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3日かかる仕事が半日に短縮!長野放送が実践する生成AIとの「付き合い方」とは?


AIが切り開くメディア業界の新時代

「apnea」は、音声データからの文字起こしはもちろん、取材した内容を指示に従って構成し、記事化することができます。コンテンツ制作を一気通貫でサポートするサービスとして、特に人的リソースが限られるローカル放送局様や地方紙様にメリットを感じていただけるのではないかと考えています。

株式会社長野放送様には、2023年12月より「apnea」を導入いただきました。報道制作の現場と管理部門のそれぞれにおいて、どのような業務に使えるか、いかに役立つのかなど、様々なケースでお試しいただきました。
編成業務局長の早川英治さんにお話を伺いました。

長野放送 早川 英治氏

番組制作現場におけるAIの活躍

まず、早川さんがプロデューサーを務めた年末の特別対談番組で「apnea」を試しました。この対談素材は約2時間の音声でした。番組制作時は「apnea」導入前だったため、3日ほどかけてディレクターが書き起こしたと言います。
この素材を使って「apnea」で文字起こしの検証をしてみたところ、準備時間を含めてもわずか2時間、つまり素材の実時間とほぼ同じ時間で文字起こしが完了しました。内容の確認作業を含めても、半日で作業は終了しました。
※検証当時のapneaは長尺音声に非対応で分割作業が必要だったため、準備に時間を要しました。現在は長尺の音声・動画にも対応可能で、下準備の時間はさらに短縮されます。

さらに「apnea」は、書き起こした後のテキストから対談の要点を整理したり、適切なボリュームの原稿にまとめたりすることが得意です。もちろん最終的には誤字脱字や表現のチェックなどプロデューサーやディレクターが目を通して整えますが、細かい作業から大枠の構想まで、多岐にわたるプロセスを効率化することができるため、「考える時間が半減する印象」との感想をいただきました。
同様にドキュメンタリーのロングインタビューや営業のクライアントインタビューの文字起こしや要約でもお使いいただき、作業の効率化を実感されています。

放送済み素材のWEB記事化の 頼もしい助っ人

ネットの時代に入って以降、テレビ局は地上波で放送した番組内のコーナーをコンテンツとしてWEB上に公開し、より多くの視聴者・ユーザーに届けています。しかし「本業」である取材・記事作成・編集からの本番の放送に集中したい報道制作の現場からは、放送後に行うWEB記事化の作業はできるだけ省力化したいという声が多く聞かれます。

長野放送様の場合、オウンドメディア用の記事作成に「apnea」を活用しました。情報番組コーナーの放送を録画した音声データを「apnea」にアップロードして文字起こしから記事作成を行います。取り込みや文字起こしに時間はかかりますが、それは「apnea」、つまりパソコンにお任せです。担当者はその間、並行して番組の映像から画像を切り出して準備することができます。
人が行っていた作業の一部を「apnea」が代わりに担ってくれるので、これまで3時間程かかっていた作業が4分の1ほどに縮まったということです。今後も実証を重ね多くの配信記事作成に応用する考えとのことです。

長野放送が展開するオウンドメディアの記事より

議事録、広報文の作成でも有効活用

生成AIが得意とすることのひとつが「要約」です。これはメディアコンテンツ制作だけでなく、日々の業務の中にも多くの可能性があります。

社内の各種会議や外部委員を含めた会議でもご活用いただき、音声データの文字を起こして内容をほぼそのまま記録するものと、その会議の概要メモ、議事録の作成を行ったとのことです。
ひとつの素材から、希望する何パターンもの成果物を得ることができるということが、活用事例から明らかになりました。

またテレビ番組の内容を新聞やテレビの「番組表」で紹介する際には、短くてインパクトのある広報文が必要です。長野放送様では「apnea」による可能性を実証していきたいと考えています。

生成AIの可能性と向き合い方

活用の可能性は広範囲に及び、導入前と比較して明らかな効率化をもたらしています。記者やディレクターは創造的な作業に より集中できるようになり、管理部門でも時間の余裕が生まれ視野が広がっています。

ただし、導き出された答えはあくまでもAIが考えたもの。誤字脱字や事実誤認の恐れがあるため、人の目によるチェック作業は必ず行います。
さらに「apnea」を使いこなすには、AIへの情報の与え方や指示の出し方=プロンプトが重要であり、取材経験やセンスが作業の質を左右するとのことでした。

例えば、「apnea」では様々な使用ケースを想定して多くの雛形プロンプトを提供していますが、そこにオリジナルの指示を加えることで精度が格段に上がります。先に紹介した対談番組のケースでは、登場する人物のプロフィールや思想、なぜその方々の対談が実現したのか、などを事前情報として与えた上で、テーマごとに具体的な指示を出したそうです。
また、対談の一部分を抽出して「このやりとりをナレーション原稿にして」と指示をするなど、パートに分けることで欲しい結果が得られたとのことでした。

生成AIを使いこなす側の問題意識がどこにあるかで完成品の質も変わってきます。つまり「人間のクリエイティビティ」が最も重要であることは間違いありません。

長野放送様は、「apnea」はただのツールではなく「考える上でのパートナーのような存在」だと表現します。

活用事例から得られた知見と期待

生成AI「apnea」は、メディア業界に作業効率の革命とも言える変化をもたらしつつあります。テクノロジーの進化とともに、メディア制作の現場では生成AIとどう付き合うか、どう使いこなすかが真剣に議論されています。

言葉のプロであるメディア業界が、言葉を巧みに使って「apnea」に指示を出し、「apnea」が瞬時に文章や構成を提案するという活用のケースが増えれば、より質の高いコンテンツを世の中に溢れさせることができるのではないかと期待は膨らみます。

メディア業界が新たな可能性を切り開くため、利用者様の声を聞きながら「apnea」は進化を続けます。


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