【ライブレポ&歌詞和訳】Teenage Fanclub Japan Tour 2024 / 『Your Love Is the Place Where I come From』
◆Teenage Fanclub Japan Tour 2024
イギリスはグラスゴー出身の伝説的ロック・バンド、Teenage Fanclubの概要ついては、以前に彼らの楽曲である『Sparky’s Dream』の歌詞を和訳した記事で軽く紹介したので、ここではバンドの紹介は割愛したい。
2024年2月から3月にかけて、彼らの5年ぶりのジャパン・ツアーが東名阪の3会場で開催され、筆者は昨日3月1日に名古屋CLUB QUATTROで行われた二日目の公演に参加した。約500人というキャパシティの会場(正面に立つノーマンまでの距離は5m程度?近い!!)で観る彼らのパフォーマンスはまさに極上のひとこと。セットリストには2023年にリリースされた彼らの最新アルバム『Nothing Lasts Forever』からの楽曲が多く並び、三十余年に渡りブレることなくエヴァーグリーンなグッド・メロディを生み出し続ける彼らが、90's UKの伝説的バンドであるだけでなく、今なお進化し続ける現在進行形のバンドであることを実感させるようなライブだった。
とはいえ、往年の名曲の数々も勿論演奏された。二日前に行われた東京公演とはセットリストが一部違っており(事前には東京のセトリは見なかったが)東京では演奏されたらしい筆者の大好きな『Alcoholiday』は聴けなかったものの、予想外だった『Metal Baby』や、後ほど和訳を掲載する『Your Love Is the Place Where I Come From』には会場も大盛り上がり。本編ラストの『The Concept』ではシンガロングが巻き起こったし、アンコールラストの『Everything Flows』の長いアウトロを終えて笑顔でステージを後にする彼らに対して、オーディエンスが送った惜しみない盛大な拍手は、彼らが長年積み重ねてきた楽曲群と今夜のパフォーマンスの素晴らしさの何よりの証明と言えるだろう。
ノーマン・ブレイクの「こんな素敵な曲を作る人は、こんな風に素敵に笑う人だよな」と納得してしまうような朗らかで柔和な笑顔と、レイモンド・マッギンリーの時折メガネを押し上げる仕草が最高にクールなギター・プレイ、そんな2人がアイコンタクトで合図して展開するギター・ソロと美しいコーラス・ワークに痺れまくった夜だった。ベース、ドラム、キーボードのメンバーについてはバンドの長いキャリアの中で入れ替わりがあるものの、それぞれに楽器の演奏技術は勿論コーラスの歌声も素晴らしく、”Yes, this Is Teenage Fanclub!” と叫びたくなるようなパフォーマンスを見せてくれた。
余談だが、会場である名古屋CLUB QUATTROは名古屋パルコの東館8階に入っており、久しぶりのパルコで道に迷っていると、なんと館内廊下でノーマン・ブレイクと遭遇した!口をあんぐり開けて呆気に取られる筆者のことをファンだと理解してか、優しく笑いかけてくれたノーマンに、吸い寄せられるように近づいて話しかけてしまい、なんと握手までしてもらえた…。本当に柔らかい笑顔と優しい声で、ステージ外でもこの上なく素敵な人柄を見せてくれたことに感激してしまった。
◆Your Love Is the Place Where I Come From
そんなノーマン・ブレイクでもなく、前回和訳した『Sparky’s Dream』の作曲者であるジェラルド・ラヴでもなく、レイモンド・マッギンリー作の名曲『Your Love Is the Place Where I Come From』の歌詞を今回は和訳する。
本曲は5作目のオリジナル・アルバムである『Songs From Northern Britain』に収録されている。筆者のフェイバリットは長い間4作目の『Grand Prix』であり続けていたが、最近はこの5thが一番好きかも?と思い始めている。というのも、エヴァーグリーンなグッド・メロディを演奏し続けているのは彼らの音楽性として一貫しているのだが、本作以降の方がより肩の力が抜けたような雰囲気があり、安心して聴き続けられる音楽という感じがして、一つの到達点のように感じられるアルバムなのだ。そんな本作の中でも、筆者が特に気に入っている曲の一つが、この『Your Love Is the Place Where I Come From』だ。
イントロがなくいきなりヴォーカルから始まる曲で、演奏準備を待つ一瞬の隙をついて歌い出したレイモンドの美声が、静寂に包まれた会場に響き渡り、一瞬遅れてオーディエンスの大歓声が上がったシーンは、昨日のライブのハイライトの一つだった。本曲のコンポーザーであるレイモンド・マッギンリーの作る曲は、どちらかというとシニカルだったりサイケな雰囲気があったりと、3人のソングライターの中でもクセのある曲が多い(それが素晴らしい)のが特徴だが、本作は非常に素直なラブソングで、真っ直ぐな歌詞と美しいハーモニーが心に染みる名曲だ。
◆歌詞和訳
Your sadness don't lie
君の悲しみは嘘じゃない
Your feelings can't hide
気持ちを隠すことはできないだろう
You always know why
その理由はわかってるんだろうけど
But your reasons are sly
わかっていてもどうしようもないんだろう
You never deny
君は決して否定できない
What you feel inside
自身が心に秘めた想いを
I
I disappear when you're not here
In my life
もし君が僕の人生からいなくなったら
僕も消えてしまうだろう
I can't slip away when I see your face
君の顔を見ると離れることができなくなって
I lose my confusion
僕の困惑は消え去るんだ
Your love is the place where I come from
君の愛こそが僕の原点
When I'm on my own I'm lost in space
1人きりでいると宇宙で遭難しているようで
My freedoms a delusion
自由なんて幻想に思えてくる
Your love is the place where I come from
君の愛こそが僕の帰る場所なんだ
My sadness don't lie
僕の悲しみは嘘じゃない
My feelings can't hide
この気持ちを隠すことはできない
I just can't deny
なかったことにはできない
What I feel inside
心に秘めた想いを
I can't slip away when I see your face
君の顔を見ると離れることができなくなって
I lose my confusion
僕の困惑は消え去るんだ
Your love is the place where I come from
君の愛こそが僕の原点
When I'm on my own I'm lost in space
1人きりでいると宇宙で遭難しているようで
My freedoms a delusion
自由なんて幻想に思えてくる
Your love is the place where I come from
君の愛こそが僕の帰る場所なんだ
I can't slip away when I see your face
君の顔を見ると離れることができなくなって
lose my confusion
僕の困惑は消え去るんだ
Your love is the place where I come from
君の愛こそが僕の原点
When I'm on my own I'm lost in space
1人きりでいると宇宙で遭難しているようで
My freedoms a delusion
自由なんて幻想に思えてくる
Your love is the place where I come from
君の愛こそが僕の帰る場所なんだ
◆まとめ
以上、Teenage Fanclubの『Your Love Is the Place Where I Come From』の歌詞を和訳した。
Aメロの脚韻が巧みでとても聴き心地がいい。その分、単語の代表的な意味ではハマらない部分があるので、ある程度意訳を加えた。
人生において、隠しきれない悲しみを抱える時もあるし、一人でいれば広い宇宙に取り残されたような気持ちになってしまいもするけど、大切な人と一緒にいれば大丈夫な気がしてくる。そんな風な希望を、決して押し付けがましくなく説いてくれる、優しくて素直なラブソングだと解釈している。
そうした関係は何も恋愛に限ったことではなく、ひとりぼっちで悲しみを抱えた時、家族でも友人でも、それを消し去ってくれる大切な人は、誰にでもどこかにきっと存在する。そういう時、まずはこの曲を聴いて、TFCのリスナーへの深い愛情に励まされてみるのも良いのではないだろうか。
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