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NODA・MAP 第27回公演『正三角関係』@東京芸術劇場 プレイハウス

野田秀樹のシアターカンパニー・"NODA・MAP"の新作「正三角関係」のチケットが取れたので、平日の夜に観ました。

開演前。

松本潤、長澤まさみ、永山瑛太、という魅惑的キャスティングだったので、全くチケットを取れる気がしていませんでしたが、めでたく当選。しかも、1階の前から6列目・真中央という、超ご褒美席。(ただ、客席からの視線の高さに対して舞台の高さが少し高めで、実はもっと後列の方が見やすかったかもしれません。)

東京芸術劇場は、携帯電話抑止装置が設置されている劇場で、劇場に入ると本当に携帯の電波が悪くなります。ここで観劇するときは、携帯が鳴る心配がほぼないので、とても安心です。(もちろん案内通り、電源は切っておきます。)

事前情報。

ストーリーはロシアの文豪・ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の物語であり、「日本のとある場所のとある時代の花火師の家族=唐松族からまつぞくの兄弟」のであるとのこと。野田秀樹演出はどうなるのか、期待がふくらみます。

最初に "魅惑的キャスティング" と書きましたが、長澤まさみさんはNODA・MAP「THE BEE」、永山瑛太さんはNODA・MAP「MIWA」「逆鱗」で観ていたので、とても楽しみにしていました。ただ、松本潤さんは舞台で観たことはなかったので、「どんな感じなのかな?」と期待半分・不安半分の状態で開演を待ちます。

開演後。

とりあえず最初に思ったことは、「この人、どこに隠れていたんだろう」です。松本潤さんです。

別に隠れていたということはないですし、テレビや映画には数多く出演されていたと思うのですが、自分は作品をほとんど見た経験がありませんでした。

あふれるほどの、熱量。NODA・MAPの作品内では、どの俳優も、その作品内の舞台機能の一部でありながら、それぞれがクセのある個々の俳優でもあります。池谷のぶえさんも、これまで舞台で観る機会がなかったのですが、とてもキュートで素敵な俳優さんでした。

NODA・MAPの作品は、世界観や時間軸が瞬時に切り替わりながら、ものがたりに色をつけながら、全く関係のないように見える別々の物語がリンクしながら進んでゆきます。また、どの作品にも、非常に強いメッセージ性があります。

以前は「主張が強すぎて苦手な作品もあるな」と思うことが多かったのですが、「作品をどう捉えるかは自分の自由で、作品を観て自分が何を考えようが自由だ」と思えるようになってからは、シンプルに楽しめるようになりました。

壮大な "ことば遊び"と "仕掛け"。

ことば遊びと言ってしまうと身も蓋もありませんが、壮大な "ことば遊び" はNODA・MAP作品の大きな特徴のひとつです。

ことばの羅列の中、単に適当に韻を踏んでいるだけかと思いきや、それぞれに重要な意味を持っていたり、音楽であったり、歴史であったり、絶望であったり、絶叫の中の一筋の光明であったりします。

また、舞台中のあらゆる仕掛けには驚きます。単純な仕掛けのはずなのに、不意に一瞬で起こる出来事に、思わず静かな驚きの嘆息が客席のあちこちで上がります。

また、NODA・MAP作品には、基本的に演出家である野田秀樹さん自身が出演されています。本作品も出演されていますが、野田秀樹さんご自身が最もその世界観を強く表現しており、俳優の一人であり、舞台機能の一部でありつつも、ある意味ゲームマスターのような役割なのかなと感じます。

終演後。

「今、このテーマを描くのか」と思うほど、とても重くストレートなメッセージとして受け止めました。

次回公演は2026年春だそうですが、2025年夏にも、何かあるようです。何なのでしょうか。。。

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