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湯島のブックバーで「気絶」している話

気絶とは

気絶の魅力を伝えたい
だけど、気絶がこれ以上人気店になってほしくない
ただでさえ入店待ちの人がいる程の人気店だから知られたくない、知る人ぞ知る隠れ家であってほしい
でも私にとって今後の人生に関わるような宝物を見つけた、そう思っているから書くことにした


湯島のブックバー「気絶」に通っている
通っている、といっても現時点でまだ2回行っただけだ
でも運命を感じた
これからも通いたいし、10年先も20年先もこの店があってほしい

「気絶」は一言で説明するのが難しい

読書を楽しみながらメイドと話すからメイドカフェに近い
ブックバー×メイドが一番正確
じゃあコンカフェなの?
それも違う
スナックなの?
それも違う

通う人の数だけ答えがあるし、人によって店に対する感じ方は違うと思う



気絶の基礎知識

気絶を知ったきっかけはtwitterだった


「気絶」を名乗るtweetが流れてきた

『本とメイドの店 気絶』は気を失ったメイドが見る夢の中にあるブックバー。カルチャー系書籍・漫画が並ぶ本棚があります。メイドはいますが萌えの提供はしていません
萌えの提供はしていません、と言い切る姿勢にいい店だろうな、と感じた
これまで私はガールズバー、コンカフェには何度も行ってきたけど心の底から満足することはなかった
2005年以降、萌えカルチャーが一般化し東京秋葉原はメイドカフェ激戦区となった
どこもファストな楽しみを提供し高額な代償を支払う

気絶は一線を画す
舎長がまとめたモーメント『「気絶」の基礎知識』を読めば大体のことは分かる



気絶の思想と佐藤優『いま生きる「資本論」』

舎長のnote「気絶が遅刻を許している理由」とtweet、そして朝日新聞の取材記事を読めば気絶の思想は理解できる

「仕事の再構築」って素敵なテーマだ
仕事は1日の大半を占めるし生活を維持することに必要なことだ
お金の心配が無ければ仕事しなくていいけど、きっと人生でそんな瞬間は訪れない

舎長の発言で思い出したのは佐藤優「いま生きる資本論」だ
佐藤優は鈴木宗男事件に連座し「外務省のラスプーチン」とまで呼ばれ、裁判後は作家に転身
その佐藤優がマルクス「資本論」を読み解いたのが本書だ

最終章「直接的人間関係へ」
資本主義は人間を搾取し限界まで追い込むシステムである
資本主義の経済的システムから外れることも一つの生き方、というのが佐藤優のアドバイスだ

この本を読んで以降、ずっと「どうすれば直接的人間関係をつくれるか」と考えてきた
自分自身、仕事で身を持ち崩したこともあるしハードな働き方が合わない人間だ
でもブラックな企業がいるのはブラックな消費者がいるから発生する
気絶では少なくとも搾取する働き方をしてないことが分かる


ずっと探していた場所

気絶はずっと探していた居場所だ
数年前に特撮をテーマにしたメイドバーに通っていた
居心地良く感じていたけど、店長とオーナーの無謀な経営が仇になり1年で閉店
あの店にいた人たちは、今は行方不明だ

あれ以降、私は居場所を探していた
通いたくなる、フラッと寄れる場所を探していた

松本壮史監督「サマーフィルムにのって」という映画がある
主人公ハダシは廃バスを改造し映画部屋にしている
あんなふうな居場所が私にも欲しかった
そこに行けば友達に会える部室のような場所が欲しかった
タモリが山下洋輔と夜を語り明かした「ジャックと豆の木」のような場所が欲しかった
村上春樹「風の歌を聴け」の「ジェイズバー」のような場所が欲しかった


メイド「休符」さんのインタビューがある
休符さんはじめ、他のメイドさんの言葉に嘘はないと思う

私はこの先何年でも10年でも死ぬまで通いたい
店員さんやお客さんと仲良くなりたい
お互いの素性や本名なんて知らないままでもいいから、いつか、私のお葬式に来てほしい


今日も湯島で「気絶」する

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