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相手の気配を感じたら突け

周りの人も組手を中断し、こちらを見ている、
気まずくは思ったが稽古を続けた。
だが帰る時になっても誰も口を聞いてくれない。

気まずくなってしばらく行かなかった。が、どうしてもやってみようと思い、覗きに行った時に先生と誰かが組手をしていた。

その相手の人は空手着は着けているが空手と言うよりキック(ボクシング)のような感じを受けた。
組手が終わると二人共親しそうに話していて、だれだろうと思っている時に二人と目が合った

先生は声を掛けてくれ「長い事休んでどうしたんだ」と言う。

あんな印象を与えておいてどうしたもこうしたもないはずだが俺は「すいません」と言って話が続き始めた。

相手の人とも話して経緯を話すと
「だったら俺の所に来いよ、こことは親しくやってるから」と誘ってくれた。
今のところに通いにくくなっていたのもあるし、この人の方が実戦的かな?と思い通い始める事になった

稽古の場所は神社で、夜8時頃から2~3時間
神社の暗がりという事でその雰囲気に圧倒されていたが、2~3回通うとその雰囲気が妙に気持ちを引き締め、稽古している、と自分に自覚できる感じを受けたのを覚えている

が、そこも1ヶ月程で行きにくくなってしまい、やめてしまった

理由は、ここでも同じことをしてしまった

新しい先生は「君の行っていた所とここの違いは、当てるか、当てないか。ここでは当てて稽古をする」と誇らしげに言っていた。
稽古は今までの形と同じで、当てていくもので何ら変わりはない。が、1つ変わった稽古方法があり面白くしかし怖く感じた。

通常の稽古は夜8時頃から始まるのだが
それは9時頃から始まる。
神社の中に4本の木が立っていて、それをロープでつなぐとちょうどよい感じでリングの様になる。

その中に人を4~5人入れて目かくしをする、そして地面に枯葉をまいて別々の方向に立たせてスタート。
とにかく相手の気配を感じたら突け、蹴れと言うのだ。

神社の前は車一台通るような道
それをはさんで電車が通っている。
ただでさえ怖いのに電車の音で相手の音が消され、頭の中が混乱しそうなほど怖さが増す。
その怖さに充実感を感じてもいた

自分はなぜだかこの稽古を得意としていた

 そんな稽古をするある日、
先生が中に入る事になりいつもに増して緊張して怖かった

それが裏目に出て思い切り蹴った回し蹴りが先生の腹に入ってうずくまり、転げまわってしまった

後は又、気まずくなり、とうとうやめてしまった。

心残りはあったが自分にも自信を持って始めるようになっていたので苦にはならなかった。

 

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