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Vol.12 ホテルの経営戦略が凄かった

僕は今学期の大学の授業に経営学を入れていて、ちょうど今観光経営について講義を受けています。

そこでホテル経営についての解説をされたのですが、それがまあ巧妙にできていてビックリしたので皆さんにご紹介しようと思います。

※今回は私見はあまり入れない予定です


まず、ホテル産業と他の産業の違いです。

ホテルは他の産業と違って在庫が限られています。ホテルで言う在庫とは、ズバリ部屋です。工場のように都合よく在庫をドカンと増やすことはできません。

さらに他の産業では、仮に今日作ったものが売れ残っても次の日に売ればいいのですが、ホテルにはそれができません。部屋は一泊単位で売られます。ですのでその日売れ残った在庫は、翌日になるとリセットされるのです!

だからホテルは一日の在庫をゼロにするのに躍起です。その工夫が面白く、スゴいのです。


ホテルは空室が出るのを嫌います。チェックインの時間までになんとかして在庫をゼロにしたいと考えています。

そこでまず、宿泊する日にち・予約する時間によって宿泊料金を変動させます。

例えば、日本ではGWや夏休みに旅行客が殺到します。日本は休日が多い割には連休が少ないからです。

そのため逆にそれ以外、特に6・10・11月らへんは客が来ず、空室が多くなります。それでは困る、だからその期間は料金を安くしてしまえばいいのです。単純に繁忙期・閑散期で料金を変動させるやり方です。

またその期間、とある団体を取りがちだと言うのです。修学旅行です。この理由についてはまた別の機会でお話ししようかと思います。

今度は一日単位で考えてみましょう。チェックインは大体17時とかそれくらいでしょうか。それまでになんとか埋めたい。

そこで、予約する時間によって料金を変えるのです。一日の始まりからチェックインギリギリまで、値切るように料金を下げていきます。そうすることで「お、ここ安い。予約しよう!」と宿泊先が決まっていない迷える人を“釣る”ことが出来ます。

↑しかし反面、あらかじめ予約しておいたのを安くなったタイミングでキャンセルして予約し直すという「ラストミニッツ・ブッキング」が発生してしまうのが短所です。


次にホテルが嫌うモノは、キャンセルです。折角とった客がドタキャンして、空室が出てしまうのを避けたいのです。

「在庫が増やせないんだからドタキャンで空室が出るのは仕方ないだろ」と思うかもしれません。しかし、ホテル側はどんな手を使ってでも空室を埋めてみせます。

その最たる手は、「オーバーブッキング」です。ドタキャンを見越してわざとキャパより多く予約を受けてしまうのです。何たる執念!

例えば100部屋あるホテルがあるとします。100部屋売って10部屋キャンセルが出るならば、わざと110部屋分の予約をするという具合です。

さあこれで安泰、万歳三唱でしょうか?
もし、幸か不幸か、予約した客全員がキャンセルすることなくやってきてしまったら…。

しっぺ返しを喰らうのはホテル側です。客全員に提供できる部屋はありません。ピンチです!

そこで使われる手段、一つ目は「グレードアップ」です。

「お客様、本日ご予約頂いたお部屋が満室でございまして、少しばかりご料金をいただきますが、ジュニアスイートルームにご変更いただけますか?」

安い追加料金で上等の部屋への変更をお願いするのです。安くいい部屋に泊まれるのは願ってもないことなので、大体は文句なく変更するそうです。

この手のやり方は飛行機でもたまに見られるそうで、オーバーブッキングで運良くプレミアムクラス(会社名バレる)に乗れた、なんてことがあるようです。羨ましいですねぇ。

ではそれでも足りない場合はどうするか?

自分のホテルではもうどうしようもできません。なので近隣ホテルにSOSを出して、客をそっちの方へ泊めていただくそうです。もちろんその際発生するお金は自ホテル側の負担です。

近隣ホテルのオーナーとなんらかの繋がりを持っておくことで、万が一の場合に対応できるそうです。命懸けの経営なのです。


いやはや、ホテルの経営には頭が下がります。あの手この手で空室をゼロにしようとする姿勢は、戦乱の世で生き残ろうと苦心に苦心を重ねる武将のようです(?)。

―このテラヲ、ホテル殿に降参いたします。


というわけでVol.12、おしまいです。
次回のコラムも、お楽しみに!


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