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なし崩し

小学校受験の本番は11月!?
大学まで進める小学校は、
そんなに少ないの!?
3歳から幼児教室に通うんですか!?

妻と娘と一緒に行った幼児教室で、
初めて小学校受験のリアルに触れました。

「全く知識がないので、
小学校受験というものを教えてください。」

のん気な私の質問に、
「教室の責任者」と名乗る方が、
立て板に水の営業トークで
いろいろ話してくれました。

いろんな思いがよぎりました。

 「大半が、年少から受験に備えてるの!」

 「受験本番まで
  1年を切ってしまっているではないか!」

 「幼児教室の授業料、そんなに高いのか…。
  年少から通わせている家庭って、
  どんな家庭なんだ?」

 「自宅からの通学を考えると、
  大学まで進める学校は、
  慶應幼稚舎と青山学院初等部と学習院初等科と
  聖心女子学院初等科しかないじゃないの…。
  選択肢、少ない。」

 「図画・工作や運動も受験科目なの!」

 「幼児教室の種類は様々で、
  大手の教室にも、
  特徴、性格の違いがあるんだあ。」

 「寄付なんて、うちには無理だわ。
  いろいろあって、
  倹約にいそしんでいるのに。」

聞けば聞くほど、
「勝率の圧倒的に低いギャンブル」
だと思いました。

合格するには、どう考えても、
卒業生の子ども、
お兄ちゃん、お姉ちゃんが在校している子どもが
有利です。

とすると、
縁もゆかりもない家庭の子どもが入り込む隙間は
狭い。

とすると、縁もゆかりもない子どもの合格率は
圧倒的に低い。

しかも、本番まで、あと11か月しかない。

作り笑いで聞く私。

作り笑いを浮かべながら入会を勧める
「教室の責任者」という肩書の営業マン。

営業トークを聞いている両親の横で、
つまらなそうにしている娘を見て、
営業マンが、
「年中のお子様方が取り組んでいる問題です」と
プリントを渡してくれました。

「これが解けると、少しは芽があるかも」
と祈りつつ、娘が解答する様子を見る両親。

祈りも虚しく、当然、不正解でした。

私が見ても難しいと感じる問題でした。

中学受験、大学受験を思い起こさせる問題でした。

中学受験、大学受験と同じように、
「解法のパターン」を記憶するまで、
何度も何度も
同じ種類の問題を練習しないと解けない。

小学校受験も、
「解法のパターン」があることを確信しました。

中学受験、大学受験並みの勉強をして、
しかも図画・工作も運動もやる。

ペーパー問題は繰り返し練習で
万一、何とかなったとしても、
図画・工作、運動の出来不出来は、
お題による運によるところが大きい。
不確実性が高い。

しかも、工作、運動のために、
専門教室に通っている家庭も多い。

営業マンは、
「これから頑張れば、
まだまだ可能性はありますよ!」
と、入会資料を手渡してくれて、
今後の手続きについて明るく説明してくれました。

最後に、
「12月入会の手続きをするには、
●日までにご連絡くださいね」
との言葉を残し、
笑顔で我々を見送ってくれました。

私たちが踏み込む世界じゃないな。
異世界すぎる。

高すぎる不確実性に、高すぎる授業料。

幼児教室のビジネスモデルは、
できるだけ多くの家庭に夢を見せて
賭け金を集める、
ギャンブルの胴元ビジネスだな。

「娘には中学受験をさせずに、
大学まで行かせたい」
と念じる妻の感想も聞きながら、
受験にかかる予算のこともあるため、
決断は私に任されました。

私は決めていました。
「合格する可能性が限りなく低い競争に、
大金を賭ける余裕は全くない!」と。

広告会社に勤める私は、プレゼン前に
クライアントのこと、
競合となる広告会社のこと、
審査員のことなどを調べ尽くします。

勝利のために、
お題に適したマーケティングスタッフ、
クリエイティブスタッフ、
外部の会社のスタッフを集め、
彼らを拘束する時間、作業にかかるプレゼン費、
つまり投資コストを綿密に計算して
勝負に臨みます。

そうして、勝利の不確実性を極限まで無くして
多くの勝利を重ねてきました。

しかし、娘の小学校受験は、勝負に値しない。

勝負しない小学校受験について、
ネット検索で情報を集めるような
最低限の情報収集もしないまま、
「12月入会のための連絡期限」
の前日を迎えました。

その日、妻は言いました。

「で、入会の連絡はしたの???」

その瞬間、入会が決まりました。

そして入会後、もっと驚くような
数々の小学校受験のリアルを知るのでした。

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