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海外投資家の国内スタートアップ市場への投資状況

今回は、海外投資家による日本のスタートアップ市場への投資状況をまとめました。2020年のコロナの落ち込みから大きく回復し、2021年の国内スタートアップの調達額が8000億円程度まで拡大しました。二桁億円の資金調達も珍しくなったのはVCとしても時代が変わったと感じる部分です。その中でも特筆すべきは、海外投資家による日本のスタートアップマーケットへの参入の増加です。

本稿では、日本のスタートアップ市場は海外投資家からどのように映っているのか?実際に2021年は2020年以前と比べて潮目が変わったのか?といった点について掘り下げました!

海外投資家から見た日本のスタートアップ市場って?

日本のスタートアップの市場規模を見ると、2021年に6,000億円を超える見込みで、直近9年で9倍以上に成長しています。一方で米国と比較すると、投資金額で45倍、対GDP比率で13倍の差があります。

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バリュエーション水準からも米国との差が見えてきます。米国はスタートアップ投資が過熱し、バリュエーションは年々高騰しています。また、米国のSeed=日本のEarly、米国のEarly=日本のLaterという水準であるため、相対的に日本市場は「安く」見えるのです。

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次に、Exitの比率です。世界的にExitはM&Aが主流である一方、日本ではIPOとM&Aの比率が約7:3と異なる傾向を示しています。これは、売上10億円未満ほどの規模でも、早い段階で上場できるマザーズが存在することが要因のひとつです。

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ここで参考に、米/NASDAQと日/新興市場の時価総額の推移を見ていきましょう。日本の新興市場の約半数の上場企業(中央値)の時価総額がほぼ成長していない(+3%)ことが分かります。また、NASDAQの方が中央値・平均値ともに成長率が高い状況です。

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また、IPO数はほぼ同じであるにも関わらず、高時価総額到達企業数は大きく差がついています。

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日本のIPOは初値が公開価格を大幅に上回っている(+48.8%)ため、IPOによる資金調達額が小さい状況です。

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各国におけるファンドリターンを比較すると、日本のDPI=実現倍率は比較的高い一方で、RVPI=未実現倍率は低い状況です。(マザーズが上場しやすいことが要因かもしれません)

1つめ

2つめ

海外投資家による国内スタートアップへの投資状況

次に、海外投資家による国内スタートアップへの投資状況をみていきます。2018年から2020年の間に、計6件あり、領域はSaaS、Fintech企業に限られています。

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しかし、2021年に入り海外投資家ラウンドが急増しており、2021年のみで14件の投資が行われています。下半期はSaaS、Fintechだけではないビジネスモデル・領域への投資が増加しており、大きな変化がありました。

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国内スタートアップへの出資実績がある海外投資家

2018年以降の投資件数は以下のようになっており、Pavilionが投資件数が最も多いです。

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海外機関投資家による国内IPOでの引受比率

以前、Coral Capitalさんの記事にもあったように、3年ほど前は、海外機関投資家の引受比率は20%程度で多いといわれていましたが、直近は50%を超える案件が増加しています。

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海外投資家比率が高まっている要因として、ひとつは募集総額の増加、さらに海外投資家の態度変容も考えられるのではないでしょうか。

最後の

おわりに

直近では各国の株式市場の相場は下落していたりするものの、日本のスタートアップ市場が相対的に「安い・早い・うまい」というのは依然として変わらない特性ではないかと思います。2022年以降も海外マネーの国内スタートアップへの流入が継続すれば、スタートアップ側の海外展開や、海外テック企業による国内スタートアップ買収などが増えていってエコシステムが発展していく、という好循環が作られていくことと思います。

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