまみ成分、糖尿病の薬、脂質降下薬などがあります。

そしてスミス氏は、1985年、数多くの遺伝子から必要に応じたタンパク質を作るために効率よく選ぶファージディスプレイと呼ばれる方法を開発しました。
ファージとは、細菌にゲノムを注入するウイルスで、感染すると宿主を溶かして、複製、そして増殖します。
ファージディスプレイとは、溶菌しないタイプのファージに様々な遺伝配列を宿主の大腸菌に組み込み、複製された際に外殻部から提示ペプチドなる標的分子に結合するビーズをあてがいます。すると目的ファージだけが捉えられるのです。

ウィンター氏は、このファージディスプレイ法から得られたペプチドを、さらに連なった高分子ペプチドである抗体に、そしてファージに取り込む遺伝配列を指向性進化法にて機能性に富んだものの作製に応用開発しました。
そして、抗体の特定した物質と結合する特徴を生かした抗体医薬品として世に出回っているのです。
すでにリウマチやがんの治療などに活用されていて、今も研究が進められています。

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