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ライターになりたい人必読の書-佐藤友美「書く仕事がしたい」

ライターになりたい人、ライター初心者の人
こんな悩みを抱えていないでしょうか

・ライターになりたい。でもなり方が分からない
・文章力以外に何が必要なんだろう?
・書く仕事を得るにはどうしたらいいんだろう?
・ぶっちゃけ生活できるほど稼げるの?

こういった悩みに対して真摯な言葉で応えてくれる一冊
それが佐藤友美「書く仕事がしたい」です

ライターへの憧れ・勘違い

ライターは文章を武器にするアーティスト、私もかつてはそんな憧れを持っていました
音楽に夢中で、音楽ライターに憧れていた10代
音楽ライターをミュージシャンと言葉に互角に闘うキラキラした職業、自らの音楽論をぶつける熱い職業、と夢想していました
ロッキング・オン・ジャパンを読み耽り、分厚いインタビューから漲るパワーを感じ将来はライターになるんだ!と考えていました

しかし現実は泥臭い仕事です
当時のロッキング・オンも音楽理論誌ではなくあくまで宣伝のための雑誌であり、取材だけでなく音楽事務所への広告営業を兼務するハード仕事だというのは大人になってから知ったことです

私の例は極端ですが、いまいちイメージの付きづらいのも事実
そんなライターの職業を著者の話し言葉を思わせる優しい文体でまとめています
決して華やいでもないしフリーライターともなれば時間に関係無く終わるまで仕事が続く
でも裏を返せば時間に縛られない仕事が出来るということ
企画を生み出し続け「書き続けられるライター」になれば業界では重宝されること
著者の前向きで優しくかつ経験に裏打ちされた体験談で「ライターになろう」と励まされる一冊、本書はChapter1からChapter5までの5部構成です

Chapter1「書く仕事を知りたい」

書く仕事にそもそも何が存在するか
本書では小説家・脚本家は対象外、ライター・コラムニスト・エッセイストを対象としています
ライターを職業にする上で大事なポイント
それは「完璧な文章なんて絶対一生書けない」ということ
筆者は『プロのライターとして書き続けられるかどうかは「書き終わる」かどうか』と言っています
ただ自分の考えを文字に起こすだけでない
読者を想定して「納品」するまでが文章

そして気になるお金の話
ライターになると書くだけでなく取材、準備も含まれるので決して安定して稼げる仕事でないことが分かります
フリーのライター募集記事では「1文字1円」案件もよく見かける話です

Chapter2「デビューするまでのこと」

この章ではライターデビューするには必要な道具、マインドについて
「仕事につながる強みを用意する」項目では選ばれるライターになるための著者なりの方法が展開されています
言い回しを学ぶため作った”類語辞典”は参考にできます

Chapter3「書く仕事に必要な技術」

いよいよ仕事を獲得してデビューした後の話です
取材における注意ポイント、文章術について
因果関係をはっきりさせ接続詞で文章を繋ぐ-言葉を文化人類学の手法「KJ法」でまとめる点は画期的です

そして気をつけたい「炎上」対策
ウェブでも紙の書籍でも一部を切り取られたり言葉尻を捉えられたり、炎上が相次ぐ昨今
コンプライアンスへの意識は注力すべきポイントです

Chapter4「書く仕事に必要なマインド」

編集者との付き合い方、disコメントへの対応
ここでも炎上への対応について
私がこの項目を読んで率直に思ったことは著者は感情と思考を分離できる人だなということ
炎上は誰でも避けたいし当事者になりたくはない
最近でも東京五輪の演出家炎上事件は関係の無い私でさえ暗澹たる気分になりました
当事者はなおのこと辛いはず
筆者のTV制作会社時代の怒鳴り散らす上司のエピソードは参考にできるはずです

Chapter5「とどまらずに伸びていくこと」

ライターとしてヒット作を生み出した著者がいま思うこと
自分の強みを必死に考え続け産休・育休を取りキャリアを総括しています
これまで数多の文章術の本は世間に溢れていました
note読者ならライターに憧れたことは一度はあるはず
でも書くことを仕事にするにはどうしたらいいか?
そもそもライターって何か?
ライターへの入口は何があるのか?
そして継続して食べていくには何が必要か?
著者の人柄が伝わる温かい言葉を目の前で語りかけられるような一冊です

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