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恋の賞味期限は3年か?〜ばってん少女隊・春が来てureshiinoツアー〜

「ureshiino」のリリースから始まり、ツアーとリリイベが並走するureshiinoまみれの2024年の春は、りるあちゃんに恋に落ちてからちょうど3年が経った春である。

3年という年月は、「恋は3年が賞味期限」という俗説や「3年目の浮気」という曲のタイトルからの通り、恋愛感情の一区切りという印象が思い浮かんでしまう。
りるあちゃんを好きになって3年、ばってん少女隊をがっつり追いかけ始めてから3年。自分の気持ちの今の位置付けに思いを馳せながら、名古屋に、そして羽田に足を運んだ。

変わり続ける演出

ばっしょーのワンマンライブの醍醐味はステージ演出である。
去年の春ツアー後、きいなちゃんのSHOWROOMで「OiSa」の照明演出が変わったことを知った。明言するほど変わることってあるんだなあ、と思いつつ、その日を境にばっしょーのライブでは照明の動きが気になり始めた。
Zepp Hanedaでの「OiSa」の演出は、中盤に青と白のスポットライトが上からうねるように降り注ぐ様が印象的だった。もしかしたら以前からこの演出だったのかもしれないが、白黒の暗転や横からの右半身と左半身に交互に当てる照明の印象が強かったため、新鮮に思えた。
Daokoさんとの対バンの時に気づいたということもあり、規律的な「OiSa」からうねるような「OiSa」へ変遷して、また一つ新しい不可思議さの形が生み出されたように感じた。

「ureshiino」は各々がメンバーカラーのスポットライトに照らされて始まる。
「虹ノ湊」や「MEGRRY GO ROUND」などと同じ、各メンバーのパートがパキッと際立つ曲の系譜である。
これらの曲を通して、メンバーカラーは衣装以外でも表現できるという驚きをもらった。担当色に染まるメンバーたちは、演者であると同時に舞台装置の一つとして溶け込んで、「ばっしょーの世界」を生み出す…次は誰がどのように照らされるのか、息を詰めて見入ってしまう光景だった。

「BAIKA」では、スポットライトが全て点灯して温かい白色の中で披露される。明るい日差しを模したような光に照らされて歌うメンバーたちの姿は、幸福を視覚化したみたいだった。
スポットライトが線上だったことで、冬に松や梅につける雪吊りみたいだなあと思い、またその様が雪解けの春を思わせて、春ツアーにぴったりな光景に思えた。

雪吊り(ウィキメディアコモンズより)

「bye bye bye」はピンクと白の照明で、桜をイメージしているのかな?と思っていたが、途中で水色と白の照明に切り替わったことで、これはもしかしたらばっしょーのピンクと青を表している!?と思ってしまった。
かつての春にばっしょーを去っていったありっさとそらちゃん、そしてその後の春に入ってきたりるあちゃんとみゆちゃん…ただの1ファンの深読みかもしれないけれど、もし歌詞と季節をリンクさせてこの色の照明にしているとしたら末恐ろしい。

ばっしょーワンマンを通して、照明でいかに曲の演出の幅を広げられるのかを知り、アイドル本人たちだけでなく舞台全体を見る楽しみを教えてもらった。
そして大きなワンマンの度に新しい演出が生まれ、「アイドル」という生きている人々を追いかける楽しみをこれでもかと見せてくれるのだ。

飲み込みうねり続ける人たち

今回の春ツアーは主に一部が対バン形式だったが、過去の対バン「春/秋の入隊式」とは違う方向性を意識しているように思えた。
過去は「アイドル対アイドル」の構図だったが、今回は既存曲と直近曲の楽曲提供者、スタプラ内と外のアイドル、と四者四様の対バンになっていた。
福岡で今のMIRRIONS SUMMERを聞きたかったし、大阪でukkaのさがしものを聞きたかった…!持続可能な応援のためには泣く泣くの取捨選択も大事なのである…(血涙)

名古屋では、高嶺のなでしこさんの「これが令和のカワイイアイドルだ!」という覇気をこれでもかと浴びる。
歌詞も振付もキャッチーで2回目からはなんとなく一緒に踊れる曲たちは、なるほどTikTokでバズるわけだ!とTikTok初心者にとっては感心することばかりだった。長めの間奏の際に客席からあがるガチ恋口上も、普段はなかなか聞くことがないので「これぞアイドル現場…!」と感動してしまった。
同じアイドルだけど、まるで異文化交流のような空間が広がっていた。

羽田でのDaokoさんのパートにはただただ圧倒された。背景で流れ続ける映像により、一瞬でDaokoさんの世界に引き摺り込まれる。
3曲目の「spoopy」では(たぶん)、背景に展開される曼荼羅と舞い踊るDaokoさんにどうしようもなく没入してしまった。(そして中央に鎮座するGuruConnectさんがどこかの国の神様みたいに見えてきた。)
この没入の後、ばっしょーパートの「禊 the music」で背景にずっと「禊」という文字がデカデカと瞬きながら表示されていたので、これは一体何のイニシエーションなのだろうか…と思ったり。禊がれた。
コラボの「水星」では、Daokoさんとばっしょーの声質のあまりの相性の良さにため息が出てしまう。特に理子ちゃんの声の透明感が普段以上に際立って、Daokoさんとのユニゾンのあまりにも美しすぎることときたら。
Daokoさんとの対バンは、曲調や世界観の親和性が高く、最近のばっしょーが作り出す世界の潮流をひしひしと感じた。
たかねこさんとDaokoさんという、対局に位置する対バンを見ることができたのはとても幸せなことである。

二部のワンマンでは「御祭sawagi」で楽曲提供者のASOBOiSMさんが登場。お顔を知らなかったので登場した瞬間、めっちゃイケイケなチャンネーが出てきた…!と慄いてしまった。
「御祭sawagi」はもはやばっしょーライブには外せない曲で、隊員みんながみんな、見事に揃って振りコピをするのでマスゲームみが出てきたな…と思っていたところ、ASOBOiSMさんがひたすら煽ってみんなをノらせて、その規律を全部ぶち壊していったのが爽快だった。
みんなの動きがきれいに揃う光景もすてきだけど、各々自由に揺れ動くのもすてき…というのは羽田公演の両部を通して気付かされる。
今回のパフォーマンスで、「御祭sawagi」は守破離の"守り"から"破る"のフェーズに入ったのかな…と思ったり。
その後のMCでみゆちゃんがめためたにかっこいい発音で「everyone…clap your hands!!!」と叫んだのが良すぎたので、何卒またこのような御祭sawagiも味わいたい所存です。

今回のツアーに帯同してくれたPARKGOLFさんや、羽田一部で湧くしかない繋ぎをやってくれたGuruconnectさんも含め、関わる人々の良いところを貪欲に呑み込み、大きくうねり成長を続けているのが今のばってん少女隊なんだなあ、と強く思わされるツアーだった。
(あと、瀬戸口さんの影響でばっしょーはトークが自由で面白くなったと思っている…!ドントフォアゲットしゅんしゅん!)

多面性を持ち続けるライブ

ばっしょーはそれぞれのライブで違った顔を見せてくれる。
夏の周年ライブでは、福岡の地にて次の1年間の指針が提示される。ここでは新しい表現方法が披露されることが多く、ばっしょーが次に取り込みたい表現を感じ取れる気がする。(この時点で完成度は高いのだが、季節を経た先の年末ライブで更なるエンタメをいつも見せてくれるのだ。)
また、周年を基軸に見ることで過去からの成長が見えやすかったり、メンバーたちのこの一年の振り返りや次なる目標を聞ける機会でもあるのだ。私はなんとなく株主総会みたいだなあ、といつも思っている。株主総会参加したことないけど。

冬の年末ライブは東京での集大成の披露の場である。地方の民からすると、やっぱり東京って大きい存在。一年間でいちばん気負いのあるライブのように見える。(もちろん良い意味で)

間にある春と秋のツアーは、自由にはしゃぐばっしょーを見るのはここがいちばん!となる。
とはいえ、ライブの楽しさや完成度は周年にも年末にも負けず劣らずである。大道具がない分、メンバーたちの動きや演出をじっくり堪能できる。
懐かしい曲を聞いて、過去の思い出がぶわっと溢れ出てくるのもツアーならではの楽しみである。
自由型ということで、去年の大阪でバミリを順番にぬいぐるみで叩いて楽しそうな愛ちゃんの光景がずっと忘れられない…。

いずれのライブでも共通することは、一つの完成したエンターテイメントとして提供しよう!という意志を強く感じるところだ。
かわいいだけではない、歌が上手いだけではない。例えば映画やミュージカルなど他のエンタメとも競えるような、1回のライブがパッケージングされたエンタメとしていかに満足感を与えられるか、ということを最近のばっしょーはずっと追求しているように思える。

今回、さがしものスタンプラリーも複数会場に足を運ぶ楽しみになった。一方で、東京だけでも両部参加すればお見送りに参加できるなんて親切仕様だなあ…なんて最初は思っていた。
…けど、ファイナルの東京でいきなり難易度が異様に跳ね上がり全く優しくなくなっていて笑ってしまった。
ただ、プラスアルファのわくわく感が常にあったというか、なんでか日本ってスタンプラリー好きだよね。

りるあちゃんに恋をし続ける

ピンクを身に纏っている限り、りるあちゃんは見つけてくれる。
昨年の年末ライブで「特技はピンクを身につけている隊員さんを光の速さで見つける」と言って以降、りるあちゃん自身もその行為をかなり意識しているのか特に顕著になった。
幼い頃に親から与えられたピンク色の持ち物が好きではなくて、ピンクはずっと避けてきた色だった。りるあちゃんを好きになって、今ではピンク色の物を持つことに抵抗がなくなり、好きな子の影響の偉大さが染み入る。
そんな経緯もあって、私はピンク色を身に纏うのは正直自分自身のエゴだと思っている。私にとってピンク色を着るというのは、「私ってこんなにりるあちゃんが好きなんだよ!」の表明であり、それ以上でもそれ以下でもない。
でも、そんなエゴを「たくさんの隊員さんの中にいるピンク色の人」として拾ってくれて、ほんの少しでもりるあちゃんの力の源に慣れているのなら私は嬉しい。
(お見送り会で言われた「いっぱい見えてたよっ!」に私は数年ぶりのガチ泣きをした。)

そして今回のツアーの前、りるあちゃんが剥離骨折でお休みとなり、初めて「りるあちゃんのいないばってん少女隊」と向き合うこととなった。
仕事がどえらい忙しく、どうしようもなくりるあちゃんに会いたくなってチケットを取った九上昇!ラジオの公開収録イベント。
チケットを取った直後にりるあちゃんの出演休止が発表された。
「私は何のために…」と虚ろになりながら足を運んだが、メンバーのりるあちゃんへの愛情や、5人であることでより一層6人の仲の良さが伝わってきた。そして、りるあちゃんがいないばっしょーイベントでも自分はちゃんと楽しめるということに心底安堵した。

りるあちゃんが復帰して、りるあちゃんの笑顔を見てようやくほっとした一方で、「生身の女の子を推す」という行為について改めて考えるようになった。
好きな子に会いたいタイミングで会いに行ける、というのは確約されたことでは決してなく、ありがたくて大切な機会なんだなあ。

復帰後のツアーやリリイベで見たりるあちゃんはいつも通り元気でかわいくてキラキラしていて、私からみたら1000000億点なアイドルだったけれど、フォーメーションを変えたり1人だけスニーカーだったりということもあり、もしかしたらりるあちゃん的には100%ではなかったかもしれない。
でも、完治した暁にはりるあちゃんは100%ではなく120%で完全復活してくるのだと信じている。
人に対して「がんばれ!」とは言いづらい時代だけど、踏ん張り時にしっかりと頑張っている姿からはとてつもないエネルギーをもらえるし、頑張れるのって偉くて眩しい。
ちょっと目を離した隙にすっかり大人になるんだな。

復帰後に感情が爆発したのかインスタで長文を書くようになったりるあちゃんが愛おしくてたまらない。

りるあちゃんに恋して3年。
この3年で好きという気持ちは星の数ほどの更新が走り続けているので、賞味期限なんてものは当面来なさそうだ。

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