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強い経理のつくりかた

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強い経理があれば長寿企業になるわけではないけれど、長寿企業には必ず強い経理があります。強い経理になるために経理部員に何ができるのか、考えていきたいと思います。
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2024年2月の記事一覧

経理の仕事は、"should be" と "as is" を比較すること。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 経理さんや会計事務所などの数字を扱う仕事をする人は、あるべき金額と実際の帳簿金額を比較することが非常に多いと思いますが、いろいろ工夫が必要、ということについて書きます。 検証表に並ぶ3つの列、①"as is"、② "should be"、③"dif"。職場によって呼称は異なると思いますが、私の場合は、実際の帳簿数値は "as is"、あるべき数値は"should be"、2つの差額は "dif"(=differenceの

【経理】良かれと思ってやった追加作業は、報告しようという話。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 今日は、「良かれと思って追加でやったことは、事前に相談するか、事後に伝えておこう」という話をします。 「今月は生ハムを増量しています」という言葉で、一気に幸せになる。自宅近くのハム専門店のパニーノが大好物で、チートデイにはこちらのパニーノを食します。 私は決まって、生ハム(プロシュート)、トマト、カマンベールチーズ、ルッコラ、白トリュフオイルをパンで挟んだパニーノを注文するのですが、生ハムを増量するかどうか、いつも迷い

【経理】「簿記の資格がある≠簿記を自由自在に使いこなせる」ということ。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 今日は、経理でステップアップをしようというときには「簿記を自由自在にに使えることが一番強い」ということについて書きます。 簿記を自由自在に使えることが、一番強い。今まで勤務した会計事務所や税理士法人で、公認会計士・税理士・経理の業界の方に多くお会いしてきましたが、同様に簿記の資格を持っていても、それぞれの方の特性は様々です。 簿記の資格を取得すると、企業経理で切る仕訳は普通に切ることができるようになると思いますし、少し

【経理】年次決算は、単なる「12回目の月次決算」ということ。

こんにちは、きくちきよみと申します。 舞台照明家→経理→税理士です。 今日は、「年次決算は単なる12回目の月次決算なので、特別なイベントにはしないことが大事」ということについて書きます。 つい「年次決算なので」と言ってしまうことがある。法人の12月決算、3月決算、と繁忙期が続いていますが、顧問先の経理の方とお話していると、どうしても「年次決算なのでこの作業は必要ですね」「年次決算なので仕方ないですね」などと言ってしまうことがあります。 この「年次決算なので」という枕詞は

【雑談】「自分は確定申告しなくてはいけないのか?」という疑問はどう解消したら良いのか。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 先日、顧問先の経理の方から受けたご相談です。 「取引がある個人の外注の方から『自分は確定申告しなくてはいけないのか知りたい』という相談を受けたのですが、どうしたら良いですか?」というご相談でした。 ちょうどこの時期になると、毎年、似たような質問を頂きます。 確定申告義務の判断は、義務教育では学ばない。自分も20代でフリーランスの舞台照明家だった頃に確定申告を始めましたが、最初は、そもそも「確定申告しなくてはいけない」と

【経理】自社で会計記帳するのが重要な理由。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 中小企業の場合、会計記帳は自社でやらずに会計事務所や税理士に委託することは多いと思いますが、今日は、自社で会計記帳することのメリットは非常に大きい、ということについて書きます。 自社で会計記帳するようになるタイミング。中小企業の場合、自社で会計記帳をしているケースもありますが、会計事務所や税理士に会計記帳を委託しているケースも多いでしょう。 社内で記帳するかどうかについては、私自身、以前は「会社の実情に応じて、コスパが

【経理】深く理解して細かすぎるか、理解が浅くて大雑把か。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 これまでの経験上ではありますが、経理さんや会計事務所の人など数字を扱う人は、性格的に2パターンに分かれやすいと思っています。 ①内容を非常に良く理解しているが、あらゆることに細かい。 ②細かいことは気にしないが、内容の理解が浅いことが多い。 今日は、「この2パターンを使いこなすバランス感覚が、実務では重宝される」という話をします。 2パターンの経理タイプとは。数字を扱うからこその仕事の場合、特に数字に関して細かく管理

チェックリストを活用しても間違う人は永遠に間違うし、間違わない人は常に間違わない、というジレンマ。

こんにちは、きくちきよみと申します。 元・舞台照明家→事業会社の経理→税理士です。 今日は、ミスを防ぐためにチェックリストを更新しても、間違う人は何度でも様々な間違い方をするので、チェックリストは万能ではない、という話をします。 チェックリストを更新するのは、苦手です。どの会社でもいろいろなチェックリストがあると思いますが、私はこのチェックリストの更新作業が、本当に苦手です。 今は国税庁が提供しているチェックリストをベースに、留意点を追加してチェック項目を増やしたり更新

ついついやってしまう無駄な作業を、やめられるかどうか、考えてみる。

こんにちは、きくちきよみと申します。 税理士です。 昨日は1月31日、法定調書合計表・償却資産申告書の提出期限日でした。私の場合、税務書類の期限日とその前日は、必ず「業務完了パトロール(=すべての業務が完了している報告を受けていても、改めて完了しているか自分で資料を見て確認する作業)」をしてしまいます。このような、「重複していて無駄な気がするけど、ついついやってしまうこと」をどこまで省けるか、考えてみたいと思います。 業務上、求められている作業かどうか。まずは、業務上求め