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共感力

サッカー選手にはいろいろな武器があります。
それは、ドリブルだったり、シュートだったり、もしくはスピードのような身体的優位だったり。
私は、その中に共感力というものもあると考えています。

共感力とは

まず、私が考える共感力について説明します。
共感力とは、味方の意図やチームの戦術に共感して、最適解のプレーを導き出す能力です。
わかりやすい例を出すと、日本対ガーナ戦の1点目の山根のゴールは、久保、堂安、山根の高い共感力が生み出したゴールです。
この3人は試合中、常にお互いの位置を把握し、適切なポジションを取り続けていました。
そのため、ガーナは上手く捕まえることができず、後手に回り、右サイドから何度もチャンスを作っていました。
他にも共感力が高い選手を挙げると、デ・ブライネやベルナルド・シウバ、モドリッチやイニエスタ、後はメッシも共感力が高い選手です。
そして、ここまでを読んで感の良い人はお気づきかもしれませんが、共感力が高い選手にはもうひとつ共通点があります。
それは、サッカーIQが高いことです。
ですので、ここからは想像ではありますが、サッカーIQが高いことにより、結果的に共感力が高くなっているのだと考えられます。

共感力は何故武器になるのか

ここからは、共感力が武器になる理由を説明していきます。
それは、瞬間的な判断が必要になるサッカーにおいて、場面、場面、におけるプレー選択を個人ではなく、ユニットで統一できるからです。
例えば、守備の時に、前線の選手が相手のビルドアップにプレッシャーをかけてコースを限定します。
このように、コースを限定しているときは、守備側としては、相手の縦パスをインターセプトしたいと思いますが、仮に中盤の選手の共感力が低いと、なんとなくでポジションを取ってしまいます。
そのため、前線の選手が折角コースを限定しているのにボールを取りきれないことがあります。
逆に共感力が高い選手は、前線の選手の動きからパスコースを予測してポジションを取ります。
そのため、相手の縦パスに対して強くアプローチすることができます。
また、仮に前線の選手に共感力が無いと、特にコースを限定せず、なあなあにプレッシャーをかけにいってしまいます。
そうすると、ボールの取り所を限定出来ず、相手に円滑にボールを回させてしまいます。
このような守備が特に上手い選手が久保です。
久保は常に意図を持って守備をしているので、その前線からのプレスの掛け方や、守備時の立ち位置は凄く参考になります。
確かに、圧倒的な運動量やボールを取り切る派手なプレーは無いため、守備力が無いと批判されますが、彼の守備力は、日本の前線の選手の中では特に高いです。

ここまで、共感力が武器になる理由を説明してきましたが、共感力が無い選手がダメかというとそういうわけではありません。
なぜなら、共感力が無くとも活躍している選手もいるからです。
例えば、伊東純也やレロイ・サネなんかがあまり共感力が高くなくても成功した例でしょう。
彼らは共感力が無くとも他に強力な武器を持っているため、その武器に合った役割を監督が与えることができれば活躍することができます。
すなわち、共感力はスピードやスタミナといった選手の武器のひとつであり、どちらが優れているとかの話では無いのです。

まとめ

今回は私が考える共感力について書いてみました。
スピードやドリブル突破ほどわかりやすくはありませんが、共感力を持っている選手は見てておもしろい選手が多いので注目して見てみてください。

おまけ:久保が代表で活躍できない理由

ここまで読んでくれた人なら久保に共感力という武器があることは理解してもらえたと思います。
では、そんな凄い武器を持っている久保は、なぜ日本代表で活躍できないのでしょうか?
それは、日本代表に戦術が無いため、久保の共感力が全く活かされないからです。
先ほども説明したとおり、共感力はチームに連動して最適解を導き出す能力です。
しかし、日本代表にはそもそも戦術が無いので、前線から奪いにいくか、それとも自陣でブロックを作るのかすらも曖昧なのです。
それは、攻撃でも同じで、日本代表の攻撃は、個人技で相手のディフェンスをただ殴っているだけです。
そのため、共感力の良さは半減してしまっていますし、仮に久保が意図のあるプレーをしても、味方の共感力が高く無いとその意図を読み取ってもらえないのです。
仮にチームとしての方向性や選手個々の役割が明確に決まっていれば、選択肢が狭まるため、共感力の低い選手とも共感できるのですが、それすら決まっていないため、単純に1対1で相手を抜けるかどうかがチームの攻撃を左右しています。
このままでは久保は本領を発揮することができません。
しかし、森保監督は現状に満足していそうなので、監督が交代しない限り大活躍する久保は見ることができないのかもしれません。

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