見出し画像

隣から仲間が消えた日 (後編)

班長「全員屋上に集合!!」
班長の怒号が響き渡ります。

自分だけは班長の怒号の理由は
わかっています。

この時点で涙が出てきているのです。

食事、入浴、靴磨きなどのやる事が終わり
くつろいでいた班員たちは驚いている。

何が起きたのかと。

真っ暗な屋上に班員全員が1列に整列。
私は1番右で、Tくんは私の左隣にいる。

班長が班員の前で怒鳴り声をあげている。

班長「なんで呼び出されたかわかるか!」

  「この中で鍵閉め忘れたものがいる!」

  「なんで言ったことが出来ないんだ!」

班員の前を何度も行き来しながら
時には班員の目の前で言う。

まず怖い。
これからなにをやらされるのだろうと。
みんなごめん。

そんなことを私は
考えていたのを覚えている。

その時だ。
隣にいたTくんが横からいなくなったのだ。

え…

一瞬何が起きたかわからなかった。

これは時効だから言うが
蹴られて後ろに飛んでいたのだ。
しかも私の後ろで音が聞こえる。

「ドスっ!!」

「ドスっ!!」

もう号泣です。

これが自衛隊の連帯責任という
仲間意識を植え付ける
1つの教育方法だと考えている。
(これは今ではもちろんNG!)

*後に班長は私とTくんの部隊にいて
すごく優しい人だと知った。
班長は演じていたのだと言っていた。

長い反省が終わり
Tくん・班員への申し訳なさと
自分の不甲斐なさに屋上でしばらく
号泣していたことは忘れない。

そんなTくんとは自衛隊を
辞めてから5年後に食事に行った時に
この思い出話で盛り上がった。

3ヶ月間戦った戦友であり
人生でここまで
迷惑をかけた人はいないと思う。
頻繁に連絡を取るわけではないが
私の中では大事な友人の1人だ。

読んでいただきありがとうございました!
今後もよろしくお願い致します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?