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きみ(たち)に何度だって恋をする〜ばってん少女隊年末公演「今宵はヒナタのジングルベル」〜

ばってん少女隊のライブは良質なミステリ小説のようである。

ライブ中に、私の中に突然書評家もどきが現れて、したり顔でそう語り出した。「OiSa」〜「わたし、恋始めたってよ!」の流れに恍惚としている最中だった。
ノックスの十戒というものがある。
推理小説を書く上でのルールとして提唱されているものであり、「犯人は物語の最初に登場していなければならない」「探偵は読者に提示していない手がかりで解決してはならない」など、推理を楽しむ物語のためのガイドラインのようなものである。
今回のばってん少女隊のライブでは、事前にPARKGOLF氏とGuruConnect氏の登場が発表され、開場時点で舞台装置が既に客席から見える状態となっていた。
これはつまり、ぱーごるさんとぐるこねさんによる演出がしっかり入るということであり、2階建ての舞台やラッピング模様のボックス、「最初はペンライトを消しておく」という指示は遍く機能してくるということである。
ばっしょーが事前に提示する内容には全てしっかり意味があるのだ。


ばっしょーのライブはいつだって想像を超えてくるけれど、やっぱり想像することをやめられない。
予め言われていた「クリスマスらしさ」はどんな形で出てくるのだろう?プレゼント交換大会とか?(違った)など、ワクワクして待ち侘びる日からもう楽しいのだ。

「でんでらりゅーば!」のイントロが流れ出し、客席がわらわら立ち上がったところでイントロが唐突に止まる。
「あれ、続きは?」と思ってしまったら、もう既にばっしょーの術中である。
「Killer Killer Smile」「崇シ増シ×××物語」でかつての温故知新ライブをほんのり思い出しつつ、「さがしもの」までの流れでこれはもしや激しめの準備体操…?と思いに至る。

MCを挟んでメンバーが一旦退場するが、「ライブ中の退場=大きな場面転換」と既に刷り込まれているため、退場という行為にうきうきさせられてしまう。
今日も元気に掌の上で転がされている。
中央の扉が開いて現れるDJブースとPARKGOLFさん。ブースが前に迫り出してきて「OiSa PARKGOLF REMIX」が始まった瞬間、アドレナリンがドバドバで流れ出して強制覚醒である。
REMIXがどんどん展開していき、ちゃんせたの声が上下のオクターブでハモられてもう何が何だかわからないけどとにかく楽しい…!とふわふわしだしたところに登場する新衣装のメンバーたち。
きゃわいい!と脊髄反射で思った次の瞬間に、りるみゆの膝上丈に気付き強い衝撃を受ける。健康的すぎる…眩しい…
よくよく見ると赤白を基調にしたベースのワンピースに、十字のラッピングリボンとレースの装飾。りるみゆとは対照的に、きいなちゃんや愛ちゃんは中のスカートが外側のレースよりも丈が長いのが何とも令嬢みが出ていて良い🤤
髪の毛にはそれぞれティンセルが編み込まれてキラキラしていて、こ、これはクリスマスプレゼントモチーフ!?!?かわいすぎる!!と再度衝撃を受ける。(きいなちゃんの髪型が最強に好みでした。)
ぱーごるさんの作り上げるばっしょーDJMIXはもはや安心して身を委ねられる。ひたすらに楽しい、楽しい、楽しい!アイドルは歌い踊るよMusic!ぱーごるさんはサンタになるよMusic!
合間に入った「南風音頭」は、外では北風が吹きまくっていることを忘れ去ってしまうくらい暖かな空気で包み込んでくれた。

ぱーごるさんが退場すると続けてGuruConnectさんが登場。
間髪入れず始まる「でんでらりゅーば!」は冒頭でお預けをくらっていた分期待値が高まっていく。
リリイベで聞いた時よりも澄んだ音色で、同時に背面のLEDパネルの映像演出が始まる。
最初のおいでおいでと手招きする振り付けがアヤカシマヤカシ感が強くてうっとりしてしまう。
音楽に合わせて流れる歌詞の文字ときつね衣装のメンバー達の写真のコラージュ。そして舞台では本物のメンバーたちが歌い踊る。
沢山の演出が織り重なって、この瞬間だけの世界観が作り上げられていくのが、チーム・ばっしょーの魅力である。これを見たくて私はばっしょーライブに足繁く通っちゃうんだなあ。
「OiSa」はどれだけやっても色褪せない、それどころかどんどん生まれ変わり未だ尚私たちを魅了し続ける。
懐中電灯を取り出してメンバーもレーザーの一部になったと思いきや、曲終盤で懐中電灯が点滅し始め、徐々に背景に硬質な連続音が混ざり始め…
これは「わたし、恋始めたってよ!」だ!!
中央に理子ちゃんとちゃんせたを残して他のメンバーは両脇のボックスに収まる。
ラッピング風の扉と鏡張りの内部、そこに収まるメンバーはまるでお人形のようで、これはもしかしてリカちゃん人形をイメージしている?
後半で再度ボックスの中に収まる際、今度はりるみゆ、愛ちゃんきいなちゃんの組み合わせで一つのボックスに収まる。
その時に背面の鏡が90度回転して、それぞれ2人が鏡越しに向かい合うフォーメーションになったのだが、その美しさといったらもう!!!
女の子の儚さや切なさや不安定さや美しさがその光景にぎゅっと詰め込まれていて、息をすることを忘れるくらいのキレイな光景だった。
そして、この時にモニターに映ったりるあちゃんの切なげな表情に、私はもはや何度目かわからない恋に落ちました。

どうにかなっちゃいそうな感情に畳み掛けるように続いた「和・華・蘭」と「YOIMIYA」で、更にどうにかなっちゃいそう。
「和・華・蘭」の映像で文字が溶けていく様子が、初めて銘菓「ざびえる」の箱を見た時や大浦天主堂に足を踏み入れた時に感じた足元が揺らいで怖くなる空気感と重なった。毎度のことながら、「和・華・蘭」の映像演出はこれほどまでに曲を視覚化できるのか…!と驚かされる。
「YOIMIYA」は8周年ライブから引き続き、金魚の見る夢である。
綺麗な景色が展開しつつもずっと画面には金魚が漂っていて、自分が何者なのか、どこにいるのかがどんどんわからなくなってくる。
「でんでらりゅーば!」からのぐるこねさんMIXはこの数年作り上げてきたばっしょーの世界観を見事に再構築していて、蕩けるような心地よさだった。
Cool JapanもKawaii Japanも飛び越えて、“BATTEN JAPAN“がここにはあるんだ!!!


もう既に最高が重なりまくっている中、次に披露されたのはぱーごるさんによるクリスマスリアレンジ。
最高のぐるこねさんMIXを最高のぱーごるさんMIXでサンドイッチしちゃうの!?大丈夫?贅沢すぎない??ともはや心配になってしまう。
「OTOME deshite」ってこんなに幸せを詰め込めるんだ…とか「MEGGRY GO ROUND」ってクリスマスソングだったんだ…とぱーごるさんマジックに綺麗にハマっていく中、最後にオルガンのような音が鳴り響き始まったのが「無敵のビーナス」。
この曲はカラッとしたヘルシーな曲だとずっと思っていたけれど、こんなに無垢で、純粋で、透き通った曲にもなるのか……きよし…この夜…
理子ちゃんとみゆちゃんのハモリが合間に挟まりうっとりしているところに、最後はなんと6人でのハモり!
歌だけでここまで魅せる光景は、一年前は絶対に見られなかった景色である。りるみゆの歌唱力の向上はもちろん大きいだろうが、お姉さん4人もまだまだ成長していて、6人で作り上げた歌声なんだなあ。
この時メンバーの後ろには幕張メッセが、SSAが、西武ドームが見えた。
てか、りるあちゃん、本当に上手くなったねえ。。

ぱーごるさんの錬金術で聴覚が奪われる一方、視覚は2回目の衣装チェンジによるメンバーカラー衣装の咀嚼に必死だった。脳みそが足りない!
ばっしょーはメンバーカラー全開の衣装は作らないのかな、とばかり思っていたこともあり、とうとう作られたこの衣装に涙が…
今までの衣装はもちろん大大大好きである。
それは前提として、大きい会場ではどうしても各メンバーの視認性は低くなってしまうなあとは思っていた。特にスタプラフェスのような複数グループが入り混じる場面では、折角目に止まっても「ばっしょーの何色の子!」と明快に言えないのが惜しいよなあ、とか。(対比として、いぎなり東北産がここ一年でメンカラ衣装推しですごく分かりやすいなあと思っていたので。)
会場が大きくなるにつれ、席が遠くなるにつれメンバーを識別し辛くなる。この日もりるあちゃんを見ているつもりがいつの間にかちゃんせたになっていたのに膝小僧で気付いたり、席が遠いとなかなか識別が難しいなあ…と思っていたところにこの衣装チェンジ!
ももクロともとき宣とも違う(私が思うつよつよメンカラ二大衣装である)、「ばってん少女隊のメンバーカラー衣装」の登場に、この1年間で培った自信とこれからの覚悟を見た気がした。
ところで影山さんの衣装が狂おしいくらいに好きなんですがこれも影山さんなのでしょうか…?


本編最後の「ヒナタベル」は大円団だった。
アニメの最終回でOP曲がフルで流れるやつだ!と興奮しつつ、みゆちゃんの抜けるような声が気持ちよくて気持ちよくて。
「空が晴れた今は 心から僕がナンバーワン」の歌詞と共に背景映像が青空になるのはずるい!奥義じゃん!

アンコールの「おっしょい!」は、席が遠かったこともあり「今回はりるあちゃんのレス来なかったな〜まあレスが無くてもめちゃくちゃ楽しかったし〜」と強がっていたところに、りるあちゃんの口上で「最後まで盛り上がっていきましょ〜!(大意)」と差し出した手のひらがまさかの真っ直ぐバーンっとこちらに差し出された。絶対こっちを見ていた。手のひらレス。
私の心臓はりるあちゃんの手のひら型に穴が空いてしまいました。
TDCホールに私の心臓が転がっていませんでしょうか。


最後の挨拶は、みんな前を向いている言葉が印象的だった。それもしっかり地に足がついている感じで。
りるあちゃんの「もっともっと大きくなりたい」「本当に本当に大好きです!」と言葉をひたすらに重ねて思いの大きさを伝えようとする姿には、もう涙が止まらなかった。りるあちゃんは堪えて泣かなかったのにね。
3回目のしゅうね…じゃなくて年末ライブ、しかと成長を見届けました。
きいなちゃんの「先輩の背中を追いかけるばかりではなく」という力強い言葉や、理子ちゃんの「今年のライブ前夜は悪夢を見なかった!」という嬉しい報告に、この一年の着実な歩みが見えてとても嬉しい挨拶続きだった。

去年は「御祭sawagi」に向けた必死な感じや過去を超えていきたい!というヒリヒリした思いが伝わってきた一年間だった。
それゆえに、ライブのソールドアウトが嬉しく、当日のメンバーの過去に対する思いを打ち明ける姿に強く胸を打たれたりもした。
それを乗り越えて、今年の一年は憂いなく前を向けるようになったのかな?と思った。
TDCホールの日程が近づいても昨年と比べて比較的静かで、大丈夫?チケット売れてる?と微かに心配になったりもしたけれど、蓋を開ければ今回もソールドアウト!一年間の成長をこれでもかと見せてくれた。

りるあちゃんが本当に本当に大好きであるのと同時に、ばってん少女隊が本当に本当に大好きなんだなあ、と再認識したライブだった。
ばってん少女隊は、多幸感という言葉が似合うアイドルである。



▼杉本さんの「実験、検証」という言葉にこれからもわくわくである。


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