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タッチ・ミー・ノット 〜ローラと秘密のカウンセリング〜

<イントロダクション>
ベルリン金熊賞史上、最も議論を呼んだ問題作が、ついに日本初公開!


カンヌ、ベネチアと並ぶ世界三大映画祭のひとつ、ベルリン国際映画祭2018で無名の女性監督が脚光を浴びた。ルーマニア出身のアディナ・ピンティリエの初長編映画が、金熊賞(最高賞)と最優秀新人作品賞をW受賞したのである。ウェス・アンダーソンの『犬ヶ島』、ガス・ヴァン・サントの『ドント・ウォーリー』など、話題作がひしめくコンペティション部門での名もなき新人監督の快挙は、世界で賛否を巻き起こす事件となった。
本作は、欧州で実在する障がい者やトランスジェンダーなど、“マイノリティ”と呼ばれる人たちの“性”生活にカメラを向けた衝撃作だ。〈現実〉と〈虚構〉が入り交じりながら、赤裸々に描かれる彼らの自由な生き方は、価値観が多様化している日本でも受け入れられていくだろう。

映画『タッチ・ミー・ノット』オフィシャルサイト

2020年7月31日(金)シアター・イメージフォーラムで鑑賞。

ベルリン国際映画祭のグランプリ作品という点に興味を持って鑑賞したが、とても奇妙で不思議な雰囲気の映画であった。
人と触れ合うことに拒否反応を示す(脅迫性障害)を持つ主人公・ローラが、身体障がい者のカウンセリングチームに出会い、無毛症・脊髄性筋萎縮症などの人物がどのように人を愛し、セックスをするのかを物語として描くのと同時に、監督自身がインタビュアーとして登場し、それぞれの登場人物に質問をするというフィクションとノンフィクションが交差する本作。

インタビューのシーンで監督(質問者)がカメラのモニターに写る自分に向かって話す描写もあるが、この作品は「性」という領域で、マイノリティの人々がどのように考えているか、を今一度自分自身で捉え直すことがテーマであるように思える。
監督であるアディナ・ピンティリエ氏もインタビューにて「鑑賞者が人間についての知識を深め、それぞれの親密な関係に関する経験と考えをあらためて評価する」ことがこの映画で作ろうとしていたことであるそうだ。

自分自身と体の形が違う人をどう思っているのか?何が自分と違うのか?
その問いと同時に、自分自身を肯定することの重要性を説いた非常に意義のある作品だと思う。
決して娯楽作品ではないが、18歳以上(R18のため)の様々な世代に見て欲しい。

( Y.K )

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