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持久系アスリートと朝練

古くから持久系アスリートの多くは朝練を積極的に行なっているのではないかと推察されますが、朝練の意義、メリット、効果などについて以下に少し考察してみたいと思います。

生物には概日リズム(サーカディアンリズムリズム)と呼ばれる約24時間周期で変動する生理現象が存在し、ホルモン分泌や血圧、体温、などはサーカディアンリズムの影響を受け変動しているとされています。

これまでに多くの先行研究によって、このサーカディアンリズムと運動パフォーマンスとの関係が報告されていますが、多くの研究が午前中よりも午後の方が運動パフォーマンスが良いことを示唆しています。

これらを踏まえて考えれば、朝練の意義やメリットはないといっても過言ではない訳ですが、一方で持久系運動パフォーマンスは午前と午後でそのパフォーマンスに差がないことを示唆する先行研究もみられますので、少なくとも持久系アスリートにとって朝練がデメリットになるとはいえないとも考えられます。

ところで、人間にはクロノタイプと呼ばれるサーカディアンリズムの個人差(朝型なのか夜型なのか)があることがしられており、遺伝子特性からクロノタイプを判別出来ることが明らかにされています。

そして、近年、非常に興味深い研究が行われており、Kunorozvaらの報告では、持久系アスリートはその遺伝子特性から朝型が多いことが示唆され、さらに、朝型の持久系アスリートは朝の運動時の方が自覚的運動強度(RPE)が低いことが報告されています。

Kunorozvaらの先行研究を踏まえて考えると、持久系アスリートが朝練を好んで行う理由は遺伝子特性によるクロノタイプが影響し実際に朝練を楽に感じていることに起因されると考えられる訳ですが、クロノタイプと朝練のトレーニング効果に関しては明らかにされていない、すなわち朝型の持久系アスリートは朝練の方がトレーニング効果が高いとはいえないことから、現段階では持久系アスリートにとって朝練が効率的、効果的であると断言することは難しいといえるでしょう。

しかしながら、持久系アスリートの夏場のトレーニング(練習)においては、熱中症予防対策として比較的、気温の低い早朝に実施する朝練を上手く活用することが有効であるといえるかもしれません。

参考文献:
1)Kunorozva L et al.;Chronotype and PERI- OD3 variable number tandem repeat polymorphism in individual sports athletes. Chronobiol Int. 29: 1004-1010,2012

2)Kunorozva L et al.;Perception of effort in morning-type cyclists is lower when exercising in the morning. J Sports Sci. 32:917-925,2014

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