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亀山君5代目相棒記念。初期相棒の素晴らしさを改めて伝えたい【傑作5選】

相棒に亀山君/薫ちゃんが帰ってくる。

土ワイ時代からの相棒ファンにとってこれがどんな意味を持つか。
ミステリードラマ好きから注目されレギュラー化し、シーズン3~4あたりから明らかに一般的な人気が高まり、シーズン6放送中に映画化、そしてシーズン7での亀山君の卒業。あの頃相棒は、毎週話題に事欠かなかった。
なにより、次のシーズンがあるかどうかもはっきりしない中、外に向けて相棒の良さを伝えシリーズを続けてもらいたい、という青臭い熱があったことを覚えている。

亀山君卒業から、右京さん1人+各話ごとの相棒形式になったシーズン7後半クールは不安もあったが、最初から傑作「越境捜査」を踏まえて、最終話「特命」での鮮烈な神戸君のデビューと、「相棒」は変わっても、相棒は変わらずあり続ける感を強く感じ安心したことも強く覚えている。

このように、私個人として亀山君時代の相棒はその当時の個人の熱も含めて強く記憶に残っており、このタイミングで当時の傑作エピソードについて簡単にまとめてみようと思う。

単に単独の話として傑作というより、亀山君が主軸となった傑作を選んでみたので、亀山相棒時代を触れていない皆さんは、キャラ理解の上で手助けになると嬉しい。※亀山君主軸の傑作は他にもあるじゃないか、という意見は全然あると思いますが、完全に個人的な思い入れに基づいています。悪しからず。

ありふれた殺人〜時効成立後に真犯人自首!? (Season3 11話)

初期相棒の傑作として名高い本作品。殺人事件の公訴時効が15年であった当時、時効を過ぎた殺人事件の被疑者を名乗る男が殺害されるという事件が発生し、その解決に奔走する特命係。元の殺人事件の被害者家族を訪ね被疑者があらわれたことを思わず伝えてしまう情に厚い亀山君。その結果あらぬ疑いをかけられる被害者家族。タイトル「ありふれた殺人」が複数の意味を持ち、ミストリ的にも良く出来たやるせない意外な真相を示す事件。警察官の矜持を最後に示す亀山君の姿とそれを後押しする右京さん。亀山薫のキャラクターの本質を分かりやすく示す文句なしの傑作。

監禁 (Season4 8話)

佐藤江梨子と酒井俊也が最高のサイコパスを演じ、亀山君がタイトル通り監禁される本作。アドベンチャー・アクション物としての相棒のポテンシャルを見せてくれる快作。右京の意外な事実がわかる作品でもあるが、亀山薫=寺脇康文のタッパを活かしたアクションが見もの。また、右京と亀山のタッグプレイも楽しい。

裏切者 (Season5 15話)

ここからの3作は連続してるといってもいいと個人的に思っている。というかこの3作を通じて提示された亀山と右京の関係性は、新しいシーズンで活かされるのか、あまりに昔すぎてさすがになのかは非常に気になるところ。

亀山君の恩師がいる所轄管内で起きた主婦の射殺事件。過去の事件の目撃者の情報漏洩に端を発した逆恨みであることが判明する中、情報漏洩を隠蔽しようとする所轄署とそれも含めて事件の真相を白日の下にさらそうとする特命係との攻防が極めてスリリングに描かれる。タイトル「裏切者」の意味もここでも重層的に響く。最後の小野田官房長と右京との攻防、そしてラスト官房長の「特命係を動かしていたのは亀山薫君だったんだね」というセリフ。警察組織ものとして傑作であるだけでなく、亀山君の特命係での存在意義を喝破する本作には、至極感動したものだ。

サザンカの咲く頃 (Season5 最終話)

完全に「裏切者」を受けての、特命係における亀山君の存在意義を改めて深堀する傑作。日本版CIA設立をめぐる、若手官僚の暴走による殺人事件とそこに関わる警察庁長官という、海外ドラマ並のスケール感と、ただスケール感にとどまらない緻密な設定が入り組んだ、いわゆる相棒の国家を揺るがすでかい話シリーズの中では群を抜いた出来。最後すべてを明らかにするため、裏切者では敵対した官房長と共闘し、亀山君にしかできないウルトラCの方策を右京さんが発案するという、ここまで相棒を見てきた人間にとって忘れがたい最高の終盤を迎える本作が、個人的な相棒No1作品である。

黙示録 (Season6 最終話)

Season5の2作を通じて、右京と亀山の相棒としてのフォーメーションの在り方・共闘の仕方を存分に描いてきたが、ここにきて右京の行き過ぎた正義を浮き彫りにすることで、すわ対立かと思わせた傑作。

ある死刑囚が刑を執行される前に亡くなる。何年も刑が執行されないことに疑問を持った右京だが、当時の起訴に関わった刑事や検察官が殺される事件が発生することで、いよいよ冤罪事件としての確信を深めていく。

「杉下の正義は時に暴走するよ」と亀山に伝える官房長とそれを受けた亀山君の表情。オーバーラップする形で映画ソウの緊迫のBGMが流れて終了する最終回と、え、Season7はこのまま相棒2人が対立するのか、と次シーズンのことを思って驚愕したことを覚えている。しかし実際はそんなことはなく、Season7でお互いのことを思ったまま、亀山は卒業しサルウィンに旅立つ。いまでも、そうならずにこの話の延長線上のストーリーが展開したら、と夢想することがある。

最後に

かなり個人的な思い入れに基づく選定だったが、この5選の脚本家は、いまでは名探偵コナンの特に映画にはなくてはならない「櫻井武晴」とコンフィデンスマンJPから来年の大河までもはや日本の脚本家で一番売れているといっても過言ではない「古沢良太」によるものであり、相棒が日本の脚本家を生み育ててきた歴史にも触れることができる作品群である。
というか、せっかく亀山君が戻るのだから、是非櫻井、古沢の両名に、また相棒を書いてほしいと強く願うのであった。

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