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睡眠がもたらすものとは…

脳の休息とされている睡眠。
2021年8月に新たな発見がされた。それは睡眠を行われる際に脳がリフレッシュされている機構が観測されました。

ヒトを含む哺乳類は休息を得るために睡眠を行い、レム睡眠、ノンレム睡眠の2つの異なる睡眠状態をサイクルすることで構成されている。
レム睡眠は夢を見ているが筋肉などの身体的には弛緩されている状態を、ノンレム睡眠は大脳を休ませることで深い眠りとされている状態を示す。
さらに睡眠中の脳では、必要な血液中の酸素や栄養を送り届け、不要となった二酸化炭素や老廃物を回収する物質交換は、毛細血管を介して行われ、毛細血管の血流は脳の機能維持に重要とされている。

しかし、どのような仕組みで不要となった物質をリフレッシュさせ、脳の機能維持を行われているのが疑問視されていた。

今回の研究で、組織深部の観察ができる二光子励起顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いて、マウスの脳内の微小環境を直接観察できる技術を確立し、睡眠中のマウスの脳における毛細血管中の赤血球の流れを直接観測することに成功した。

その結果、レム睡眠中に、大脳皮質の毛細血管への赤血球の流入量が、心拍出量の15%という高い割合を占め、大幅に増加しており、さらに、マウスの大脳皮質のさまざまな領野を詳しく観察したところ、いずれの領野においても、毛細血管へと流入する赤血球数は、覚醒して活発に運動している時と深いノンレム睡眠中には差がない一方で、レム睡眠中は2倍近くも上昇することが判明しました。

このことから、レム睡眠中に大脳皮質で活発な物質交換が行われ、脳がリフレッシュされていると推測されました。

もう一つの研究では、レム睡眠中の毛細血管の血流上昇に、カフェインの標的物質でもあるアデノシン受容体が重要であることも分かりました。

成人の睡眠の割合には個人差があるが、レム睡眠の不足によって、大脳皮質での活発な物質交換を損ない、不要物質の蓄積からアルツハイマー病や認知症などの発症に関与している可能性がある。

この研究は、レム睡眠中の血流量が増減する鍵にもなるアデノシン受容体を標的とした医薬品の開発の着手するきっかけとなり、神経変性疾患の発症リスクを防止する起爆剤となり得るだろう。

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